映画評論家小森和子死去

映画評論家小森和子死去


 95歳とのことで、大往生と言うべきだが、思い返すのは10数年ほど前、「SCREEN」を定期購読していた頃に小森和子の連載が突如中断された。間もなく全身火傷を負って重傷という報を耳にし、療養中という以外に情報は聞こえてこなかった。98年末の淀川長治死去の際に車椅子で葬儀に参列していたが、アカラサマに痴呆が出ており、突如嘔吐する様子が放送されていた。
 小森和子は映画評論の社会的地位を下げた元凶の一人で、おすぎを経て、今日の映画評論家が馬鹿でもできる職業に成り下がらせた要因を作り出した。文章が酷く、映画史への無知ぶりには呆れさせることが多かった。少なくとも「ツィゴイネルワイゼン」をベスト10に入れながら鈴木清順の作品を観たのが初めてという映画評論家の存在が許されてはならない。それに比べれば"モア・ベター"なる文法無視のコトバを連呼したことなど何でもない。