『先輩がうざい後輩の話』五十嵐双葉役 楠木ともりさん、武田晴海役 武内駿輔さん、桜井桃子役 早見沙織さんインタビュー!3人の第1話の感想は──武内さんのお気に入りのシーンはあの場面!?
2017年最高のお気に入り数(1話=415,000いいね)を記録したSNS大人気コミックス『先輩がうざい後輩の話』がついにアニメ化! 10月9日から放送がスタート!
糸巻商事入社2年目の五十嵐双葉と、ガサツだけど面倒見がいい先輩の武田晴海。双葉は武田先輩をうざいと思いながらも、まんざらでもなかったり……2人の関係性にキュンとしたりほっこりする方が続出したはず。
さらにそこに桜井桃子と風間蒼太の関係も描かれていたり、いろんな人間模様を楽しめる作品になっています。
今回は、五十嵐双葉役の楠木ともりさん、武田晴海役の武内駿輔さん、そして桜井桃子役の早見沙織さんに作品の魅力と、第1話を見た感想を語っていただきました!
珍しい掛け合いでのオーディション。早見さんが受けた意外なディレクションとは?
──原作を読んだ印象を教えてください。
武内:SNSで発表する作品としてすごく合っているというか、パッと読めるけれど、お話が毎回毎回まとまっていて。
起承転結がしっかりしていたので、今はいろいろな漫画がツイッターに上がっていますが、お話のまとまり具合はトップクラスなのではないかなという印象を受けました。しかも社会人の話なので、仕事の合間に見たりすると共感できる内容だったりすると思いますし、そこも魅力的なんだろうなと思います。
──ちなみに皆さん、サラリーマン経験は……?
武内:ないんですよ。たぶんこの3人はみんなデビューが早いかもしれない。
──確かに3人とも、かなり若いときから声優として活躍されている印象があります。
楠木:私は高校生のときに、友だちのリツイートで回ってきたのが作品との最初の出会いで、ツイッターでよく見かけていました。サラッと読めるのに内容が濃くて、いいお話を読んだなぁという満足度が毎回高かったので、どんどん読んでいってしまうんです。
しかもフルカラーな上にキャラクターの表情がすごく豊かなので、登場人物たちの動きが伝わってきて面白かったです。リアルに時間が流れている感じがして、距離感が近い親近感のあるマンガだなと思いました。
私はこういう社会人の経験はないんですが、そういう経験をしているような気持ちになりました。
武内:本当に先生は絵がうまくて無駄がないんですよね。動きが想像しやすいから、すごいです。
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楠木:マンガなのに、ちょっとアニメっぽい感じがするんですよね。
早見:私は、オーディションのときに該当のセリフのシーンを見させていただいたのですが、それにプラスで原作も読みました。とても面白かったです!
キャラクターが瞬時に覚えられるくらいに濃くて、でもファンタジー過ぎないので身近にも感じられるんです。出てくるキャラクターを覚えられると愛着も湧きやすく、ずっと物語から離れずに読むことができたので、素敵な作品だなと思いました。
──正直、キャラクターをみんな好きになってしまいますよね。皆さんオーディションだったのですか?
武内:はい。みんなその役で受けていると思います。
──本当にピッタリだと思いまして、早見さんの桜井桃子役なんて「ありがとうございます!」と思うくらいハマっていました。
武内:本当に! 「それはそうだよなぁ!」って感じですよね。驚くほど原作を読んでいた時のイメージと合っていて(笑)。
早見:そんな…。でもどんどんブラッシュアップされていったといいますか。オーディションのときは結構ディレクションがあったんです。私は土田玲央さん(風間蒼太役)と2人で掛け合いのオーディションだったのですが、桃子は結構しゃべるセリフが多くて、一生懸命リードしなければと思ったんです。
はじめましてでしたし、掛け合いのオーディションも久しぶりだったので「どうやるんだっけ?」と思ってしまって(笑)。
武内:沙織さんがそんなことを言ったら、僕ら何にもできなくなりますよ!(笑)
早見:でも本当に久々で緊張しちゃっていて、「そこまでリードしなくていいです」ってディレクションがありました(笑)。
──桃子のキャラクター的には、奥手ですからね。
早見:そうなんです。恋愛に対しては奥手なので、グイっていくところとのバランスを考えながら演じていました。
──掛け合いでのオーディションの話は、あまり聞いたことがないかもしれません。
武内:確かにあまりないですね。音響監督の高寺たけしさんがキャラクターのバランスを大切にしていたというか、世界観の統一とか調和を考えていらっしゃる方なので、このやり方がこの作品にマッチしていたのかなぁと思います。
──作品自体も掛け合いがほぼ、ですからね。
楠木:双葉は他のキャラクターに対してリアクションしていくような掛け合いがほとんどなので(笑)、相手がいないとどこにボールを投げようかなっていう感じになっちゃうんですよ。
早見:確かに(笑)。
楠木:そう考えると、相手がいるほうがやりやすいので、私は掛け合いのオーディションがすごく楽しかったです。
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こだわり抜かれた背景が生み出すリアリティ
──原作の人気もすごく高い作品ですが、いよいよアニメーションになりました。映像を見た率直な感想をお願いします。すごく構成が練られていて面白いと思ったのですが……。
楠木:マンガのコマのままではなく、そこに細かい部分が足されていて、時間軸が明確にわかるようになっていたので、より世界観にのめり込めるなと思いました。それと私が驚いたのがキャラクターデザインで、原作がアニメっぽかったと先ほど言ったのですが、本当にマンガのキャラクターがそのまま動いている感じがしたんです!
