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ZARDのトリビュートバンドとして活動をスタート。昨年2月には、TVアニメ『名探偵コナン』のEDテーマ「少しづつ 少しづつ」を発売。この曲の歌詞は、ZARD・坂井泉水が生前に執筆していた未公開の歌詞を使用。『名探偵コナン』とZARDも深い関係を持っていたことから、ZARDファン・『名探偵コナン』ファンの両方から高い支持を得ていた。そんなSARD UNDERGROUNDが、同曲も収録した1stアルバム『オレンジ色に乾杯』を9月1日に発売。ショートアニメ『スナとマヌ』のテーマ曲なども収録された今作の魅力をメンバー三人にじっくり語ってもらった。

――坂本(ひろ美)さんはショートアニメ『スナとマヌ』で声優に初挑戦しました。どんな役柄だったのか、実際に演じてみての気持ちも踏まえ、教えてください。

坂本ひろ美 演じたのは、三猫たちによるバンドサークルのメンバーの一人「からあげくん」という役柄でした。体調不良で脱退した赤坂さんの代役でもあるので、彼女を想いながら挑みました。映像を観ながらしゃべることは初めての経験で、実際に演じるまでドキドキしていましたが、始まったらあっと言う間。難しさもありますが、とても楽しい経験になりました。

神野友亜 ろみさん(坂本)の話を聞いていたら、私も挑戦したいと思いました。

杉岡泉美 私もです(笑)。

――SARD UNDERGROUNDは、『スナとマヌ』の第1期主題歌「ブラックコーヒー」、そして今流れている「イチゴジャム」の2曲を担当(取材時。現在第3期主題歌「擦り傷だらけの純情」がオンエア中)しています。「ブラックコーヒー」の歌詞では“恋する世界はストロベリーのように”と歌っていましたよね。「イチゴジャム」では、“温めると溶ける ふたりの恋みたい”とも表現。この2曲、続きの物語として書いたのでしょうか?



神野 『スナとマヌ』の主題歌をというお話を受け、最初に書いたのが「ブラックコーヒー」でした。かわいらしいスナやマヌを通して感じ取った印象や世界観を大切にしたうえで、当時の心境も重ね合わせて書きました。その後、第2期主題歌を制作し始める時にプロデューサーと話をしたのが、『前作が「ブラックコーヒー」だったから、今回も食べ物繋がりのタイトルにしようか』ということでした。そこから、私が言葉を書きためている作詞ノートに記した「“君に作ったイチゴジャム 甘さは控えめがいい”という言葉を使って歌にしよう」ということになり、「イチゴジャム」が生まれました。ただ、言われたような繋がりはまったく意識していなかったんです。私自身、「ブラックコーヒー」の歌詞に“ストロベリー”という言葉が出ていると言われ、「あっ、本当だ!」と改めて気づいたように、そこからの繋がりはありませんでした(笑)。

――そうだったんですね。SARD UNDERGROUNDといえば、TVアニメ『名探偵コナン』のEDテーマ「少しづつ 少しづつ」も担当していました。皆さんの身近には、どんな反響の声が返ってきましたか?



杉岡 身近な人たちの中には泣いて喜んでくれる人もいて。私たち自身も小さい頃から慣れ親しんできた作品なので、番組で歌が流れたときは夢を見ているような感覚でした。

神野 「少しづつ 少しづつ」は、ZARDの坂井泉水さんの未公開詞を歌った楽曲ということもあって、『名探偵コナン』のファンの方々はもちろん、ZARDさんのファンの方々からも喜んでくださる声がたくさん届いて。「少しづつ 少しづつ」をきっかけにSARD UNDERGROUNDのことを知ってくださる方が増えたのも、とても嬉しいことでした。

坂本 坂井さんの未公開詞を歌うというプレッシャーは、正直とても大きかったです。ですが、大切に想いを届けたいという気持ちで、イベントなども一生懸命みんなで頑張りました。その頃から、たくさんの温かいコメントをいただけたのは嬉しい自信になりました。

神野 ZARDさんのファンの方々が、「未公開の詞を、SARD UNDERGROUNDの歌として聞けたことが嬉しい」と言ってくださったんです。その言葉を聞けたのも嬉しかったですね。

――アルバム『オレンジ色に乾杯』には、同じく坂井さんの未公開詞を歌にした「夏の恋はいつもドラマティック」を収録しています。坂井さんの歌詞を受け継ぐのは、大きなプレッシャーでもありますか?

