真木よう子と今泉力哉監督が語り合う、他者を“わかろうとする”こと。『アンダーカレント』での初顔合わせに迫る|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
真木よう子と今泉力哉監督が語り合う、他者を“わかろうとする”こと。『アンダーカレント』での初顔合わせに迫る

インタビュー

真木よう子と今泉力哉監督が語り合う、他者を“わかろうとする”こと。『アンダーカレント』での初顔合わせに迫る

今泉力哉監督、真木よう子主演の映画『アンダーカレント』が公開中。観終えたあと、深い余韻に包まれるヒューマンドラマで初顔合わせとなった2人が、それぞれに抱く作品への想いや撮影の裏話などを明かしてくれた。

「働きたい」と、かなえの前に突然現れた謎の男・堀(井浦新)の目的とは…
「働きたい」と、かなえの前に突然現れた謎の男・堀(井浦新)の目的とは…[c]豊田徹也/講談社 [c]2023「アンダーカレント」製作委員会

豊田徹也による原作漫画は、“漫画界のカンヌ映画祭”と呼ばれるフランス・アングレーム国際漫画祭でオフィシャルセレクションに選出されるなど国内外で熱狂的なファンを持ち、2005年に出版された単行本はロングセラーを続けている。突然、夫(永山瑛大)が失踪を遂げてしまった銭湯の女主人、関口かなえ(真木)が、銭湯に「働きたい」とやってきた謎の男、堀(井浦新)や悟を探す胡散臭い探偵(リリー・フランキー)と過ごすなか、ある事件をきっかけに心の深層(アンダーカレント)を浮かびあがらせていく姿を描きだす。

「『かなえって、真木よう子じゃなかったよね』と言われないように、頑張る作業をしていた」(真木)

【写真を見る】初顔合わせとなった今泉力哉監督と真木よう子、2人の信頼感あふれる撮り下ろし!
【写真を見る】初顔合わせとなった今泉力哉監督と真木よう子、2人の信頼感あふれる撮り下ろし!撮影/興梠真穂 ヘアメイク==Miyuki Ishikawa (B.I.G.S.)(真木よう子)スタイリング=藤井希恵(THYMON Inc.)、KIE FUJII(THYMON Inc.)/kie fujii(真木よう子)

――まずお2人が豊田徹也さんの原作をどう読んだのか、そして映画にするにあたってどう向き合っていったのか、とても興味を持っています。

真木「まさか『アンダーカレント』のかなえ役が、自分に来るとは思っていませんでした。漫画自体大好きで、20代前半に何冊かジャケ買いしたうちの1冊がこの原作だったんです。最初の時から『これは映像にできそうだな』と思いながら読んでいたのを覚えています。私にとっては、読んでから結構時間が経っているのに不思議と心に残っている漫画でした。そして、撮影前に改めて原作を読みました」

今泉「普段あまり漫画を読まないので、映画化のお話をいただいてから初めて読んだのですが、本当におもしろくて。過去に僕が撮った映画『退屈な日々にさようならを』と通底するところもあって、映画を撮る前に原作者の豊田徹也さんとも会っていろいろと話し合いました」

一見は気が強いが、心に葛藤を抱え香苗役を真木よう子が繊細に体現する
一見は気が強いが、心に葛藤を抱え香苗役を真木よう子が繊細に体現する[c]豊田徹也/講談社 [c]2023「アンダーカレント」製作委員会

真木「私は、関口かなえを演じるにあたって『私がかなえちゃんの一番の理解者だ』と思っていたというか、もう、ずっとかなえちゃんのことばかり考えていました。私は漫画マニアでもあるので、正直、漫画の実写映画化ってしてほしくないんですよ(笑)。それぐらい漫画が好きだから、撮影現場に原作を持っていって、かなえちゃんの表情をみて、原作ファンの方々から『かなえって、真木よう子じゃなかったよね』と言われないように、頑張る作業をすごくしていました」

今泉「原作のある映画を撮る時って、人が演じた場合に『温度』とか『深み』がどうなって、どういうトーンになるか、いつも迷いながら作っています。原作は一つの正解だけど、真木さんが演じた時に温度がありすぎたりしないか、深く重くなりすぎていないか、調整するようにお芝居を見ていました。漫画と僕の認識がずれていたら真木さんに意見してもらいました。そういうことを踏まえながら、一度演じてもらったのを見て、調整して、もう一度演じてもらって、と各シーンを作っていきました」

撮影前、今泉監督は原作者の豊田徹也と2人きりで会って話をしたそう
撮影前、今泉監督は原作者の豊田徹也と2人きりで会って話をしたそう撮影/興梠真穂


「真木さんはまっすぐに役と向き合ってくれた」(今泉)

――さまざまな監督と組んできた真木さんにとって、今泉監督はどんな監督でしたか。

真木「『この監督は役のこと、まったく考えていないな』と思ったら、私は結構言っちゃう派なんです。だけど、そういうことはなくて『今泉さんはこのシーンをこう考えてきているんだろうな』ということはわかったし、『かなえちゃんの気持ちがこうかな』と思う時は相談もして、今泉さんのことを信頼しながら撮られていました」

今泉「僕は器用な俳優って、結構信用できなくなっちゃったりするんですけど、真木さんは決して器用じゃなくて。めちゃくちゃまっすぐに役と向き合ってくれて。あ、現場で俺が煮詰まって、脚本とずっと向き合ってしまっていたことがあったんですよ。銭湯のシーンの撮影で、考えすぎるくらい考え込んでしまっていて。その時、後方からふっと僕の肩に手が伸びてきて肩を揉んでくれた人がいたんです。『誰だ、俺をやわらげるスタッフは!?』と思って、後ろを見たら真木さんで(笑)。それをすごく覚えています」

原作を大事にしながら、調整を重ねて作品をつくりあげていった
原作を大事にしながら、調整を重ねて作品をつくりあげていった撮影/興梠真穂

真木「撮影現場では結構、監督のことを見ているんですよ。やっぱり一番大切で、だからこそ、大変なポジションだと思うし。だから監督が煮詰まった時には『はい、チョコレート』とか(笑)。 自分のなかにあるんですよ。『監督、大丈夫かな』と思ったらちょっと肩の力を抜いてもらおう、とか」

『アンダーカレント』劇場用プログラム発売中
本記事は『アンダーカレント』劇場用プログラムに掲載されているインタビューのダイジェスト版です。完全版はパンフレットでお楽しみください。
◆価格:900円(税込)
◆発売:全国の上映劇場(※一部除く)にてお買い求めください
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衣装協力(真木よう子)
ワンピース ¥75,900 / AKANE UTSUNOMIYA
右イヤーカフ ¥143,000、右イヤーカフパーツ ¥35,200
左イヤーカフ ¥77,000、左イヤーカフパーツ1 ¥55,000
左イヤーカフパーツ2 ¥49,500、左中指に付けたリング ¥539,000 / 共にoeau (オー)
シューズ ¥40,700 / YOSHITO (ヨシト)

【お問い合わせ先】
AKANE UTSUNOMIYA / 03-3410-3599
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