お笑いコンビ・イワイガワ。チョビ髭に背広姿がトレードマークの岩井ジョニ男はタモリの、ネタ作りを担当する井川修司は、三國連太郎、佐藤浩市、浅田美代子の付き人だった。

 岩井ジョニ男に、タモリから聞いた「忘れられないひと言」を教えてもらったところ、「この世界はフィーリングだよ。フィーリングは教えることはできない」だと話す。

「タモリさんに弟子入りを志願し、ご自宅に49日間通いつづけけて、やっと弟子入りを許されたんです。その初日にこう言われました。

『この世界はやっぱりフィーリングなんだよ。フィーリングは教えることできない。おもしろくても嫌われるような人間はダメだし、つまらなくても好かれれば売れる

かもしれない。そういうことを教えることはできない』

 たしかに、芸能界だけでなく、すべての世界でこのフィーリングが大切ですよね。

『信頼は昨日、今日で生まれるものではない』という言葉もありました。付き人をやめるときにかけられた言葉です。

『苦しくなったら、いつでも戻ってきていいよ。信頼は昨日、今日で生まれるものではない。お前と俺とは信頼関係があるからな』と言ってくれたんです。

 付き人時代、私が結婚したときには、仲人もやっていただきました。タモリさんが仲人を務めたのは、ボクと所ジョージさんくらいだと思います。

 
 タモリさんに言われて、いちばん嬉しかった言葉は『お前、普通のときがいちばんおもしろいな』です。力をこめることなく、自然体でいったほうがいいんだなあと思いました。

 最近、お中元やお歳暮のお手紙が、手書きになったんです。それに、それまで宛名は私の本名だったのが、『岩井ジョニ男様』と芸名になった。少しは認めてくださっているのではないかと、励みになっています。

 タモリさんの教えとしては……熟女の素晴らしさですね。いま、熟女はちょっとブームになっていますが、タモリさんがその草分けだったと思います。自分もそうなんですけれど、女性に叱られたいという願望が強いみたいで、タモリさんと2人で夜どおし、熟女のよさについて語りあったこともあるくらいです(笑)。

 付き人になった四半世紀前は、タモリさんのおっしゃる『聡明な熟女に叱られたい』というのが、よくわからなかったんです。ところが、自分が当時のタモリさんと同じくらいの年代になって、ようやくおっしゃっていたことがわかるようになってきた。お笑いに関してはまだつかめてないんですけどね(笑)」