2020年06月30日 配信

今回の新型コロナウイルス感染予防のための休業措置から、6月1日に再開した船橋市の学校教育について、その経緯やこれからの見通しについて伺いました

船橋市教育委員会学校教育部部長・礒野護さん
 

プロフィール
1964年千葉県生まれ。文教大学卒業。船橋市の教員になり、中学校教員や教育委員会職員、飯山満中で教頭、七林中で校長職を経て、現在に至る。教育の世界に身を捧げ、各学校で関わった子どもたちとの教育活動が、今の礒野さんの支えになっている

教育委員会のコロナ対策としての取り組み
・教師や子どもたちの安全を守りながら、教育の場を保障していくこと
・動画配信やオンライン教育のため、各家庭の通信環境や端末の整備、職員研修などを進めること


例年とは違う形式で執り行われた入学式 写真提供/高根東小学校

MF●休業中の学校の対応はどのように決められましたか?

礒野さん●2月末の政府の臨時休業の発表は予想していませんでした。4月での再開を断念した際には、子どもたちの登校日を設けようとも考えましたが、4月7日に緊急事態宣言が出され、登校日も実現しませんでした。教育委員会では、各学校に、各家庭へ電話連絡等で、子どもたちの様子を確認してくださいという連絡をしました。

 5月中までの3カ月も臨時休業になってしまったので、新入生が不安になるだろうということで、保護者同伴の面談を行いました。在校生は週1回の登校日を設けて6月1日、登校が実現しました。3日まで分散登校でしたが、4日からは給食も始まり、各学校の実態に合わせ、校長先生の裁量で臨機応変に決めてもらいました。入学式を延期としていましたので、中学1年生、特別支援学校 中・高等部は6月2日、小学1年生、特別支援学校 小学部は3日に実施できました。休業中、教育委員会が授業動画を制作し、また市内の学校にはALT(外国語指導助手)がいますので、ALTが英語の授業動画を作り、市のホームページにアップしました。学校によっては独自に授業の動画を作り、学校のホームページでアップするという取り組みもありました。

MF●苦慮されたことは?

礒野さん●休業が続く中、子どもたちの学習を保障しながら、感染のリスクも回避しなければならないので、どのタイミングで再開すればいいのかを、教育委員会として見極めるのが難しかったです。感染症の専門家の先生とも連携し、ご意見をいただきました。

これからの学校生活

MF●これからの学校での生活スタイルは変わりますか? 

礒野さん●基本的には1学級の人数を変えることはないですが、空いている教室を利用して少人数教室にするなど工夫はできます。学校には、文科省のガイドラインに従い、感染予防のために換気し、マスクの着用や手洗いの励行を進めてもらっています。

 小学校の給食は、通常はグループにして食べていますが、今はグループにせず、前を向いて静かに食べるように指導しています。

 中学校の給食は、ランチルームを使って2種類の献立から選択をしていましたが、今は1種類の献立をパック弁当にして教室で食べるようにしています。

MF●オンライン授業の可能性はいかがでしょう 

礒野さん●コロナ対策の中で、双方向性のあるオンライン授業の重要性を改めて認識しました。家庭の通信環境が必要になりますので、今後どのように対応すべきかを検討しています。先生方の知識や技能も必要ですので、研修を通してスキルの向上を目指し、対策を講じていかなければならないと思っています。朝の会をZOOMで行ったり、職員会議をZOOMで行ったりしている学校などもあります。

 段階として、動画を使った授業の配信から始め、オンライン授業へと、できるところから徐々に進めていきます。各学校で端末と通信環境について調査し、市の予算で、通信環境の整っていない小学6年生と中学3年生の希望者には、端末とルーターの貸し出しを行っています。

MF●これからの学校教育について教えてください

礒野さん●基本的には学校に子どもたちが登校して授業をするスタイルは変わらないと思います。ただ、新しい生活様式にのっとって3密を防いで教育活動を実施しなければならないので、今年度は水泳の授業は中止にしました。また、当面の間、音楽は声を出す授業、体育は接触する競技の授業はしないようにしています。運動会や体育祭は学校行事なので、校長先生に判断を任せています。3カ月臨時休業をした分、現段階では、夏休みや冬休みを短縮し、9月10月の隔週土曜日に授業が入ることは周知しています。市立船橋高校は県立高校に準じています。

MF●礒野さんの今のお気持ちを教えて下さい

礒野さん●子どもたちが、コロナ禍で通常の教育活動ができなかったことは非常に残念です。中学3年生にとって部活動の最後の大会・コンクール・発表会等がなくなってしまったので、思い出という部分でほかの子どもたちとは違う思いを受け止めて生きていかなければなりません。教育委員会と学校が連携して子どもたちの心のケアをしていく必要があると思っています。

 子どもたちの今年度の学習内容の保障はもちろんですが、今、気にかけていることは修学旅行です。学校行事なので教育委員会として現在は中止にはしていません。小学6年生や中学3年生にとっては一番の思い出なので、できれば実施してほしいと思っていますが、子どもたちの安全も大事です。校長会と連携しながら取り組んでいきます。

※「子ども」の表記について、本来、教育委員会では「子供」を使用していますが、今回は弊誌の編集指針に合わせていただきました

※この記事に記載の情報は取材日時点での情報となります。
変更になっている場合もございますので、おでかけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください

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