武内:限りなく近かったね。
楠木:だから原作を読んだそのままの印象で演技をして、それでずれないのはありがたいと思いました。
──アニメが本当に原作の空気感をしっかりと再現していますよね。
楠木:本当に画の温度感が近いんですよ。しろまんた先生はいいシーンでちょっとぼやけた、温かい空気感を絵に出しているんですけど、その再現度が高くて。
武内:あと夕方あたりとか、そういう時間の経過とかの色の再現度も高かったから、温かさがある。光とかもかなりこだわっているのではないかと思いました。
楠木:そのぶん撮影さん(※背景や原画などの画をまとめ、エフェクトなどの効果を加えて最終的な映像にするところ)や色彩設計さんは大変そうですね。
武内:僕らみたいな仕事はスタジオにこもっているからあまり感じることがないけど、サラリーマンの方は、外の景色の変化で時間の経過を感じていると思うので、そういう背景がしっかり描かれていないとリアリティって生まれないのかな、と。
光の描写とか、そういうところを作り込んでいるのも素敵だなぁと思いました。より奥行きを感じられるというか。
──個人的には、会社の外観が出てくるところが好きでした。あれで時間経過もわかるし、この先も頻繁に出てくるので。
武内:だいたい1話で1回くらい、会社を見せますからね(笑)。
──早見さんはアニメを見て、いかがでしたか?
早見:キャラクター同士のエピソードなど、様々なところに焦点が当たっていて、群像感があるなと思いました。もちろん主軸は先輩と後輩なのですが、桜井と風間コンビがいて、大石(CV.小田柿悠太)&土方(CV.近藤孝行)プラス月城モナちゃん(CV.古賀葵)がいる。そこに黒部夏美(CV.青山玲菜)と桜井優人(CV.堀江由衣)がいて、そのあたりのエピソードも濃くて面白かったです。
武内:それが1クールの中でよくまとまっているんですよね。キャラクターも多いといえば多いんですけど、それがまとまりすぎていて、逆に今回(1クール)だけで満足しないでね!っていう気持ちはあります(笑)。
──そのくらい構成は最終話までしっかりしているんですよね。月城モナも前半から活躍していたり、おっしゃる通り、群像劇をきれいにまとめ上げている脚本の素晴らしさは感じました。だから、マンガもアニメも両方楽しめる作品だと思いました。
楠木:確かに!
武内:それぞれ独立した魅力がありますよね!
双葉、武田先輩、桃子、それぞれの役作りやキャラクターの魅力は?
──それぞれの役作りについてお聞きしたいのですが、双葉はいかがでしたか?