神野 もちろんプレッシャーはあります。でも、とても光栄なことなので、そのお話をいただくたび、1曲1曲大切に作り続けてきました。

――「夏の恋はいつもドラマティック」の歌詞を読んだときの感想も、それぞれ聞かせてください。

神野 「相手のことが好きなのに、相手のことを想うあまりにちょっと距離を置いてしまう」「相手のために強くありたいと願う女性の気持ち」など、相手想いの歌詞に坂井さん特有の世界観が出ているなという印象を覚えました。

杉岡 坂井さんの歌詞は、優しく寄り添ってくれることが多く、聞くたびに頭から離れられなくなる言葉が多いなと思っています。今回もその印象を受けて、坂井さんの詞(ことば)を想いながら形にしていきました。

坂本 「夏の恋はいつもドラマティック」を聴いていると、いつも優しく、温かい気持ちになれます。私も坂井さんの歌詞から、強い女性でありたい気持ちと、相手を想いやる気持ちの両方を感じていたので、その気持ちを大切に演奏しました。

――アルバム『オレンジ色に乾杯』、当初は『夏の終わりに…』というタイトルでもう少し早い時期にリリースする予定でした。そこが変更になった理由も聞かせてください。

神野 当時、結成のときから一緒に活動を続けてきたギターの赤坂美羽が、バンドを脱退することになったんです。最初はメンバーみんな驚きを隠せませんでしたし、すごく悲しかったです。ただ、この三人で顔を合わせた時、以前と変わらない笑顔と優しい空気がバンドの中にあったことで、三人とも「これからも、今までと変わらずに前を向いて頑張っていける」と思いました。タイトルは、これからも頑張っていくぞ!という前向きなタイトルにしようという話しになり、予定していた『夏の終わりに…』でなはく『オレンジ色に乾杯』と題名を変え、今回リリースする形にしました。

――目の前のあらゆることを、三人は前向きに受け止めたわけですね。

三人 そうです。

――『オレンジ色に乾杯』というタイトルに込めた想いも、ぜひ聞かせてください。

神野 タイトル自体は、ZARDのプロデューサーでもある長戸大幸さんが決めてくださいました。私は、オレンジ色に夏の終わりのイメージと言いますか、秋が似合う色という印象を持っています。それこそ、夕暮れの日射しの色もオレンジだったり。だからと言って、その色は切ないだけではなく明るさも感じさせてくれる。それに、アルバムのリリースする時期も9月1日という秋の始まりの季節ということから、ピッタリだなと思いました。



――アルバムの1曲目を飾ったのが、「オレンジ色」。サビの“オレンジに染まる葉っぱ”というフレーズが、とても印象深く耳に響きました。

神野 この曲は”オレンジ”をテーマにしたくて、夕暮れ時のオレンジ色やフルーツのオレンジの甘酸っぱさなど、いろんな”オレンジ”を取り入れました。この歌では、黄昏時の帰り道も舞台にしていて、その風景は私の中で、学校から家路に向かう放課後の景色のようであり、そこへ青春という匂いも覚えます。この楽曲では“オレンジ”、“初恋”をテーマにしているので、楽曲を聴いて感じとってもらえると嬉しいです。

――アルバムを通して聴いたときから、“ひと夏の物語”という印象はありましたけど。まさか、初恋の歌から始まり、決して結ばれない恋にまでいってしまうとは……。この女性には、いったい何があったのか?と想像を巡らせてしまいます。

神野 そこは、自由に楽しんでください!

坂本 その展開を聞いたら、「えっ?!」と思ってもう1回聞きたくなりますよね。まさに、私がそうでした(笑)。

杉岡 私もです(笑)。

――「あの夏の恋は眩しくて」も切ない歌ですよね。

神野 当たり前になりかけている日常が続くと、そこへ感謝する気持ちが薄れてしまうことってあるじゃないですか。そういう時期にこの歌を聞くと、「目の前のことを大切にしなきゃいけない」と思えるといいますか。そう感じてもらえる歌にしたかったんです。

――友亜さんの場合、恋愛ソングに見せかけて、その裏には伝えたい明確な想いやメッセージがあることが多い気がするのですが。

神野 はい、そういったことは意識しています。「オレンジ色」も初恋を題材にしながらも、「挑戦する心」や「新しいことを発見してゆく喜び」という想いを込めて書きました。「あの夏の恋は眩しくて」には、先にも語った「当たり前になっている日常」や「目の前の物事への感謝の気持ちを忘れないように」。そして、「その人にとっての大切なものに気付ける歌にしたい」想いを込めながら歌詞を書きました。

