30坪でも豪邸。斬新すぎる“豪邸建築家”の家に潜入!
都市部を中心に規模の大きな“豪邸”を手掛けることが多い建築家の森山善之さん。都内にある自身の設計事務所に近い場所に30坪の土地に自邸を建てました。小さいけれどやっぱり“豪邸”です。その心は? 【写真集】敷地30坪の建築家自邸に潜入!
都市部の邸宅の設計が多く“豪邸建築家”の異名をとる森山善之さん。自邸をつくったのは実家を含めて5軒目です。しかし、今回の建物は「自宅」という言葉のイメージとは少し趣が異なっていました。 「建築家の自邸というと、家具や照明、雑貨、アートまですべて自分好みのもので固めた“個人博物館”のような印象があります。僕も北欧のビンテージ家具やカッシーナの古いものが好きといった好みはありますが、それらを集めた空間だと居心地がよすぎて仕事ができなくなる気がしたんです。 ここは事務所まで歩いてすぐの場所で、しかも30坪という小さな敷地。少し休んで、お風呂に入って、眠って…と、働く準備ができる場所にしようと。土地柄、気の利いたレストランもたくさんあります。お客さんや仕事仲間と食事をした後、ここで一緒にお酒を飲むラウンジ的な使い方も面白いと思いました」
自分の家だけれど、人を招くラウンジのようにしたい
自分の好みや内面世界を投影した100%のプライベート空間にはしない。街並みにも自分にも合っていなければならないが、訪れた人がくつろげる場所であることを大切にしたい――それが自邸の目的になりました。 吹き抜けや外部テラスを組み込み、大胆な開口部を繊細に収めて心地よい空間をつくり上げること。それが森山さんの設計の真骨頂です。この家でも、3階建てにして吹き抜けや外部スペースを取り込むことを考えましたが、なかなかうまくいきませんでした。 「敷地にゆとりがないので、こうしたスペースを取ると家具の置き方や住み方が限定されて、いいプランになりません。そこでもっとシンプルでおおらかな空間にしようと方針転換しました。もともと1階は貸し出す予定で、地下と2階が自分のスペースです。地下は寝室とクローゼット、水まわりという完全なプライベート空間にして、2階をラウンジスペースにしました」