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中国ドラマ イケオジ放談 第1回 [バックナンバー]

60歳以上の気になる俳優をトーク──チェン・ダオミン、ロー・ガーリョン、リー・グァンフー、チャン・フォンイー、コウ・ジェンハイ

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イケオジの宝庫と言われる中国ドラマ。皇帝や仙人、師父、父親、悪役、上司などさまざまなキャラクターとして登場し、物語に深みを与えている。

映画ナタリーでは中国ドラマを彩るイケオジにフォーカスしたコラムを全4回にわたって展開。第1弾となる今回はライターの青木久美子、小酒真由子、熊坂多恵に“中国ドラマでしか観られないイケオジ”の魅力を聞いた。また60歳以上の気になる俳優についても語ってもらっている。

取材・/ 金子恭未子

中国ドラマではイケオジが空を飛んでいる

──中国ドラマは美男美女スターの宝庫であるだけでなく、イケオジ俳優の宝庫という声も聞かれます。長年中国ドラマを追ってきた皆さんから見て、“中国ドラマでしか観られないイケオジ”の魅力ってありますか?

青木久美子 中国ドラマの武侠ものとか神仙ファンタジーはイケオジを堪能するのには最適なジャンルかなと思います。すごい経験と権力、さらに肉体的な強さを持ったおじさんが空を飛んだりしている(笑)。

一同 あはははは(笑)。

青木 「空飛ぶイケオジ」の活躍は日本では観られないですよね(笑)。

熊坂多恵 武侠とか神仙ファンタジーって若いから動けるとか強いってわけじゃないんですよね。おじいちゃんでも軽功とかが使えるから、体力とか関係なく若い人と互角に戦っていて「老いてもものすごく強いイケオジ」が観られます。あと「何千年も生きてるイケオジ」もいれば、「きれいな奥さんがたくさんいる皇帝イケオジ」もいる。

青木 歴史物の皇帝役もイケオジが締めてほしいところですよね。深みがあって重厚感のある演技ができるかどうかが大切だから。

熊坂 中国ドラマにはいろんな皇帝が出てきますけど、キャラクター造形が面白いなって思いますね。冷酷な皇帝もいますが、家臣や妃や皇子たちに対して飴と鞭の使い方がうまかったり、愛嬌があったり、お茶目に描かれることもあって。私が最初にイケオジ萌えしたのも「宮廷女官 若曦」で若曦がお仕えしていた皇帝でした。あと、中国時代劇で注目しているのは宦官。若い宦官はコミカルだったり、ヒロインを助けてくれたりするんですけど、年老いた宦官はこんなに悪いのか?ってぐらい悪いのもいて。もうほとんど人間じゃないというか、妖怪みたいな雰囲気を醸し出してる場合もあって(笑)。あれはなかなか日本のドラマだと観られない。

青木 若手が演じる狂気に満ちたキャラクターもいいけど、ベテランが悪役を演じていると締まりますよね。

小酒真由子 日本にはあまり入ってこないんですけど、警察ものもイケオジパラダイスですよね。若手スターが1人、2人キャスティングされる場合もありますけど、若手が先頭に立って捜査しているはずないだろうというリアリティの追求からか、登場人物の大半が40代以上。個人的な印象ですけど、中国ドラマで描かれる中年男性って若者に迎合していない感じなんですよ。若手を盛り立てるためにベテラン俳優がいるという構図ではないんです。

熊坂 そうそう、ギラギラしてる。

青木 自分に自信があるっていう印象はあるかも。

小酒 中国ドラマではイケオジたちが物語の中でより立っている感じがしますね。

熊坂 13億人から選ばれし、満漢全席のような華やかでギラついたイケオジから、山水画のように枯れた渋いイケオジまで鑑賞可能ですよね。

“イケオジ俳優”ってどう捉えている?

──日本では一般的に40代から60代のイケている男性を“イケオジ”と呼ぶことが多いようなんです。「イケオジ」を定義することは難しいと思いますが、皆さんの中で“イケオジ俳優”ってどう捉えていますか?