――続いて、「夏の恋はいつもドラマティック」「これからの君に乾杯」「少しづつ 少しづつ」と、坂井泉水さんの未発表詞を元にした楽曲がアルバムから流れてきます。



神野 こうやって、坂井さんらしい歌詞に出会えたことも。それを、私たちが歌わせていただけていることも、ものすごく光栄で嬉しいことだと受け止めています。

――「イチゴジャム」と「ブラックコーヒー」に挟まれる形で流れてくるのが、「君には敵わない」。この歌詞は、意外とストレートに想いを書いていませんか?

神野 私、たとえ幸せな想いを書いていたとしても、最終的に切ない歌詞に持っていく癖があるみたいなんです。長戸プロデューサーにも、「悲しい感情で終わってしまうことが多すぎる」と、ご指摘をいただいたこともあって、自分でも「たしかに」と気づくこともありました。だから、その言葉も踏まえて「君には敵わない」では感じたまま素直に想いを書こうと思い、飾ることなく、純粋な恋模様を書いてみました。

――友亜さん自身、無意識のうちに切ない内容を求めてしまうということ?

神野 そうなんですよ。どうしてでしょうね(笑)。気づいたら切ない方向の歌詞になっていくことが多いので、「君には敵わない」では純粋に真っ直ぐな恋心を書きました。

坂本 私は“でも君は いつも笑顔で 大きな手を広げて受けとめてくれる”というフレーズが好きなんです。その言葉を聞くとキュンとするんですよね。

杉岡 サビに出てくる“君が歌うなら聴いていたい 全部愛おしいよ”とか、歌い手である友亜ちゃんらしい言葉が出てくるところにもキュンとしました。

――意外性があったのが、激しい演奏で攻める「黒い薔薇」。この曲を聴いたときに、「SARD UNDERGROUNDには、こういう表情もあるんだ」と嬉しい驚きを覚えました。

神野 「黒い薔薇」は、私が初めて作詞をした歌です。たしかに曲調的にはSARD UNDERGROUNDらしさとは異なる面も出ていますが、デモ音源を聴いたときからどうしてもSARD UNDERGROUNDの楽曲として歌いたくて。長戸プロデューサーに「この曲を歌いたいです」と歌詞を書いて持っていきました。

――でも、いつもの歌詞の書き方とは明らかに違いますよね。

神野 バラの花言葉を調べていた時に、黒いバラの「貴方はあくまで私のもの」「決して滅びることのない愛」という花言葉が目に止まって、この言葉のような二人の関係性や世界観を描いてみたいと思ったのが始まりでした。この歌詞を書いてプロデューサーさんに見ていただいた時に、「この暗い世界観にしたいなら、とことんダークに染めようよ」という言葉をいただいて、難しい漢字や古いお城を連想させるような “蜘蛛の巣の青い城”、“埃まみれの天鵞絨(ビロード)”、“螺旋階段の夢”といった言葉を詞に入れました。

坂本 天鵞絨(ビロード)って何だろうと意味を調べてしまいました(笑)。

――そして本作の最後を飾るのが「夏の終わりに…」。まさか“決して結ばれない恋”の歌だとは思いませんでした。

坂本 「大人な恋愛だなぁ」とは思っていたけど、私もその言葉を聴いてビックリしました。

杉岡 その言葉を聴いてから、改めて「夏の終わりに…」を聞いたら、“「ごめんね」と言えば きっとあなたは 私から離れていくでしょう?”など、そう思わせる言葉も色々出てくるから、ますます頭の中で物語が具体化していきました。

神野 結ばれない恋の歌とはわからないように、と歌詞を書いたつもりだったんですけど。長戸プロデューサーにそのことをすぐ見抜かれたときは、「すごい!」と思って、改めて尊敬しました。



――通常盤のみに収録された「Blue tears」も、とても切ない歌ですよね。

神野 このアルバムの中で、私の一番好きな歌が「Blue tears」です。とても綺麗でお洒落な曲調や繊細なメロディは、すごく私好みで。デモ音源を聴いた瞬間、サビ頭の“泣いてるのに 泣いてないみたい”という言葉が思い浮かび、その一行から物語を広げるように書いていきました。

