9万年前に起きた「日本最大の巨大噴火」の被害範囲の全貌が明らかに!
9万年前に起きた「日本最大の巨大噴火」の被害範囲の全貌が明らかに! / Credit: canva
geoscience

日本最大のカルデラ噴火「9万年前の阿蘇4噴火」の全体像が明らかに!

2023.04.16 Sunday

巨大カルデラ噴火は火山下のマグマが一挙に地上に噴出する壊滅的な噴火を指し、将来的に日本で必ず発生すると言われています。

特にその可能性があるのが熊本県に位置する「阿蘇山」です。

もし阿蘇山で巨大カルデラ噴火が起きたら、日本は一体どれほどの被害を受けるのでしょうか?

産業技術総合研究所はその答えを探るため、約9万年前に発生した日本最大の巨大噴火「阿蘇4噴火」の被害範囲の全貌を明らかにしました。

それによると、噴火に伴う火砕流は九州中部〜北部にいたる平野部の大半に到達。

さらに阿蘇から約1600キロも離れた北海道東部でも、空から降下した火山灰がところにより1〜15センチの厚さで積もっていたとのことです。

本研究の成果は、将来的な防災対策や国土利用計画への活用が期待されます。

わが国最大の巨大噴火の全体像が明らかに https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2023/pr20230412/pr20230412.html “700万人瞬殺”の悲劇を防げ──阿蘇山・カルデラ噴火の恐ろしさ https://www.gqjapan.jp/culture/column/20160606/mount-aso-the-supervolcano

日本で最後に巨大噴火が起きたのは約7300年前だが…

巨大カルデラ噴火は、広大な範囲を火砕流によって壊滅させ、国土の全域におよぶ火山灰を引き起こすと予想されます。

特に火砕流は、超高温の火山ガスとマグマの混合物が時速数十〜四百キロという猛スピードで流れるため、飲み込まれれば命はありません。

また巨大カルデラ噴火は、その名の通り、壊滅的な噴火のあとに直径2キロ以上にわたる窪地(カルデラ)を作り出します。

火山下のマグマ溜まりが噴出によって空になり、その天井が崩れることでカルデラとなるのです。

これは過去に何度も巨大カルデラ噴火を起こした阿蘇山にも見られます。

阿蘇カルデラの空撮(2014年5月)
阿蘇カルデラの空撮(2014年5月) / Credit: ja.wikipedia

日本で最後に巨大カルデラ噴火が起こったのは、今から約7300年前の縄文時代です。

それ以降は幸運なことに発生していませんが、地質学的な証拠から「将来的には100%発生する」と専門家は指摘します。

そのため噴火の再発に備えて、被害範囲を正しく予測し、事前に対策を整えておくことが不可欠です。

そこで研究チームは、9万年前に阿蘇山で起きた国内最大の巨大噴火「阿蘇4噴火」の全体像を明らかにすることにしました。

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