青木 主演というよりは、悪役とか脇で存在感を発揮している人というイメージ。パパッと思い浮かぶのは50代の俳優さんが多いですね。40代はまだまだ主役もやるし、ルックス重視で見ちゃうこともあるけど、50代以上は演技力が基本。個人的には、艶のある人が好きで、悪役でも妻に執着していたり、そういうキャラクターに惹かれます。

熊坂 主役ではないけど、お父さんとか上司とか、先輩の立ち位置で出てくるのがイケオジ俳優というイメージ。一般的には50代前後をイケオジっていうと思うんですけど、私はまだ色気があるうちはダメ(笑)。枯れていてかっこいい人がイケオジだと思っているので、「それはもう“イケおじいちゃん”じゃん!」っていうぐらいが好きです。

──主役をやるような俳優さんは、イケオジという感じでは捉えていないですか?

熊坂 私の中ではそうですね。例えば、日本だと西島秀俊さんとかは主演俳優さん。

小酒 私はお二人と違って、40代で主役をやる人でも、アイドル扱いが終わって、成熟した男性として魅力的な人はイケオジ俳優として見ていますね。

熊坂 ウィリアム・フォン(馮紹峰)とかも?

小酒 そうそう! だからヴィック・チョウ(周渝民)もイケオジ俳優と言っていいかなと。

熊坂 どうしてもF4をイケオジとして見られないんだよな(笑)。ケンちゃん(ケン・チュウ)なら、似合いそうなのでイケオジ枠もイメージできるんですが、なかなか仔仔をイケオジと認めるのが難しい…(笑)。(※編集部注:仔仔はヴィック・チョウの愛称)

青木 そうね。ちょっと難しいかも(笑)。

F4(エフスー)

台湾ドラマ「流星花園~花より男子~」でF4を演じたジェリー・イェン(言承旭)、ヴァネス・ウー(呉建豪)、ケン・チュウ(朱孝天)、ヴィック・チョウ(周渝民)によって2001年に結成されたグループ。

熊坂 同じく台湾のボーイズグループ飛輪海のケルビン(辰亦儒)が「斗羅大陸 ~7つの光と武魂の謎~」に出ているんですけど、師匠役なんですよ。彼自身がちょっと渋い役がハマるからイケオジと言われてもなんとなく違和感はないけど、じゃあ、同じグループ出身のウー・ズン(呉尊)がイケオジかと言われるとちょっと……。だから年齢じゃないのかもしれないですよね。

小酒 30代ですけど、ユー・ハオミン(俞灝明)はイケオジ枠に入れたくなるんですよ。

青木 わかる!(笑) でも彼はまだ35歳で入れたいけど入れられない。

熊坂 若いのにイケオジ感があるってなぜだ?(笑) 年齢じゃないのかもしれないですね。どういうキャリアを積んできて、どんな役をやるかによるのかもしれない。

小酒 イケオジ俳優って2タイプいると思っていて、若い頃から美男子でその美しさを保ちながらいい感じに歳を重ねて成熟した男性になった人と、いわゆる美男子ではなかったけど、歳を取ってからいい味が出てきて、脇役をやってもすごく目立っている人。こう考えるとスッキリするかなと(笑)。

チェン・ダオミンはこんな素敵な俳優さんがいるんだと思った

──中国ドラマに出演する“イケオジ俳優”全員を紹介することは不可能なので、今回は60歳以上、50代、40代に分けて、皆さんに気になる俳優を教えていただきました。青木さんと小酒さんに挙げていただいたのはチェン・ダオミン(陳道明)です。

中国ドラマ「慶余年~麒麟児、現る~」より、チェン・ダオミン演じる慶帝。(c)Tencent Pictures Culture Media Company Limited/(c)New Classics Television Entertainment Investment  Co., Ltd.

中国ドラマ「慶余年~麒麟児、現る~」より、チェン・ダオミン演じる慶帝。(c)Tencent Pictures Culture Media Company Limited/(c)New Classics Television Entertainment Investment Co., Ltd.

チェン・ダオミン(陳道明)

1955年4月26日生まれ、現在68歳。中央戯劇学院出身。出演作にドラマ「康熙王朝」「ラストエンペラー」「復讐の春秋 -臥薪嘗胆-」「慶余年~麒麟児、現る~」や映画「HERO」「インファナル・アフェア III」「妻への家路」などがある。

小酒 チェン・ダオミンはイケオジ好きでなくても、かっこいいと思う俳優さんかなと思うんです。60代以上のイケオジにはあまり萌えない私でもパッと思い付くのがチェン・ダオミン。若いときから美男子だったイケオジだと思うんです。いい意味で昔から全然変わらないですよね?

