中井貴一、コメディは間が大事！板谷由夏は高橋伴明に感謝「親鳥のような方」

第32回日本映画批評家大賞の授賞式が本日5月16日に東京・東京国際フォーラムにて開催され、主演男優賞の中井貴一、主演女優賞の板谷由夏が登壇した。

日本映画批評家大賞は、映画界を励ます目的のもと現役の映画批評家たちが選定する映画賞。立川志の輔の創作落語「伊能忠敬物語-大河への道-」をもとにした「大河への道」は、千葉県香取市役所の職員と大物脚本家が地元の偉人・伊能忠敬が主人公の大河ドラマ実現を目指して悪戦苦闘する現代コメディと、200年前の日本地図完成に隠された秘話を映し出すミステリーを交えた作品だ。

同作で総務課主任・池本保治 / 天文学者・高橋景保の2役を演じた中井は「撮影中はコロナ禍で、キャストやスタッフにつらい思いをさせてしまった。ですが、この賞をいただけたことが何よりの報いになると思います」とスピーチする。志の輔の同演目を観劇した中井は、感動のあまり自ら志の輔に映画化の直談判をしたことに触れ、「時代が変わっても人間ってそんなに変わらないんだということを表現したかった」と制作の裏側を明かす。

またコメディ作品に多く出演する中井は「コメディは難しい。笑いのツボは人それぞれ。間が大事なんです。悲劇の場合は数秒違っても泣いていただけるんですが、喜劇は0.1秒違うだけで笑っていただけない。緊張感を常に持ってコメディに臨んでいます」と語った。なお志の輔は第32回日本映画批評家大賞で特別賞（松永武賞）に輝いた。

そして、高橋伴明監督作「夜明けまでバス停で」での演技が高く評価された板谷。2020年冬、東京・渋谷区でホームレスの女性が突然襲われ死亡した事件をモチーフに「社会的孤立」を描く物語で、板谷はコロナ禍により仕事と家を失った主人公・北林三知子に扮した。

トロフィーを手に板谷は「このような賞をいただけるなんて思ってもいなかったので、ほんっとにうれしいです！」と頬をゆるませる。高橋とは2001年公開の映画「光の雨」以来のタッグとなった板谷は「私にとって親鳥のような方です。その監督が日本の今の不条理を描いた作品に、俳優部として参加できたのは本当に感謝しかないです」と思いを伝えた。

映画ナタリーでは、同授賞式の様子を引き続きレポートする。