「ヤクルト3−1阪神」(7日、神宮球場)

 対ヤクルト3連勝を狙った阪神はヤフーレを打ちあぐみ、借金生活に逆戻りした。デイリースポーツ評論家の中田良弘氏は、先発した才木浩人投手(25)の投球内容に「大きな成長を感じる」と語る一方で、重い失点につながった佐藤輝明内野手(25)の守備には「1点の重みを感じてほしい」と苦言を呈した。

 才木はこの試合で新しい投球スタイルを発見したのではないか。直球とフォークというこれまでのシンプルなパターンから、スライダーやカーブをうまく織り交ぜた投球へ。ゲームが進む中でそんな変化を感じ取ることができた。

 ヤクルトベンチは“追い込んだらフォーク”という才木の料理法を理解し、その決め球を見極めることに徹していたようだ。だからなかなか振ってくれず、非常に苦しいマウンドだった。

 立ち上がりからよくはなかったね。初回、西川に高めの直球を左越えに二塁打され、オスナには同じ高めの直球をスタンドまで運ばれた。

 高めの球を痛打され「今日はボールが走ってないのかな」と感じたかもしれないし、その後フォークを見切られたことで「どうしてだろう?どこかにクセが出ているのか」と迷いが生まれたかもしれない。

 しかし、そんな状況からよく立て直したと思うね。

 (二回以降は降板する六回まで1安打に抑え、結局6回を3安打、7三振、2四球、2失点で投げ終えた。村上からはスライダーと直球で2個の三振を奪った)

 マスクをかぶった梅野のリードもあるのだろうが、本来とは違う投球パターンを作り出したところに成長の跡が見えたし、こういう投球ができるようになると大きい。

 一方で、この日は野手陣が精彩を欠いたね。打線で心配なのは大山。ハーフスイングで空振りを取られるシーンが目立っていた。キャッチャーが捕球してから振っているようなケースもあったからね。4番として寂しい姿ですよ。

 大山と言えばフルスイングのイメージがあるだけに“らしくない”打席が続いている。本来、甘い球ならどんな球種にも反応して振れる打者なのに、今は待っている球にしか対応できない。それどころか狙っていない球に中途半端に反応してしまう。配球が頭の中で整理しきれず、迷いながら打っている感じだ。

 それと、見過ごせないのは大事な終盤で出た佐藤輝のエラー。むしろこちらの方が気になるね。

 (佐藤輝は1−2の八回二死二塁からオスナの平凡な三ゴロを後逸。致命的な3点目を与えてしまった)

 九回に森下が2塁打を放って気勢は上がったけど、1点差と2点差では状況が全然違う。外野の守備隊形だって変わってくるでしょう。いやあ、本当に痛いってもんじゃないですよ。

 (腰高で半身、雑に見えるその守備姿勢には首を傾げるばかり)

 2日連続でヒーローになったほどの打者なのにねえ。モロいけど打つ。読めない打者で投手からすれば投げにくい選手なんだけど、あの簡単なゴロを逸らすとは…。もっと1点の重みを感じてプレーしてほしいね。