――完成したアルバム『オレンジ色に乾杯』、それぞれどんな作品として捉えているのかも聞かせてください。

神野 まさに、新しいSARD UNDERGROUNDの姿を映し出したアルバムになりました。

杉岡 切ない曲からポップで明るい歌まで、色んな表情を楽しんでいただけると思います。

坂本 坂井泉水さんの未公開詞の曲もあれば、友亜ちゃんの色んな心模様が見えてくる歌詞もあるように、様々な世界観が詰まったとても魅力的なアルバムが出来ました。

――SARD UNDERGROUNDは、10月に大阪と東京でワンマン公演を行なうことも決定しましたね。

神野 私たちにとって1年ぶりのライブになります。ライブで初披露となる曲たちがたくさんあるのでとても楽しみにしています。もちろん、感染対策もしっかり対策したうえで楽しいライブにしていこうと、すでに張り切ってます!

――最後に、各々特にお薦めの曲を紹介して締めましょうか。

坂本 私は、「あの夏の恋は眩しくて」と「Blue tears」ですね。私の好きな楽曲の世界観にピッタリで、大好きです。

杉岡 私は「黒い薔薇」。楽曲もベースもかっこいいので、ぜひ聴いてください。それと、坂井さんが作詞をされた「夏の恋はいつもドラマティック」も、聴いてるとワクワクしてくるので、ぜひみなさんにも聴いていただきたいです。

神野 私は「Blue tears」がお気に入りです。それと、シングルとしても発売した坂井さんの歌詞を元に歌った「これからの君に乾杯」。この歌を、アルバムを通した流れとして聞くと、すごく元気をもらえる曲だなぁという印象を覚えました。私の書く歌詞は、遠回しに「元気になって」と伝えていく傾向が多いなか、坂井さんの楽曲は「元気になって」という想いがストレートに伝わると思います。この歌を聴いて、元気になってください!

INTERVIEW & TEXT BY 長澤智典

●リリース情報

SARD UNDERGROUND 1st アルバム

『オレンジ色に乾杯』

9月1日(水)発売

【初回限定盤A(CD+DVD)】



品番:GZCA-5306

価格:\4,950 (税込)

<特典DVD>

SARD UNDERGROUND memory of 2019 ~ 2021

【初回限定盤B(CD+DV)】



品番:GZCA-5307

価格:\4,400 (税込)

<特典DVD>

Music Video「少しづつ 少しづつ」「これからの君に乾杯」「あの夏の恋は眩しくて」「夏の恋はいつもドラマティック」

【通常盤(CD)】



品番:GZCA-5308

価格:\3,300 (税込)

<通常盤 Bonus Track>

Blue tears

作詞:神野友亜 作曲:花沢耕太 編曲:鶴澤夢人 / 長戸大幸

■収録曲(※全形態共通)

1.オレンジ色

作詞:神野友亜 作曲:川島だりあ / Chris 編曲:鶴澤夢人 / 長戸大幸

※KBS 京都「キモイリ!」エンディングテーマ

2.あの夏の恋は眩しくて

作詞:神野友亜 作曲:山口篤 編曲:鶴澤夢人 / 長戸大幸

※第52期サンテレビガールズ イメージソング

3.夏の恋はいつもドラマティック

作詞:坂井泉水 作曲:徳永暁人 編曲:徳永暁人 / 長戸大幸

4.これからの君に乾杯

作詞:坂井泉水 作曲:川島だりあ / Chris 編曲:鶴澤夢人 / 長戸大幸

※MBS「+ music」2020 年 4-6 月エンディング曲

5.少しづつ 少しづつ

作詞:坂井泉水 作曲:大野愛果 編曲:鶴澤夢人 / 長戸大幸

※読売テレビ・日本テレビ系アニメ「名探偵コナン」エンディングテーマ

6.イチゴジャム

作詞:神野友亜 作曲:大野愛果 編曲:鶴澤夢人 / 長戸大幸

※アニメ「おかしなさばくのスナとマヌ」主題歌

7.君には敵わない

作詞:神野友亜 作曲:川島だりあ / Chris 編曲:鶴澤夢人 / 長戸大幸

8.ブラックコーヒー

作詞:神野友亜 作曲:大野愛果 編曲:鶴澤夢人 / 長戸大幸

※アニメ「おかしなさばくのスナとマヌ」主題歌

9.黒い薔薇

作詞:神野友亜 作曲:大野愛果 編曲:鶴澤夢人 / 長戸大幸

10. 夏の終わりに…

作詞:神野友亜 作曲:徳永暁人 編曲:鶴澤夢人 / 長戸大幸

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