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男女別で違いが生じるソーシャルメディア利用時の端末実態

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 男女間のソーシャルメディアの利用性向は利用端末に表れているのか否か

ソーシャルメディアの利用スタイルには男女で小さからぬ違いがあるといわれているが、それは利用端末にどのような形で表れているのだろうか。その実情を総務省が2017年6月に発表した「通信利用動向調査」(※)の公開値を基に探る。

今件で対象となる「ソーシャルメディア」だが、今調査では補足で「インターネット上の交流を通して社会的ネットワーク(ソーシャルネットワーク)を構築するサービスのことである。Facebook やTwitter、LINE などが代表的」と説明がなされており、「LINE」などのようなチャット系コミュニケーションサービスもソーシャルメディアとして該当する仕切り分けとなっている。他方、広義では同一分野として分類される掲示板や動画投稿サイト、ブログは(他選択として別途用意されていることもあり)該当しない。

まずはインターネット利用者におけるソーシャルメディア利用率。

↑ ソーシャルメディア利用率(男女別)(2016年)(年齢階層別)(インターネット利用者対象)
↑ ソーシャルメディア利用率(男女別)(2016年)(年齢階層別)(インターネット利用者対象)

男女で大きな差はなく、年齢層による傾向も違いは無いが、ほとんどの年齢層で女性が男性を上回る値を示している。全体では4.7%ポイントの差で、60代まではほぼ同じような差異が開いている。70代では男女間が逆転しているが、全体の傾向を覆すまでには至らない。

そこで男女別に、主要端末での利用性向を見たのが次のグラフ。これはソーシャルメディア利用者が利用時にその端末を利用しているか否かを示したもの。例えば男性の全体ではスマートフォンが84.9%とあるので、男性でソーシャルメディアを利用している人のうち84.9%はスマートフォンで使っていることになる(スマートフォン「のみ」では無い)。

↑ ソーシャルメディア利用時の利用端末(2016年)(年齢階層別)(ソーシャルメディア利用者限定)(男性)
↑ ソーシャルメディア利用時の利用端末(2016年)(年齢階層別)(ソーシャルメディア利用者限定)(男性)
↑ ソーシャルメディア利用時の利用端末(2016年)(年齢階層別)(ソーシャルメディア利用者限定)(女性)
↑ ソーシャルメディア利用時の利用端末(2016年)(年齢階層別)(ソーシャルメディア利用者限定)(女性)

まず男性だが、スマートフォン優勢・パソコン劣勢の状況は60代まで続き、70代では優勢端末がスマートフォンからパソコンにシフトする。スマートフォンの利用が減り、パソコンが増えていき、互いに交差する形。

一方女性は男性よりもスマートフォンの値が高く、パソコンの値は伸び悩んでいる。会社業務で使う機会が男性と比べて少ないが主要因だろう。スマートフォンとパソコンのポジションの入れ替えは70代後半に入ってからとなる。ただしパソコンがもっとも優勢な改装は無く、70代後半以降は従来型携帯電話が最上位についている。

男性は特に高齢者ではスマホだけでなくパソコンも大いに用いるが、女性は多分にスマートフォンに注力し、ソーシャルメディアを使いこなしている様子が想像できる結果。全体値で比較しても、スマートフォンの利用率は男女で大きな差異は無いが、パソコンでは2倍近い差が出ている。ソーシャルメディアを利用する際の各種操作画面が、男性と女性では中堅層まではさほど違いは無いものの、シニア層では異なる視点となっている場合が少なからずある点にも注意が必要となろう。

元々ソーシャルメディアは女性の方が好む傾向が強いが、その中でも利用端末が男女で大きな違いを見せているのは注目に値する。普段からのパソコンとの距離も一因だが、ここまで大きな違いが出ている以上、関係する場面では考慮の余地があるに違いない。

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※通信利用動向調査

2016年11月~12月に世帯向けは都道府県及び都市規模を層化基準とした層化二段無作為抽出法で選ばれた、20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員に、企業向けは公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業に対し、郵送・オンラインによる調査票の配布及び回収の形式によって行われている。有効回答数はそれぞれ1万7040世帯(4万4430人)、2032企業。調査票のうち約8割は回収率向上のために調査事項を限定した簡易調査票が用いられている。各種値には国勢調査や全国企業の産業や規模の分布に従った、ウェイトバックが行われている。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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