青木 変わらないね。むちゃ筋トレとかしてるのかな?(笑)

熊坂 (チェン・ダオミンが表紙を飾った「時尚先生Esquire」を見ながら)めちゃくちゃかっこいい。

青木 モノトーンが似合うイケオジですよね。

熊坂 最近の作品だと「慶余年~麒麟児、現る~」の皇帝役は印象的でしたね。着物がはだけていたりセクシーでヤバい(笑)。めちゃくちゃ頭が切れて優しそうに見えて冷たい。怖くて近寄れないから遠くから見ていたいようなカリスマ感が出ていました。「慶余年」はイケオジドラマなんですよ。

青木 そうですね(笑)。私は「インファナル・アフェア III」で見て、中国にこんな素敵な俳優さんがいるんだと思ったのが最初の印象。

小酒 インパクトありましたね! すごく覚えています。

青木 香港の俳優さんの濃さとはまた違った濃さで、大物マフィアとして登場してきたときのインパクトが大きかったですね。演技の印象も香港の俳優さんとは違ったじゃないですか? 今は中国でもアイドルから俳優になるパターンもあるけど、当時はみんな名門大学で演技を学んできた人ばっかりだったから。

小酒 中央戯劇学院出身なので舞台演技を学んできた人のお芝居のように感じます。

熊坂 香港スターは華やかさが魅力という感じでしたけど、大陸の俳優さんはゴリゴリしたストイックな演技という感じはしますよね。

小酒 私はチェン・ダオミンのよさって上品さだと思っているんです。休日を一緒に過ごしたら素敵なハーブティーを淹れてくれそう。「そこに腰掛けて詩の話でもしよう」とか誘われそう、という妄想が(笑)。ダントツで上品なおじさまに見えるんです。

青木 確かに、上品。「項羽と劉邦 King's War」の劉邦役もすごく好きだったんですけど、どこか知的な感じが漂っていた気がします。

熊坂 ハーブティと詩! 小酒さんの妄想が面白すぎます(笑)。私はチェン・ダオミンなら中国茶を振る舞ってほしいな。飲んだあと、「これで心残りはないな」って一刀両断にされそうだけど。そういうイメージ(笑)。

チェン・ダオミン出演作情報

中国ドラマ「慶余年~麒麟児、現る~」DVD-BOX1のパッケージ。(c)Tencent Pictures Culture Media Company Limited/(c)New Classics Television Entertainment Investment  Co., Ltd.

中国ドラマ「慶余年~麒麟児、現る~」DVD-BOX1のパッケージ。(c)Tencent Pictures Culture Media Company Limited/(c)New Classics Television Entertainment Investment Co., Ltd.

「慶余年~麒麟児、現る~」

DVD-BOX1~3 販売中 各税込1万6940円
発売元:コンテンツセブン / フォーカスピクチャーズ
販売元:TCエンタテインメント
各プラットフォームにて配信中

ロー・ガーリョンは悪役が似合うようになってきた

──中国と香港出身の俳優さんの印象の違いという話が出ましたが、小酒さんに挙げていただいたロー・ガーリョン(羅嘉良)は香港出身の俳優さんです。

中国ドラマ「江湖英雄伝~HEROES~」より、ロー・ガーリョン演じる蔡瑾。(c)Shenzhen Tencent Computer Systems Company Limited

中国ドラマ「江湖英雄伝~HEROES~」より、ロー・ガーリョン演じる蔡瑾。(c)Shenzhen Tencent Computer Systems Company Limited

ロー・ガーリョン(羅嘉良)

1962年12月16日生まれ、現在60歳。出演作にドラマ「岳飛伝 THE LAST HERO」「東宮~永遠の記憶に眠る愛~」「絶代双驕 ~マーベラス・ツインズ~」「江湖英雄伝~HEROES~」などがある。

