高橋克典、最新出演映画は「何一つ記憶がなくて…(笑)」 台本なし、全編ほぼアドリブで「必死でした」
1999年、『サラリーマン金太郎』(TBS系)でブレークし、『特命係長 只野仁』(テレビ朝日系)、『広域警察』(テレビ朝日系)、『子連れ信兵衛』(NHK BSプレミアム)、『庶務行員 多加賀主水が許さない』(テレビ朝日系)など多くの主演ドラマシリーズで知られている高橋克典さん。 【写真を見る】『只野仁』シリーズは毎回壮絶な役作りで臨んでいた高橋克典さん 2022年、連続テレビ小説『舞いあがれ!』(NHK)にヒロインの父親役で出演。2024年2月16日(金)には、全編セリフはほぼアドリブで撮影された『劇場版 マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿 鬼灯村伝説 呪いの血』(光岡麦監督)が公開される。
朝ドラでヒロインの父親役に
2022~2023年に放送された連続テレビ小説『舞いあがれ!』は、ものづくりの町・東大阪で町工場を営む父・浩太(高橋克典)と母・めぐみ(永作博美)、兄・悠人(横山裕)と4人で暮らすヒロイン・舞(福原遥)が、さまざまな人との絆を育みながら成長していく様を描いたドラマ。 高橋さんが演じた浩太は、東大阪で町工場を経営する二代目社長。飛行機を作るという夢があり、重工メーカーに勤めていたが、父親が病死したために退職し、ネジを作る工場を継ぐことに。 ――優しいお父さん役が印象的でした。 「僕は本当はあんな感じです(笑)。世の中につらい出来事が多かったので、温かく優しい役にしようと。またああいう役もやりたいですね」 ――ヒロインのお父さん役のお話が来たときはどう思われました? 「うれしかったです。本当にうれしかった。ようやく朝ドラに出られるんだと思って。2020年に大河ドラマ『麒麟がくる』(NHK)にチラッとでしたけど出させていただいて、ようやくという感じですね」 ――いいお父さんでしたね。飛行機を作りたいという夢があったのに、父親が亡くなって跡を継ぐことに。 「そうです。それで工場を継ぐことになるのですが、『こいつには工場を継ぐのは無理だよな』って言われてきた感じの人。やっぱり自分がやるに当たって、いろいろ考えるわけですけど、あまり工場が似合わないキャラだよなって思って(笑)。 だから、跡を継ごうと思って来たけど大変で、周りの人たちに助けられて…ということで。東大阪という土地柄で、周囲の人たちの温かさで何とかやってこられたということでいいかなと思って取り組みました。ごく普通のお父さんですから、これという『売り』がない。普通のお父さんで、それが実像に近いんですが、今や息子が反抗期で(笑)」 ――ブログで拝見すると、父子で一緒にトレーニングやスキーをされていてとてもいい感じですけど。 「一緒にいろいろやっていますけど、反抗期。スキーなんかは2人でやっていますし、そういうときは仲が良いんですけど、なかなか難しいですね。でも、大事な時期。『舞いあがれ!』のあの役はすごくうれしかったですね。日常の話だし、無理しなくてもいい役だったので。 永作さんとは、ちょうど(劇中の)2人が結婚したという設定の時期ぐらいのとき、20年ぐらい前の頃からご一緒していて。子どもも同じぐらいの年齢で。 だから、子育ての親としての立ち位置も同じぐらいなので、とてもやりやすかったですね。娘役の(福原)遥ちゃんと息子役の横山(裕)くんもすごくいい子たちで。本当に遥ちゃんに繋がれた感じでしたね」 ――お子さんができて変わりました? 「ものすごく変わりました。良くも悪くも変わりましたね。やっぱり親としての気持ちというのは、子どもができてみないとわからなかった。 僕は弟とか妹という自分より年下の家族がいなかったので、初めて自分より小さい存在と言いますか、小さくて大きい存在と言いますか…そういう存在と出会ったんですよね。あと、自己犠牲の意味も含めて、ものすごく変わりましたね。 それと、息子が反抗期真っ最中ですからね。今は試練です。こんなに否定されるのかと(笑)。自分の反抗期のことを考えたらずっとマシだし、必要な主張だなとは思うんですよね。だから、いいんですけど、結構大変で(笑)」 ――実生活では息子さんですが、娘さんがいらっしゃるという感じはいかがでした? 「娘はいないのでうれしかったですね。すごく可愛かったし、あの家族は本当にみんな愛し合っていて仲が良かったんですよ。今でもグループラインが繋がっていて、みんな『お父ちゃん』、『お母ちゃん』、『舞』、『お兄ちゃん』という呼び方でやりとりしていますよ」 ――画的にもとてもいい感じの家族でしたね。息子は常に反抗期みたいな感じでしたけど。駆け落ちした2人が20年ぶりぐらいで五島に行ったときのシーンも印象的でした。 「お義母さん(高畑淳子)とのシーンですね。演技プランはまったくいらないドラマでした。すべてが台本に書いてある感じで、『これどうしよう?』とか『それはどうやろうか?』というのは一切なかったですね。セリフと、その裏の気持ちも台本に全部書いてあるから、あの作品はすごいなと思いました。 桑原亮子さんの脚本は、見ていてもすごく気持ちがあったかくなるんですよね。繊細で、本当に逆風の中でも頑張る。彼女自身、あることが原因で逆境の中でも明るく生きるとか、物事の一つひとつの価値とか、そういうことをすごく知っている方だと思うんですね。そして、その思いをスタッフも我々も感じ取って、逃すことなく懸命に演じたという感じでした。 すごく印象的なのが、はじめに舞がちっちゃいときに、僕がちょっと(東京から)離れたほうがいいとめぐみに勧め、めぐみが舞を五島に連れて行き、ばあばの顔を見て何かを察した舞が、掴んでいたママの人差し指をスーッと離すんですよ。 そういうことで、いろんな不安とか、勇気とか、いろんなことを察している子どもの感情を表現しちゃうんです。とてもステキでした。そういう日常の繊細な話も良かったですね」