楠木:双葉はたぶん仕事もできるし、しっかりした子なんですけど、見た目が幼く、リアクションの部分での瞬発力がかなりあるキャラクターなんですよね。実は演じるとき、双葉の八重歯がキャラ作りの大きな要素になっていまして、なんかすごく猫っぽいんですよ。
引くときはすごく引くし、ツッコんでくるときはすごくツッコんでくる。で、照れたりもする。すごく表情が豊かだったので、キャラクター的に少し声は幼くしていて、滑舌もあまりよくし過ぎないようにしていました。
武内:びや──ってしゃべっていたよね。
楠木:「まみむめも」とかは 歯と唇の密着で出すようにしていたり、そういうところは八重歯からヒントを得ていました。でも、仕事をしているときは仕事モードに入っているので、演技自体では子供っぽさをあまり出さないように意識しました。先輩に対してツッコんだりしているときだけ素が出ちゃう、みたいな感じになればいいなとバランスを考えながら演じていました。
──芝居で子供っぽくしすぎなくても、見た目が十分子供っぽいですしね。
楠木:そうですね。態度や気持ちは成人なところはあるけど、たまたま背格好と声が幼いだけ、くらいになったらいいのかなと思っていました。
早見:かわいかった~。
武内:うるさすぎないうるささが絶妙でした。かわいげがあるというか(笑)。今言っていた通り、子供のワガママではないんですよ。イチ社会人としての姿が見えるからうっとおしくならない。
このバランス感覚は難しいと思うんですけど、ともりちゃんはうまくやられていたなと思います。僕自身も、すごくいい掛け合いができたと思っています。
早見:双葉も普段は落ち着いているもんね。武田さんの言葉とか、みんなの無意識なひと言で、ビシャーってなったりはするけど、何か要因があって過剰反応をしちゃうだけですし。
楠木:仕事時の電話対応とかは落ち着いていましたね。そういうところで年相応なところを出せたらいいなと思っていました。
──あとは第1話の最後の「奥さんじゃダメなんすか」も最高でしたね。
楠木:ありがとうございます! そのセリフ、オーディションでもあったんですよ(笑)。
武内:確かにあったなぁ。
楠木:普段うるさいのに照れてるときにモゴモゴしちゃうところとか、大好きです!
武内:でもあれ、難しいよね。急にかわいげ出してきても違和感がでるじゃない。だからすっごく難しいラインだと思う(笑)。
楠木:あくまで酔っ払って言ってしまっただけですよっていう。
早見:あそこはとてもかわいかったなぁ。毎話1個くらい(デレが)欲しいって思ってしまいました。
──それを聞いている武田先輩は内心どうだったんだろうと。
武内:先輩はブレないですよ。
──そんな武田先輩は、昭和な感じも漂っていますけど演じてみていかがでしたか?
武内:年齢的にはそこまでおじさんではないんですけど、武田は、感情がコロコロと変わる双葉に対して、わりとサラッとしているというか。表裏のないお陽さまみたいな存在感なので、そこが魅力的だと思います。
仕事でも頼りたいと思うし、プライベートでも一緒に遊んでみたいと思えるような男性像で、男から見ても好かれるようなところはあるのかなと思いました。
──頼りになる声でした。
早見:うん。頼りになる!
楠木:色気が出ないというところが難しいところであり、先輩の魅力だなと思いました。
武内:それでいて汗臭くなり過ぎてもダメだしね。
楠木:双葉からすると、ちょっとドキッとするところもほしいけど、それは先輩が狙っているものではなく、ただ双葉が感じ取ったものだけ、というバランスが難しいんですよね。
武内:そこはやはりアニメーターさんたちが表情をすごくうまく描いてくださって、武田のカラッとした表情がうまく出ていたので、完成した映像を見て、良かったなと思いました。
早見:武内くんのもともと持っている声がすごく引き立つから、「カッコ良すぎる!」っていうNGはよくありましたよね?
武内:でもそれは本当に良くないNGだと思うんですよ。いちばんやりたくなかったNGで……。
早見:そんなことないよ。にじみ出るものがある!っていうことだから。
──セリフ的にも、これを普通に武内さんの声で言ったらカッコよくなるだろうなと思うところが、絶妙な武田節だったので、素晴らしいなぁと思いました。
早見:本当に絶妙なところで調整していて。武田さんのラインがすごかったです!
武内:いやいや、まだまだですけど、頑張りました(照)。桃子さんの普段のしゃべり方なんかは、限りなく早見さんに近いように感じましたけど?
早見:どうなんだろう。こんなマドンナな動きはできないから(笑)、すごいと思う。
──学生の頃からモテ過ぎていたっていうキャラクターですからね。
早見:本当に無意識とあざとさの絶妙なバランスみたいなものが桜井さんにはあって、私には難しいなと思っていました。
武内:天然なわけでもないし。でも、天然なところもあるのかな?
早見:天然なところもあるし、意識的にやっているところもあるから、意外に掴めそうで掴めない人だったんです。
楠木:武田先輩は双葉目線だからカッコ良く見えるところがあるんですけど、桃子さんに関しては、風間さんから見ただけではなく、みんなから見ても良い女性に見えなければいけない。だけど本人にはそのつもりがないから、そのバランスがより一層難しい感じがしました。
早見:それでいて風間くんの前では、ちょっと違う面が出てくるからね(笑)。
武内:やっぱり風間くんをからかいにいくところとかはいいですよね!