小酒 ロー・ガーリョンって昔から見た目があまり変わっていなくて、調べたら60歳。若い頃はいわゆる“イケメン枠”というイメージだったんです。でも、年齢を重ねて貫禄が出てきた。最近は「江湖英雄伝~HEROES~」で演じたような悪役が似合うようになってきたと思います。

熊坂 中国時代劇を観始めた頃に、脇でいい味出しているキャラクターだったり、悪役はだいたい香港の俳優さんが演じているなんて話をしたことがあります。香港でアイドルとして一世を風靡した人が、年齢を重ねて中国ドラマでも活躍している。

小酒 ロー・ガーリョンは今のほうが俳優として好きですね。昔のいかにも香港スターという感じより、油が抜けて味が出てきた彼のほうが素敵に見えます。もしかしたらそれに気付いていない人が多いかもと。

熊坂 エールを送りたいみたいな(笑)。

小酒 香港の人たちも、こんなにロー・ガーリョンががんばっていることに気付いていないかもしれないと心配です(笑)。お薦め作品は「江湖英雄伝」。「東宮~永遠の記憶に眠る愛~」「岳飛伝 THE LAST HERO」とかにも出ているので、中国ドラマが好きな人は、ああ!あの役の人と思うイケオジだと思います。

ロー・ガーリョン出演作情報

中国ドラマ「江湖英雄伝~HEROES~」DVD-SET1のジャケット。(c)Shenzhen Tencent Computer Systems Company Limited

中国ドラマ「江湖英雄伝~HEROES~」DVD-SET1のジャケット。(c)Shenzhen Tencent Computer Systems Company Limited

「江湖英雄伝~HEROES~」

DVD-SET1~3 販売中 各税込1万7600円、レンタルDVD Vol. 1~22リリース中
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発売元・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント

「剣王朝」で一番よかったのがリー・グァンフー

──続いて熊坂さんに挙げていただいたのはリー・グァンフー(李光復)です。

中国ドラマ「剣王朝~乱世に舞う雪~」より、リー・グァンフー演じる薛忘虛。(c)BEIJING IQIYI SCIENCE & TECHNOLOGY CO., LTD.

中国ドラマ「剣王朝~乱世に舞う雪~」より、リー・グァンフー演じる薛忘虛。(c)BEIJING IQIYI SCIENCE & TECHNOLOGY CO., LTD.

リー・グァンフー(李光復)

1946年10月13日生まれ、現在76歳。出演作にドラマ「武則天-The Empress-」「剣王朝~乱世に舞う雪~」「驪妃-The Song of Glory-」「長歌行」などがある。

熊坂 私は「剣王朝~乱世に舞う雪~」を勝手にイケオジを愛でるドラマだと認定していて(笑)。リー・シエン(李現)目当てで観始めたのに、気付いたら周りのおじさんばっかり見ていたんですよ。

一同 あはははは(笑)。

熊坂  その中でも一番よかったのが、リー・グァンフー演じる主人公の師匠・薛忘虛(せつぼうきょ)。ものすごいパワーがあるキャラクターなんです。それでリー・グァンフー本人について調べてみたら普段はすごくかっこよくて。ただしおじいさんなので、興味のない方はスルーしてください!

青木 確かに、普段の姿を見るとこの俳優さんが、薛忘虛を演じてたんだってちょっとびっくり。

熊坂 そうなんですよ。リー・グァンフーは、チェン・ダオミンみたいなかっこいいおじさんという感じじゃなくて、「国民的お父さん」みたいなキャッチが付く優しいおじさんタイプですね。

──じゃあそういう役を演じたらピカイチな印象ですか?

熊坂 そうですね。優しいおじさん役が多いようなんですけど、「武則天-The Empress-」の魏徴役はまた違った印象で。でも、ネットで調べたら中国のドラマファンから魏萌萌って呼ばれていて、萌えている人がいたんだ?みたいな(笑)。彼は舞台出身で、チェン・ダオミンとか、「慶余年」のウー・ガン(呉剛)と同じく国家一級演員の実力派のベテラン。まだまだ日本での認知度は高くないかもしれないですが「剣王朝」「武則天」以外にもいろんな作品に出ています。

リー・グァンフー出演作情報

中国ドラマ「剣王朝~乱世に舞う雪~」<シンプルBOX 5,000円シリーズ>DVD-BOX1立体図。(c)BEIJING IQIYI SCIENCE & TECHNOLOGY CO., LTD.

