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インパルス・板倉俊之「“文章でも笑い”は作れるのか」 芸人と作家の経験でエッセー本に初挑戦

2023年8月1日 22:40
インパルス・板倉俊之「“文章でも笑い”は作れるのか」 芸人と作家の経験でエッセー本に初挑戦
初のエッセー集『屋上とライフル』を執筆したインパルス・板倉俊之さん
自身初となるエッセー集を執筆した、お笑いコンビ・インパルス板倉俊之さん(45)にインタビュー。お笑いのネタや小説との作り方の違い、マルチに活動する上で大切にしている考え方などを聞きました。

■芸人と作家の能力で「“文章でも笑い”は作れるのか」

板倉さんは、2009年に『トリガー』で小説家デビュー。その後も『蟻地獄』、『月の炎』などの小説を執筆し、2021年に『蟻地獄』が舞台化されると、脚本と演出を担当しました。本業の芸人だけでなく、作家など幅広く活躍しています。

そんな板倉さんにとって初となるエッセー集『屋上とライフル』(8月1日発売)。日常で起こる様々な物事がユーモアに富んだ文章で記され、板倉さんが幼少期から現在まで感じてきた、心がモヤモヤとした出来事がつづられています。

――エッセーを書くことは、普段の芸人やこれまでの作家としての活動とは脳の使い方に違いはありましたか?

芸人のネタを作るのと小説を書くのは全くの別物ですけど、お笑いの本は初だったから、両方の頭を使ってという感じですかね。小説を書けるようになるまで結構大変だったんで、その経験を無駄にしたくないというか再利用じゃないけど、そんな感じでできたらいいなと思って。笑いをおこすっていうことを目的とした物なので、今回は芸人として書いてる感じですね。

――今回「文章で笑いをつくることはできるのか?」という挑戦の意味も込めてエッセーを執筆されたそうですね。

ベースは芸人でやってきてて、小説も5冊くらい出してるなかで、(芸人と作家の)両方の能力を半々ずつ使ったら文章でも笑いは作れるのかなって思って。

――書き上げて、挑戦の結果はどう感じていますか?

やっぱり、しゃべりでやる時とはまた別物になるなと思って。文章にするとここが面白くなって、しゃべりだとここが面白くなるとかは感じましたね。話の骨組みは変わらないのに、テンポとかが違うのか。小説じゃないからそんなに描写を厚くしても読みづらいじゃないですか。その加減は、ここ詳しく書いた方が絵は浮かぶだろうけど、かったるいよなみたいな、独特な感じでしたね。

あとトークの場合って、ウケた、スベったがその場で分かるんですけど、文章の場合って“ちゃんとここで笑っているのかな?”っていう、確証を持たずに終えるしかないんですよね。だからそれぞれの笑うポイントがちょっと変わっちゃうかもしれないです。

■幼少期から現在までを振り返り「性格って変わらない」

――幼少期から現在までの板倉さんのエピソードが書かれていますが、自身の性格の変化を感じることはありましたか?

書いてみて分かったんですけど、性格自体はそんなに変わらないんだろうなって思って。知識とか客観の目とかを身につけて大人になるだけで、性格って変わらないんだろうなって思ったんですよ。これが許せないとかの感覚って生まれ持ったものなんだろうなって。

――板倉さんはどのような性格だとご自身で考えていますか?

つくづく興味あることしかできないんだろうなって思って。卒園式の写真とか見せられても、(幼稚園の)卒園式自体に興味がないじゃないですか。だから足上げて(変顔で)うへぇーとかやってるんですよ。飽きちゃってるとそうなっちゃうみたいで。でも興味あることはずっとやっちゃうみたいで、ゲームとかにハマって夏休みを丸々つぶした時とかあったし。だから極端なんですよね。やろうと思ったらずっとやっちゃうし、やりたくないことはできない。

■どのジャンルでも重要視するのは「自分が見ていて面白いか」

――芸人だけでなく、作家や自身のYouTubeでの動画編集、舞台の演出などマルチに活躍されていますが、どのジャンルでも“板倉さんらしさ”を感じるなと思いますが…。

最初に、“興味ないことはできない”って言ったじゃないですか。それは全部にそうで。すべて自分が見ていて面白いかどうかだけでやっちゃうんですよね。だからネタもこういうことやったらウケるんだろうなって思っても、それを自分が面白いと思ってなかったら作るパワーが生まれないんですよ。だからそういう感じで作ってると、自分と感覚が近い人が評価してくれるというか。

だから、YouTubeを当てるためにやってるYouTubeってもう見え透いちゃうんですよね。ちょっとなんか恥ずかしくなっちゃうというか。僕はたまたまハイエースの動画は見てもらってるけど、そもそも最初にやったのはサバイバルゲームの動画なんですよ。もともと動画サイトがあろうがなかろうがやってるんで、仕事スイッチ入れてやるんだったらお笑いのチャンネルをやっちゃった方がいいじゃないですか。せっかく趣味なのに仕事になって、なんか嫌な気持ちでやるっていうのが一番もったいないと思うんで、自分が楽しいかどうかでやってますね。

――板倉さんが今後挑戦したいジャンルはありますか?

昔から思ってるのは、結局ジャンルごと生み出さないと大成はないんじゃないかなと思うんですよ。ネタって僕が生まれた時からあるものだし、小説もそうだし、マンガもそうだし、結局ジャンルごと生み出した人じゃないと伝説にはなれないと思いますよね。ただ商売下手なので、世の中のマーケットを見て“これが当たる、やってみよう”っていう頭脳が全くないんで、現実的には無理でしょうけどね、ジャンルごと生み出さないとパイオニアになれないですよね。

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