昨年9月、出産後初めてイベントに登壇した大島優子(写真:Pasya/アフロ)

 4月よりスタートする長谷川博己主演ドラマ「アンチヒーロー」(TBS系)に出演することが明らかになった女優の大島優子(35)。本作は殺人犯も無罪にしてしまう弁護士を主人公とした司法の世界が舞台のドラマ。大島は弁護士のサポートをするパラリーガルという役どころで、連続ドラマのレギュラー出演は第1子を出産後初となる。

 大島といえば女性アイドルグループ・AKB48のエースとして活躍した後、2014年にグループを卒業し、女優に転身。当初は「元AKB」という肩書が先行して演技力を酷評されもしたが、近年は2019年度後期放送のNHK連続テレビ小説「スカーレット」、21年NHK大河ドラマ「青天を衝け」など話題作で好演し、女優としての評価を上げていった。

 また、私生活では21年に俳優の林遣都と結婚し、昨年1月に第1子が誕生したことを報告。アイドル出身女優の中では仕事もプライベートも順風満帆という印象があるが、SNS上では「結婚されてお子さんまで? いつの間に?」など、出産していたことを知らなかったという声も少なくなかった。

「昨年9月に大島さんが出席したブランド米の新CM発表会が、第1子出産後初の公の場となりました。当時は子どもが離乳食時期で、お米で5倍がゆや7倍がゆを作っていると子育て事情について語り、笑顔も見せていました。また、朝の時間は必ず子どもと1対1で一緒に何かをすると決めていると、情報番組で明かしていましたね。遊ぶのならば遊ぶと決めていて、その時は顔も洗わないとか。たまにAKB48時代の楽曲『ヘビーローテーション』の振り付けを子どもの前で披露することもあるそうです。現在、子どもはまだ1歳ちょっとなので、まだまだ手がかかる時期でしょう」(テレビ情報誌の編集者)

結婚、出産前の大島優子(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

■大島優子という名前を消したい

 母になって意識の変化もあったようだ。「FRaU」(24年2月19日配信)では、AKB48時代は「私がグループを守らなくては!」という気持ちで、メンバーの意識を高めるために自分に厳しく、その上で人にも厳しくしていたが、母親となり「守る」という意識も変わってきたと告白。自然災害や事故などで、万が一、最悪の事態になった場合は「なんとしてもわが子を一番に守る」ということを常に念頭に置いているという。一方、自身はどんどんたくましくなっていて、上手に受け流したり、諦めたりする技術も備わってきたという。人間としてのキャパシティーや生き方の幅が広がっているとも感じていると明かしていた。

 物事への許容範囲が広くなったことで、ストレスもたまりにくくなり、子育てだけでなく仕事にも良い影響が出ているかもしれない。

 だが、出産前の22年のインタビューでは、グループを卒業した当初の葛藤を打ち明けていたこともある。

「当時はAKB48の大島優子というフィルターをかけて見られてしまうため、『何よりも大島優子という名前を消さなければ』という思いが強く、しかも無理に消そうとするので悪循環になっていたそうです。これは、2017年に自分のことを誰も知らない海外に留学したことで、人からどう思われるか気にならなくなったそうですが、さらに最近は自身がAKB48にいたということを知らない若い人が増えてきて、それがすごく新鮮だとか。そんな今が転換期と感じ、どんな役でもやれるような準備をして、期待される俳優になれるように下地を固めていきたいとも話していました。女優として活動する上でネガティブなイメージがつきまとう“元AKB”という呪縛から、この数年で開放されつつあり、さらに母となったことで世間の印象もガラリと変化するでしょう」(同)

結婚前に夫となる林遣都(右)と豆まきをした大島優子(写真:アフロ)

■人生をやり直している感覚

 母親となったことで、女優として大島はどう変わるのか。週刊誌の芸能担当記者は言う。

「出産後のインタビューでは、経験も積んでライフスタイルも変わったので以前とは違う引き出しがあると答えていました。また5 年後、10年後の理想像ついては、今は人生を最初からやり直しているような感覚で余裕はないとしつつ、『これを仕事に生かそう』と思いながら必死に生きているだろう、と前向きに語っていました。母となったことで女優としてさらに表現や役の幅が広がりそうです。また、お母さんになることで、自然と親近感や柔らかさも生まれるでしょう。同世代には吉高由里子や新垣結衣、多部未華子など主演級の女優は多いですが、今後、大島も視聴者が安心して見られる女優として重宝されると思います」

 エンターテイメントジャーナリストの中村裕一氏は、大島についてこう期待を寄せる。

「愛嬌のある豊かな表情と、その裏に秘めたタフネスさ、芯の強さが彼女の魅力だと思います。吉高由里子、榮倉奈々と共演したドラマ『東京タラレバ娘』や、小林聡美と共演したドラマ『コートダジュールN゜10』では、自然体かつ器用な彼女の演技に可能性を感じさせました。語学留学や結婚、そして出産というライフイベントを経て、彼女の演技がどのように変化していくのか注目です。くしくもAKB48時代の同志であり、よきライバルでもあった前田敦子がその存在感と表現力で映画を中心に高い評価を受けて活躍しています。かつてアイドルとして切磋琢磨(せっさたくま)した両者が俳優として今、こうして注目を集めていることに、不思議な縁というか、つながりを感じます。2人が共演する姿を近いうちにぜひ見てみたいですね」

 母になって表現の引き出しが増えた大島が、女優として新たな覚醒をしてくれそうで楽しみだ。

(丸山ひろし)