Photo Stories撮影ストーリー
クワキウトル(クワクワカワク)族のトム・セウィド氏。ビッグフットを連想させる伝説上の生き物ズヌクワの衣装を身に着けている。(PHOTOGRAPHS BY WILL MATSUDA)
懐疑論者にとって、北米の森で目撃されているビッグフットは集団的妄想の証拠でしかない。対して未確認動物学者、すなわちネス湖の怪獣や中南米のチュパカブラなど、伝説上の生き物を探す人にとっては、未知なるものを理解したいというほぼ普遍的な欲求の表れだ。信じるか信じないかにかかわらず、ビッグフットを追い掛けること(ファンの間では「ビッグフッティング」と呼ばれている)は、米国の人里離れた場所を探索する絶好の機会になる。
「私はこれまでに46の州と5つの大陸でサスカッチ(ビッグフットの別称、サスクワッチとも)を探しました」と語るのは、北米ビッグフットセンターを運営するビッグフットの調査員クリフ・バラクマン氏だ。「シエラネバダ、アラスカ州のツンドラ、サウスダコタ州の岩だらけの川底など、(サスカッチは)素晴らしい自然の中に暮らしています」
ビッグフットの存在はまだ証明されていない。だが、ビッグフット実地調査協会(BFRO)などの組織が目撃情報をまとめ、地図を作成し、情報を一つひとつ精査し、信頼性や場所に基づいて分類している。こうした組織の調査はしばしば、旅人を未開の地へと導くガイドの役割を果たす。
北西は太平洋岸北西部の森から南東はフロリダ州中部のマツ林まで、類人猿のような未確認動物が目撃されたとされる場所は、米国の美しい場所の多様性と幅広さを象徴している。
なぜビッグフットの探索が米国のあまり知られていない地域を知るのにうってつけの方法なのか、旅行者はその伝承を守るため、どのように重要な役割を果たすことができるかを説明しよう。
自然とつながるビッグフッティング
米森林局の考古学者で、BFROの調査員と探検隊長を務めるシンディー・キャデル氏は、自然とつながることはビッグフット探しの何よりも具体的で前向きな成果かもしれないと考えている。
「気の合う仲間と自然の中に入り、アウトドアを楽しんだり、田舎の風景を見たりすることです」とキャデル氏は説明する。「しかも、そういう場所に未知の霊長類がいないとは言い切れませんよね」
西海岸沿いを南北に走るカスケード山脈の中部で3〜7日間の探索を引率するとき、キャデル氏は植物の同定、ネイチャーウォーク、先住民の歴史を学ぶ授業などを取り入れ、その土地と真の意味でつながろうと心掛けている。「ビッグフットは学際的なテーマです」と言う。
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