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あれから2か月…日韓合意、どうなった?

2016年3月1日 17:46
あれから2か月…日韓合意、どうなった?

 キーワードでニュースを読み解く「every.キーワード」。1日のテーマは「どうなった?日韓合意」。日本テレビ・小栗泉解説委員が解説する。

 韓国・朴槿恵大統領は1日、日本の植民地時代の独立運動を記念する式典で演説し、いわゆる従軍慰安婦問題をめぐる日韓合意を評価した上で、関係改善を望む姿勢を改めて示した。


■年末の日韓合意
 いわゆる従軍慰安婦問題をめぐっては去年12月28日、日韓両政府が解決に向けて合意した。

主な確認事項としては

「安倍首相が心からおわびと反省の気持ちを表明すること」

「元慰安婦を支援するために、韓国政府が設立する財団に日本政府が10億円程度を支出すること」

「ソウルの日本大使館前の慰安婦像については、韓国政府が関連団体と協議して適切に解決するよう努力すること」

「両政府は、国連など国際社会でお互いに非難・批判することは控え」

「最終的かつ不可逆的な解決とすること」

これらを確認した。


■合意は着実に実行されている?
 合意から2か月、何か進展はあったのだろうか。安倍首相は合意に至った際、朴大統領と電話会談を行い、次のように話した。

 「反省とおわびの気持ちを表明してきた。その思いに今後も揺るぎはありません」

 確認事項にもあったように、安倍首相がおわびと反省の気持ちを表明している。


■元慰安婦の支援、慰安婦像の撤去は
 元慰安婦の支援については、韓国政府は「財団設立に向けて実務協議を進めている」としているが、具体的なスケジュールは見えていない。日本政府としては、財団ができるのを待って資金を出す構え。

 日本政府が強く求めた慰安婦像の撤去については、韓国政府は、設置したのは民間団体であることなどから、朴大統領は「政府がどうこうしろと言える問題ではない」と繰り返すにとどまっている。

 あまり前進しているようには見えないが、日本政府は、韓国国内に合意に反対する世論もある中、今は静かに準備をする時だとみているようだ。

 ある日本政府関係者は「韓国は4月13日に総選挙があるから、そこまでは動かないだろう。それ以降、合意を履行していくかがポイントだ」と話している。

 ただ、今年に入ってから北朝鮮が核実験やミサイル発射を行う中、「日韓が慰安婦問題で合意していたからこそ、すぐに電話首脳会談を行って連携することが出来た」というのが、多くの日本政府関係者の受け止めだ。合意によって、日韓の関係は前向きに変わっているということだろう。


■国連の委員会で
 こうした中、スイスで先月16日に行われた女性差別に関する国連の女子差別撤廃委員会で慰安婦問題が取り上げられ、日本政府は「軍などによる強制連行があったと裏付ける資料は見つからなかった」と説明した。

 杉山晋輔・外務審議官「日本政府が発見した資料の中には、軍や官憲による、いわゆる強制連行を確認できるものはありませんでした」

 また、杉山審議官は、韓国が主張する慰安婦の人数などについても、以下のように主張した。

 「(慰安婦の数)20万人という数字も、具体的な裏付けがない数字。『性奴隷』といった表現は事実に反します」


■事実は事実として
 これまで国際社会では、スリランカの女性法律家・クマラスワミ氏が1996年に英語で書いた報告書があり、その中にある「慰安婦は日本軍による朝鮮人女性の『軍用性奴隷』だ」と位置付けた認識が広がったままになっていた。

 これについて、ある政府関係者は「これまで日本の外務省は『静かにしていれば収まる』という立場で反論してこなかったが、実際には収まらなかった。安倍政権になって、事実は事実として言い、誤解があれば、それを正して日本の考え方を国際社会に伝える努力をしようという方針に変わった」と説明している。


■日韓合意に反する?
 国連の場で国際社会に対し、日本が説明をしたことは日韓合意に反しないのか。確かに日韓合意では「両政府は、国連など国際社会でお互いに非難・批判することは控える」と合意したから、これに違反しないのか気になるところだ。

 これについて菅官房長官は「事実関係を述べただけで、韓国政府を批判するものではなく、日韓合意に反するものではない」としている。

 実際、韓国側の反応も抑制的なものにとどまっている。このあたりは「日韓合意を損なうことがあってはならない」と、日韓両政府がギリギリのラインでは折り合っているようだ。


■冷静に、着実に
 日本の周辺を見渡した時、北朝鮮の核実験やミサイル発射、中国による南シナ海での軍事的な進出など、日米韓3か国での対応が、ますます重要になってきている。

 慰安婦問題での合意を弾みに日韓の信頼関係を深めるためにも、双方が「冷静に、着実に」合意を実行に移していくことが求められている。