映画『ゴジラ-1.0』山崎貴監督インタビュー──「初代ゴジラを観た人たちが感じた圧倒的な恐怖の再現を目指しました」
映画『ゴジラ-1.0』(ゴジラマイナスワン)が、11月3日に劇場公開される。監督を務める山崎貴に訊いた。 【写真を見る】初代から最新作まで、歴代ゴジラの名場面をプレイバック!(全26枚)
ゴジラ制作に挑む、準備は整った!
『ゴジラ-1.0』(ゴジラ マイナスワン)は、ゴジラの実写邦画としては30作目であり、『シン・ゴジラ』(2016)以来、7年ぶりの新作だ。節目となるこの作品で監督を務めたのは、VFXを得意とし、大のゴジラファンを公言する山崎貴。ゴジラ愛が溢れる山崎監督は、新時代のゴジラとどのように向き合い、そして何を描こうとしたのか? ──以前から、山崎監督には制作オファーがあったそうですが、今回ようやく引き受ける決断をされたのは、なぜですか。 僕は元々ゴジラの大ファンだし、もちろん制作への興味はありました。でも『ALWAYS 続・三丁目の夕日』(2007、以下『ALWAYS』)という作品でゴジラにゲスト出演してもらった際に、CG作業があまりにも大変だったんです(笑)。たった2分の登場シーンに、スタッフの半分が6カ月間もかかりきりになってしまった。当時のマシンや技術力ではそれが限界で、「こんな状況で本編をやるなんて、とても無理だな」と。思い描いているクオリティに仕上げるには、まだまだ時期尚早だと思っていました。 しかしそれから、飛躍的にマシンや技術が進歩した。僕自身も、実写のような海の表現、クリーチャーの滑らかな動作など、映画ごとに断片的に、VFXの技術検証や制作経験を積ませてもらいました。そして『アルキメデスの大戦』(2019)の完成後に、東宝の市川南さんより改めてお話をいただいて。今ならゴジラ映画の本編をやれるのでは、という絶好のタイミングでした。
昭和のゴジラをつくりたい
──監督にとってのゴジラ映画、ゴジラ観はどんなものでしょうか。 子どもの頃から観てきたのは、昭和の世界を破壊していくゴジラです。やっぱり、僕は初代のゴジラ(1954)が大好きなんです。ビルがそんなに高くない街中をゴジラが歩いていく風景を作りたかった。それに、当時の核実験の問題や戦争の影といった不穏さが怪獣の形になったのがゴジラだと思っていますから、この時代設定は、僕の中では非常に重要でした。 ──初代『ゴジラ』よりも古い時代を設定した作品は初めてですが、東宝からNGはなかったのですか。 作るときは特に意識していませんでした。東宝からも、厳しい要求やNGは一切ありませんでしたから。でも出来上がった後で、たくさんの人に「初代より前の時代をやるなんて、挑戦的ですね」と言われました。考えてみると、ゴジラ映画って“現代モノ”なんですよね。どの作品も全部、今この時代にゴジラがやってきたらどうなるか、を描いていた。それで「ああそうか。ちょっとタブーに触れちゃったんだ」とようやく気づいて、今さら恐縮しています(笑)。とても挑戦的なことを許可してくださっていたのですね。