早見:からかうシーンは楽しかったですね。風間くんも双葉ちゃんもすごくわかりやすく反応してくれるので、かわいいなと思いながら演じていました。
──よく写メを撮っていましたからね。
楠木:いつの間にかスマホを出していますから(笑)。
──ちなみに、土田玲央さんはいらっしゃらないですが、風間くんはいかがでしたか?
早見:風間くん、いいですよね!
楠木:私も風間くん好きなんですよ。
武内:いないから褒めておこう(笑)。
楠木:実は、土田さんとはアフレコをあまり一緒にできなかったんですけど、第1話は一緒だったんです。最初に聞いたときに、「あ、風間がしゃべってる!」って思った印象がすごく残っていて。
また、先輩とは違ったさり気なさ、不器用なところが良い方向に働いていて、自分のことを冴えないって下げてしまう控えめなところがすごくかわいいなって思いました。
早見:かわいい!
武内:それでいて協調性がないわけでもないからね。そこが魅力ですよね。
早見:細やかなところに気づいてくれるから、良いですよね!
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第1話の見どころは「おしるこ」!?
──第1話で良かったシーンはありますか?
武内:武田のおしるこを投げるシーンかな(笑)。そんなに動く?っていうくらい、ものすごく美麗なアニメーションになっていたので。
──肩の位置とか動きが、ものすごく細かく描かれていましたね。
早見:おしるこ投げアニメみたいになっていました(笑)。
楠木:あははは(笑)。でも、そのくらいすっごく気合いが入っていました。
武内:あそこだけループで見てみたいくらい超印象に残っていますし、素材がほしいですね。投げて渡すっていうのもアニメならではのシーンだし、そのあたりのいい具合のフィクションと、お疲れさんって渡す一杯のコーヒーみたいな。
実際はおしるこですけれど、すごく日常でありそうな同僚や先輩後輩のねぎらいの感じな気がして、それをアニメならではの表現で魅力的に描いているところが良かったです。何気ないことも実は幸せなことなんだよっていうのも感じられたので、いいシーンだったと思います!
楠木:私はもちろん、さっきの「奥さんじゃダメなんすか」も大きなポイントだったんですが、実は第1話を、武内さんと2人でお披露目会みたいな感じで現場で見させていただいたんです。そのときに感動したのは、冒頭の双葉が朝の準備をしているところ。
日常的な一人のシーンなのにこんなに動いて、空気感も伝わってきて、何なら匂いもしてきそうな感じ。 動きや色の感じが「すごい作品が始まるぞ!」っていう感じでドキドキしたのを覚えています。
武内:部屋の間取りまでわかる描き方をしていたよね。距離とか遠近感がちゃんとしているからこそ、こっちも感情移入できるというか。
楠木:そういう細かいところもぜひ見ていただきたいなと思います!
武内:ストッキングを履くだけで、いいアニメなんじゃないか?と思うのって、考えてみたらすごいことですよね。
──でもアニメファンって、そういう描写が細かいところを見ちゃうんですよね。髪の毛がすごく揺れているなとか。髪を縛るシーンもすごく細かいんですよね。
早見:私はOPテーマ「アノーイング!さんさんウィーク!」のアニメーションにとても感動しました!
【主題歌】TV 先輩がうざい後輩の話 OP「アノーイング!さんさんウィーク!」/五十嵐双葉・桜井桃子・黒部夏美・月城モナ(CV.楠木ともり・早見沙織・青山玲菜・古賀葵)
武内:ものすごく気合い入れてたなぁ。
早見:こんなに細かく絵が描き込んであるOPってそうそうないのでは?と思ってしまうくらいでした。
楠木:OPの映像にもストーリー性がちゃんとあるんですよね。
早見:1シーン1シーン止めて、ここではこんな事をしているんだと見てもらいたいです。
──桃子さんの胸のシーンもありましたし。
早見:風間くんがねぇ……。でもそういうところも全部歌詞とリンクしている動きでしたし、おじいちゃんがTシャツを破り脱ぎ捨てるところは、面白いなぁと思いながら見ていました。
──歌も、4人(双葉・桃子・夏美・モナ)で歌っていたんですよね。
早見:楽しかったです。
楠木:OPとカップリングの「アイドルソングうたってみた」を同じ日に録ったんですよ。録るところがたくさんあったんですけど、タイトな中でとにかく全部元気に録りました(笑)。
早見:私も時間的にはタイトでしたけど、2曲一気に録りました。
楠木:レコーディングのテンポ感が曲にも合っていて、すごく楽しいOPテーマになりました。
──ありがとうございます。では第2話以降も楽しみにしています!