●『パウ・パトロール』声優オファーに喜び

女優の仲間由紀恵が、アニメ『パウ・パトロール』の劇場版最新作『パウ・パトロール ザ・マイティ・ムービー』(12月15日公開)で、トラブルメーカーのヴィクトリア役の日本語吹き替えを務めた。5歳の双子の男児の母親でもある仲間。同シリーズは子供たちが大好きだそうで、オファーを受けたときはとても喜びを感じたという。仲間にインタビューし、本作に参加した感想や母親になってからの変化、女優業への思いなど話を聞いた。

仲間由紀恵 撮影:加藤千雅

リーダーのケントと個性豊かな子犬たちからなるチーム「パウ・パトロール」が、「パウっと解決! パウフェクト!」を合い言葉にそれぞれの特技を生かして大活躍する同シリーズ。『パウ・パトロール ザ・マイティ・ムービー』では、アドベンチャー・シティを舞台に新たな物語が展開される。

仲間は「『パウ・パトロール』は子供たちが大好きで見せていたので、映画のお話をいただきはとても驚きましたし、とてもうれしかったです」とオファーを受けたときの喜びを語る。

子供たちには声優として参加することは伝えていないそうで、もう少し大きくなってから気づいてもらうのが楽しみだという。

「まだ私の仕事を理解していないかもしれないなと。お父さんには『パウ・パトロール』のお仕事に参加させていただくことになったと伝え、『子供たちも後々気づくかもしれないし、子供たちが大好きな作品に参加できるのは面白いね』と楽しみにしてくれています」



○■『パウ・パトロール』は教育にもいい「ダメなところも個性なのだと」

普段から見ているという同シリーズの魅力については、どのように感じているのだろうか。

「『パウ・パトロール』の子犬たちが個性的でかわいらしく、それを見ているだけでも癒やされますし、あの子たちのおっちょこちょいなところや仕草も、子供たちも大好きですし、画がきれいでテンポ感もとてもいいので、見ていてどんどんストーリーに入っていける作品だなと思います」

弱点も個性だとプラスに捉える描き方にも魅力を感じているそうで、教育にもいいと太鼓判を押す。

「できないことやダメなところをマイナス要素として捉えるのではなく、個性なのだと前向きに思い直してもらえるような伝え方をしているので、教材としても見てもらいたいです」



『パウ・パトロール ザ・マイティ・ムービー』のお気に入りポイントも紹介してくれた。

「私は子犬たちが出動するシーンがワクワクして大好きなのですが、映画はたくさん問題が起こるので出動回数も多く、そのたびに子犬たちの『行くぞ!』というかわいらしい姿を見ることができて、ワクワク感もよりマイティパウジョンアップしています(笑)」

●5歳双子の母として奮闘中「子供が中心に」

2014年に結婚し、2018年6月に双子の男児を出産した仲間。改めて母親になってからの変化を尋ねると、「子供、家族が中心になり、生活がガラッと変わりました」と答えた。

「自分の時間はだいぶなくなり、子供たちのことを考える時間にほぼ費やしているわけですから、時間だけでいうと大変な部分もあります。仕事と育児の両立はなかなか難しくて正解は未だにわかりませんが、なんとかやっているという感じです」



○■「子供たちがいるからより頑張れるというパワーをもらっている」

昨年はNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』でヒロインの母役を演じ、今年もNHKドラマ10『大奥 Season2』などへの出演で話題に。仕事と子育ての両立に大変さを感じつつも、「子供たちに癒やされる部分もありますし、子供たちがいるからより頑張れるというパワーももらっています」と優しい笑顔を見せる。

「独身時代に仕事をしている時も自分のためだけとなるとそこまでパワーが出ないというか、一緒に頑張っているキャストの皆さんやスタッフさんの熱意や思いを感じると頑張ろうと思えるんです。今は家族にパワーをもらって助けてもらっているなと思います」

母親になってから、自分の子供に限らず、多くの子供たちに喜んでもらえる作品に関わる喜びを感じるように。

「こういう作品は子供たちが喜んで見るんだといった気づきがあり、それはうちの子だけでなくほかのお子さんにも共通するものだと思いますし、子供が何か感じられるということは親御さんにとってもいい影響があると思うので、そういうお役に立てるような作品に参加できるのはうれしいなと思います」

子育てにおいて大切にしていることは「子供と関わる時間をできるだけ増やす」ことだという。

「忙しい時でもできる限り反応して話を聞いて、時間があるときは絵本も読んであげたいですし、彼らがやっていることをよく観察して関わるように心がけています。仕事に出ている時は園に預けて先生方にお願いすることが多いですが、できる限り関わりたいなと」



