分類: 哺乳類
IUCNのレッドリストによる
危機の評価: 絶滅危惧種
食性: 草食
寿命: 30年
体長: 約1.5メートル
体重: 200～300キログラム
プロフィール
「森のキリン」として知られるオカピは、シカとシマウマを掛け合わせたような姿をしている。しかし、現存する種としては唯一のキリンの仲間だ。野生ではコンゴ民主共和国のイトゥリ熱帯雨林のみに生息しており、雨が降ってもぬれないよう、厚く油分の多い毛皮をまとっている。また、ひづめの裏に臭腺があり、縄張りを示すのに役立っている。短い角は先端を除き、毛皮で覆われている。オスには角があるが、ほとんどのメスはこぶしかない。
生息地と食性
オカピはうっそうとした熱帯雨林に暮らしている。尻と四肢は茶色と白のしま模様で、木漏れ日のなかで周囲に溶け込むことができる。
果実、芽、葉、小枝など、植物を主食とする。キリンやウシと同様、オカピにも4つの胃があり、硬い植物の消化を助けている。また、仲間のキリンと同様、暗い色の長い舌を持ち、木の枝から葉をむしり取ることができる。毎日20〜25キロほどの餌を食べ、その中には、ミネラルと塩分を含む川底の粘土も含まれる。栄養補給のため、コウモリの排せつ物を食べることもある。
行動と繁殖
オカピは昼行性で、単独行動を好む。ひづめから粘着性の物質を分泌して縄張りを示すほか、オスは縄張りに尿をまき散らす。ただし、小さな群れをつくり、一緒に食事をとったり、毛繕いしたり、さらには、遊んだりすることもある。
メスは通常、1回の妊娠で1頭の子を産む。子どもは生後わずか30分で歩き始めるが、少なくとも生後1カ月まで排せつできない。そのため、排せつ物のにおいで捕食者を引き寄せる心配はない。おとなは（繁殖期を除いて）あまり声を出さないが、子どもは母親がいないとき、悲しそうな声やせき込むような声、笛の音のような声を出す。母親は人には聞こえない低周波音で子どもとコミュニケーションを取る。母親は子どもを必死で守り、外敵が現れるとひづめを地面にたたき付けて追い払う。しかし、生後6カ月になると、子どもは独り立ちしなければならない。
脅威
国際自然保護連合（IUCN）のレッドリストでは、オカピは絶滅危惧種（endangered）に分類されている。野生の個体数は不明だが、この20年で半減した可能性もあると考えられている。野生ではヒョウが主な捕食者だが、人による狩猟の方が大きな脅威だ。2012年には、オカピ保護プロジェクトの本部にある保護センターで、武装集団がオカピ14頭の命を奪った。現在、密猟者は肉や毛皮のためにオカピを殺し続けており、国内で紛争が続いているため、野生生物を保護する法律の執行はますます困難になっている。人為的な森林伐採も重要な生息地の分断や破壊を招いている。
保全
1987年に始動したオカピ保護プロジェクトは、2012年に本部が襲撃を受けたにもかかわらず、現在も存続している。このプロジェクトでは、5000頭のオカピが暮らすイトゥリの森の世界遺産、オカピ野生生物保護区を支援している。また、コンゴ自然保護研究所と協力し、保護区を含むオカピの生息地をパトロールするレンジャーに資金や物資を提供している。レンジャーの任務は、武装密猟者がオカピを殺す前に拘束すること、オカピの生息地に害を及ぼす可能性がある農業の拡大を監視することだ。また、IUCNは英ロンドン動物園（動物学会）などと連携し、オカピを絶滅に追い込む可能性がある違法行為を減らすための10年計画を実行している。
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