BookLive!特集 鈴木達央インタビュー|電子書籍の重課金者が選ぶ、人生に色濃く影響を与えたマンガ6選

マンガ、書籍、ラノベ、雑誌など、累計50万タイトル・100万冊超という国内最大級の品揃えを誇る総合電子書籍ストア・BookLive!。コミックナタリーは同サイトを紹介するとともに、電子書籍だけで1万2000冊以上の蔵書があり、自身を“電子書籍重課金者”と称する声優の鈴木達央に、「人生に色濃く影響を与えたマンガ」を6作品チョイスしてもらった。

インタビューの中で鈴木の口からたびたび飛び出したのは「強さへの憧れ」というワード。鈴木が挙げた6タイトルが、いったいその人生にどのような影響を与えたのか、インタビュー本編で確認してみてほしい。

取材・文 / 小林聖 撮影 / ヨシダヤスシ

鈴木達央がチョイスした「人生に色濃く影響を与えたマンガ6選」

  • 「Z MAN」西川秀明

    「Z MAN」西川秀明

  • 「拳児」原作:松田隆智 作画:藤原芳秀

    「拳児」原作:松田隆智 作画:藤原芳秀

  • 「EDEN」遠藤浩輝

    「EDEN」遠藤浩輝

  • 「ARMS」皆川亮二(原案協力:七月鏡一)

    「ARMS」皆川亮二(原案協力:七月鏡一)

  • 「redEyes」神堂潤

    「redEyes」神堂潤

  • 「ゲッチューまごころ便」緋采俊樹

    「ゲッチューまごころ便」緋采俊樹

自粛期間中だけで500冊以上蔵書が増えた

──鈴木さんは4月に「電子書籍重課金者です」とツイートされていました。電子書籍の蔵書が1万冊以上あるそうですね。

今、1万2600冊とかだったかな……。(iPadを調べて)あ、まだ1万2522冊ですね。新型コロナウイルスの自粛期間中だけでも500冊以上増えました(取材は6月上旬に行われた)。

──1万2600冊も時間の問題ですね(笑)。

鈴木達央

すぐでしょうね(笑)。今は家にいる時間ってほぼ、仕事をしているか、本を読んでいるか、動画を観ているかのどれかなんです。本を読むと頭の中が整理されるので、電子書籍を読むのは自分の頭をリセットする時間という感じですね。特に今、家にいる時間が長くなって、改めて自分を見つめ直す機会が多くなっているじゃないですか。僕の場合、自分と向き合うには本が合っていて、時間が増えれば増えるほど本を読むことが多くなっています。

──電子書籍を使うようになってどれくらいなんですか?

5年くらいですね。紙の本も好きなので紙でも買っていますけど、基本的には電子書籍で購入するようになりました。本好きにとって収納場所って頭を悩ませるところですけど、電子書籍はスペースが必要ないので、電子で出ていない作品以外は電子書籍で買うようになっています。仕事柄マンガを資料として持ち歩くことも多いんですけど、そういうときもすごく助かります。端末だけ持ち歩けば、何かあったときにその場ですぐ調べることもできるので。

──重複して買う心配もないですしね。

昔はしょっちゅう同じ巻を買ったりしていました(笑)。あと、この5年の間だけでも、電子書籍の解像度がすごく上がってるでしょう? 使い始めた頃はちょっと文字が潰れてるなって思う作品もありましたが、ここ数年ですごく読みやすくなっていると思います。ともすれば紙よりも読みやすいというか、パッと目に飛び込んできたりする。もちろん紙だからこそという作品もあると思うんですが、電子ならではの表現ができるというタイトルも今後どんどん増えていくんじゃないかと。

──特に大型タブレットなら、紙の単行本より大きなサイズで読めたりしますもんね。

そうなんですよ。僕の持ってるiPadは12.9インチのもので、横にしても雑誌よりちょっと小さいくらいで、新書サイズの単行本よりは大きかったりしますし。もっと大きなタブレットが出たら、原稿用紙と同じサイズで読めちゃうじゃんって思います。

──生原稿のサイズで見ると意外な発見があったりするんですよね。

生原稿って迫力が違いますからね。僕らが普段読んでる単行本や雑誌は、いろんなものがすごく圧縮されてるんだって実感します。変な言い方かもしれませんが、マンガを読むなら、画面は大きければ大きいほどいいなと思ってますね。

強さへの憧れを最初に意識した「Z MAN」

──今回はそれだけたくさんのマンガを読んでいる鈴木さんの人生に影響を与えた作品を6タイトル選んでもらいました。

なんか自分がバレるみたいでイヤですね(笑)。

「Z MAN」1巻

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「Z MAN」1巻

──好きな作品を選ぶって好みや人柄が見えますよね(笑)。6作品で最初に出会ったのはどの作品でしょう?

「Z MAN」ですね。

──人類と機械生命体の戦いを描くバトルものですね。

僕は昔、身体があまり強くなかったので、肉体的な意味でも精神的な意味でも強さというものに対してものすごく憧れがあって。強さへの憧れは今回のラインナップの多くに共通している要素ですが、それを最初に意識したのが「Z MAN」でした。

──1991年に創刊された月刊少年ガンガンで、同年に連載がスタートした作品なのでまさに同誌最初期の作品です。

鈴木達央 「Z MAN」最終11巻

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「Z MAN」最終11巻

読んだときにすぐ好きになったんです。多分当時のガンガンで一番好きな作品でした。

──どういった部分が気に入ったんでしょう。

主人公はナナシっていう少年で、この名前に込められた意味が好きなんです。記憶を失って自分の名前すらわからない少年だから「名無し」という意味を込めて名付けられるんですけど、何者かすらわからない人間にも必ず何か役割があるんだってことが後々描かれる。そんな中で、ナナシは「敵対しあっている人も含めて、みんながいい形で過ごすにはどうすればいいか」というのを模索し続けていて、すごくいいキャラクターだなと。

──やはりお気に入りのキャラはナナシですか?

そうですね。今読み返してもやっぱり「ああ、俺はこういう子になりたかったんだな」って感じますし、ナナシは自分の理想像だったんだと思います。ともすれば暑苦しくもあるキャラクターですが、そこも含めてとてもまぶしく感じていたんだろうなって読み返しながら感じました。

──ナナシは常にまっすぐ生きていますが、大人になって読み返すとまっすぐであり続けるのは難しいなとも感じますよね。

ナナシはちょっとマネできないくらいの実直さですよね。でも、挫折したとしても、諦めずまっすぐ進んでいくというナナシのような姿勢が最終的に大事なんだって思っています。