○■声優の仕事の面白さを実感「また機会があったらぜひ挑戦したい」

『パウ・パトロール ザ・マイティ・ムービー』で仲間が吹き替えを担当したのは、トラブルメーカーであるマッドサイエンティストのヴィクトリア役。マイティパワーを与えるまほうの隕石を引き寄せる磁石を盗み出し、ある悪事を働こうと企むという悪役だ。

仲間はヴィクトリアについて「自分が頑張ってきたことを認めてもらいたいという欲がとても強い人」と捉えている。

「天才科学者になるまでにすごく頑張ってきたから『認めてほしい』と声を大きく上げているんだろうなと感じました。自分のことだけ考えすぎてトラブルメーカーになってしまっていますが、心の底から悪人というわけではないと思うので、どこか愛嬌のあるような、でも自我が強いということを意識し、普段よりも強い声を出すことを心掛けました」

仲間自身は、女優業において自分を認めてもらいたいといった承認欲求はあまりないという。「認められたいと思って役者をやっているわけではなく、自分の興味でやらせてもらって、いただいた役を追求しているので」



仲間由紀恵が吹き替えを担当したヴィクトリア

吹き替えを担当したのは2014年公開のアニメ映画『ジョバンニの島』以来9年ぶり。とても新鮮な気持ちでアフレコを楽しんだという。

「アニメに声を当てる経験が多くないので、右も左もわからず、監督やスタッフの皆さんにアドバイスをいただきながら演じました。新しい挑戦でもあるので本当に楽しく、やればやるほど面白いお仕事だと感じました」

アフレコの翌日に全身筋肉痛になったそうで、「それぐらい体も使ったんだなと感じましたし、声優さんの仕事の大変さと素晴らしさを身をもって体験することができたので、とてもありがたい時間でした」としみじみ。「新しい世界を体験させていただき、とても面白かったので、また機会があったらぜひ挑戦したいです」と意欲を見せた。

●素敵な役との出会いに感謝 『ごくせん』も回顧

仲間は1994年に沖縄テレビ放送『青い夏』のオーディションでグランプリに輝き、同年デビュー。来年芸能活動30周年を迎えるが、どの作品も毎回0からという気持ちで挑んでいるという。

「作品ごとに違う役を演じるので、毎回0からという気持ちです。今回はこの役をどんな風にしようかなと、いつも挑戦させてもらっている感じで、常に必死です。余裕はないですが、怖がらずいろんな役に挑戦するようにしていて、そんな風に必死にやっていたらこんなに時が経ったなと。ありがたいことに素敵な役や作品に出会えてきて感謝しています」



○■『ごくせん』が転機に 心に響く声にも「生きているのかな」

特に大きな経験になったと感じている転機を尋ねると、主人公のヤンクミこと山口久美子を演じ大ヒットした日本テレビ系ドラマ『ごくせん』を挙げた。

「それまで先生役をあまり演じたことがなくて、同世代ぐらいの男の子たちに対して大声で罵声を浴びせるという役もやったことがなかったので、最初の頃は声も出なかったです。生徒たちに問いかける声の大きさがなかったので、必死に声を出して、もちろん最初は声が潰れていました」

仲間は心に響く声も魅力の一つだが、「『ごくせん』の経験も生きているのかな」とほほ笑み、「この仕事をやっていく中で声帯が鍛えられてきたというのはあると思います」と話した。

○■笑ったり感動できる作品から「パワーをもらっている」

今後については「何も考えてないです」と笑い、「明日死ぬ可能性だってありますし、だからこそ、笑ったり感動させてもらう作品はすごくパワーをもらえるんです」と、さまざまな作品からパワーをもらって生きているという。

『パウ・パトロール』からもパワーをもらっているそうで、「前作の映画を何回も見ていますが、ケントとチェイスの小さい頃の話に感動し、頑張るぞという勇気をもらえるんです。そして、もらった感動やパワー、元気や勇気を思い出して自分も前に進めるというか、大変なことがあっても、あの時あの子も頑張っていたからと思って頑張れる時があります」と明かす。

仲間の原動力にもなっている『パウ・パトロール』。「今回の作品もいっぱい笑ってもらって、そして、何か心に残るものがあるといいなと思っています。大人も絶対楽しめる作品なので何度でも見に行ってたくさんパワーをもらってください」と力強く魅力をアピールした。





■仲間由紀恵

1979年10月30日生まれ、沖縄県出身。1994年に沖縄テレビ放送『青い夏』のオーディションでグランプリに輝き、同年デビュー。以降、『TRICK』、『ごくせん』など多くのシリーズヒット作に出演。映画『私は貝になりたい』(2008)では日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞。『NHK紅白歌合戦』の司会を4度務めるなど幅広く活躍中。近作にドラマ『相棒』シリーズ、『10の秘密』(2020)、『24 JAPAN』(2020)、『女王の法医学〜屍活師〜』シリーズ、映画『鋼の錬金術師』シリーズなどがあり、音楽番組『MUSIC FAIR』の司会も務めている。

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