中国ドラマ「剣王朝~乱世に舞う雪~」<シンプルBOX 5,000円シリーズ>DVD-BOX1立体図。(c)BEIJING IQIYI SCIENCE & TECHNOLOGY CO., LTD.

「剣王朝~乱世に舞う雪~」

<シンプルBOX 5,000円シリーズ>DVD-BOX1~2販売中 各税込5500円
発売元・販売元:エスピーオー
提供:エスピーオー / BS12トゥエルビ
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チャン・フォンイーは出ているだけで作品が締まる

──続いて青木さんにはチャン・フォンイー(張豊毅)を挙げていただきました。

中国ドラマ「九州縹緲録(ひょうびょうろく)~宿命を継ぐ者~」より、チャン・フォンイー演じる嬴無翳。(c)Jetsen Huashi Media Co.,Limited

中国ドラマ「九州縹緲録(ひょうびょうろく)~宿命を継ぐ者~」より、チャン・フォンイー演じる嬴無翳。(c)Jetsen Huashi Media Co.,Limited

チャン・フォンイー(張豊毅)

1956年9月1日生まれ、現在66歳。北京電影学院出身。出演作にドラマ「武則天-The Empress-」「如懿伝~紫禁城に散る宿命の王妃~」「九州縹緲録(ひょうびょうろく)~宿命を継ぐ者~」「永楽帝~大明天下の輝き~」「黒豊と白夕~天下を守る恋人たち~」、映画「さらば、わが愛/覇王別姫」や「レッドクリフ」シリーズなどがある。

青木 「さらば、わが愛/覇王別姫」が公開されたときに北京で取材したことがあるんですよ。当時は中国の人気若手俳優といった立ち位置でした。たぶん、日本の役者さんだと海外から記者が来た場合、ちょっと謙遜したりすると思うんですけど、チャン・フォンイーは“人気も実力もあるぞ”と、とても自分に自信がある感じがしたんです。それが印象的で。北京で彼主演の映画が上映されていたので、観に行ったんですけど、そのときは貧乏な悩める青年を演じていました。数年後、忘れた頃に「レッドクリフ Part I」で彼を再び見て、やっぱりあの自信はだてじゃなかった!って。存在感があるので、彼が出ているだけで作品が締まる。そういうところが好きですね。今、目の前にしたらオーラというか、圧がすごいんじゃないかと勝手に想像しています(笑)。

小酒 最近だと「黒豊と白夕~天下を守る恋人たち~」はよかったですね。ヤン・ヤン(楊洋)演じる主人公の父親役なんですが、腹の読めない王様で息子とも探り合いをしていて、悪役っぽさのあるキャラクター。「永楽帝~大明天下の輝き~」では少しコミカルな役をやっていて、コメディっぽいものも上手なんだなと思いました。「レッドクリフ」シリーズの曹操(そうそう)とか王様のような役だけじゃなく、庶民の役をやってもハマる人という印象。

青木 私は「九州縹緲録(ひょうびょうろく)~宿命を継ぐ者~」が好きでしたね。でも一番好きってなると「レッドクリフ」シリーズの曹操かもしれないです。敵として申し分なし! チャン・フォンイーの魅力を余すところなく味わえます。

熊坂 私は枯れている優しい感じの“イケおじいちゃん”が好みなので、ギラギラしたキャラクターは怖くて(笑)。でも「孫子《兵法》大伝」でチャン・フォンイーが演じていたのは謙虚で素朴で堅実な役。ドラマも面白く観てました。演じる役によって全然違う顔を見せるすごい役者さんだなって思います。本人はやっぱり圧が強そう(笑)。

チャン・フォンイー出演作情報

「九州縹緲録(ひょうびょうろく)~宿命を継ぐ者~」

DVD-BOX1~4 販売中 各税込1万5400円
発売元::コンテンツセブン / フォーカスピクチャーズ
販売元:TCエンタテインメント

コウ・ジェンハイは渋くて優しそうな役者

──続いて熊坂さんに挙げていただいたコウ・ジェンハイ(寇振海)です。

中国ドラマ「山河令」より、コウ・ジェンハイ演じる黃鶴。(c)Youku Information Technology (Beijing) Co., Ltd.

中国ドラマ「山河令」より、コウ・ジェンハイ演じる黃鶴。(c)Youku Information Technology (Beijing) Co., Ltd.

コウ・ジェンハイ(寇振海)

1954年11月3日生まれ、現在68歳。出演作にドラマ「隋唐演義 ~集いし46人の英雄と滅びゆく帝国~」「謀りの後宮」「剣王朝~乱世に舞う雪~」「山河令」などがある。

熊坂 リー・グァンフーもそうなんですけど、作品に溶け込んじゃうようなおじさんばかりに惹かれてしまって(笑)。人物データを作る仕事をするんですけど、コウ・ジェンハイはさりげなくいろんな作品に出ていて、いい味を出すおじさんですね。最近だと「山河令」に出ていますし、昔のドラマだと「謀りの後宮」とか「隋唐演義 ~集いし46人の英雄と滅びゆく帝国~」「剣王朝」にも出演していたり。脇役で出ている渋くて優しそうな役者さんというイメージです。

──身長は178cmあるんですね。

熊坂 そう、たぶんすらっとしてると思います。中国のイケオジはスタイルがいい人が多い気がしますね。

青木 あー! そうかもしれないね。

熊坂 スタイルがよくないと13億人のイケオジの頂点にはいけないのかもしれない(笑)。

小酒 中国では女優さんたちも背が高い人が多いから最低でも180cm前後ないと小さく見えますよね。

熊坂 コウ・ジェンハイは日本でいうと光石研さんみたいなイメージなんです。「山河令」で演じた丐幫の長老・黃鶴役はよかった。小酒さんがチェン・ダオミンは上品なイメージと言っていましたけど、コウ・ジェンハイも私の中では、上品でインテリなイメージです。

小酒 私は厳しいお父さんっていう印象ですね。「山河令」もめちゃ厳しい役だった。コウ・ジェンハイは武侠ドラマにたくさん出てる俳優さんというイメージです。

熊坂 あ、また出てる!って見つけるのが楽しい俳優さんの1人かもしれないですね。

コウ・ジェンハイ出演作情報

中国ドラマ「山河令」DVD-BOX1ジャケット (c)Youku Information Technology (Beijing) Co., Ltd.

中国ドラマ「山河令」DVD-BOX1ジャケット (c)Youku Information Technology (Beijing) Co., Ltd.

「山河令」

Blu-ray BOX1~2販売中 各税込2万3760円
DVD-BOX1~2販売中 各税込1万9800円
発売・販売元:エスピーオー

▶︎中国ドラマ イケオジ放談第2回に続く

青木久美子(アオキクミコ)

華流ウォッチャー。アジアンエンタメライター。「韓流ぴあ」「見るべき中国時代劇ドラマ」(ぴあ)、「韓国テレビドラマコレクション」「中国時代劇で学ぶ中国の歴史」(キネマ旬報社)ほか、情報誌を中心に韓国・中国・台湾などアジアンエンタメの魅力を紹介。

小酒真由子(コサカマユコ)

映画界・出版界での会社勤めを経てフリーライターに。アジアから欧米までドラマについて執筆中。「韓国TVドラマガイド」(双葉社)にて「熱烈推薦!! 中華ドラマはこうハマる!」を、Cinem@rtにて「アジドラ処方箋」を連載している。

熊坂多恵(クマサカタエ)

「中国時代劇で学ぶ中国の歴史」「最新!中国時代劇ドラマガイド」(キネマ旬報社)ほか編集。映画雑誌の編集を経て、中国、台湾、韓国などアジアのエンタメを紹介するムック本の編集や執筆に参加。「最新!注目スター&中国時代劇ドラマガイド2023」が6月27日より販売中。

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読者の反応

まんじゅ @manju1635

自分はチェン・ダオミン(陳道明)世代だよなぁ。

中国ドラマ イケオジ放談第1回 | 60歳以上の気になる俳優をトーク──チェン・ダオミン、ロー・ガーリョン、リー・グァンフー、チャン・フォンイー、コウ・ジェンハイ https://t.co/kVF74M3etX

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