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「多文化共生」実現へ積み重ね

高槻むくげの会が30周年



30周年の記念式典

子ども会実践基礎に
在日の生き方真しに模索
運動の芽、多方面に広がる

 【大阪】「高槻むくげの会」(李敬宰会長)が8月15日で創立30周年を迎えた。在日韓国・朝鮮人の人権を守り、多文化共生社会の実像を具体的に提示していく会として様々な活動を展開し、その自由奔放な活動に多くの地域市民、行政職員らの支えを得て地域で大きな成果をあげてきた。

 同会は1972年、青年サークル「在日朝鮮人むくげの会」として産声をあげた。地域教育運動として具体的な活動を行ったのは78年、教育・文化の取り組みとして発足した「成合子ども会」だった。在日韓国・朝鮮人であるということのマイナスイメージに立ち向かっていく力、同胞同士の仲間関係を築いていくことを目的とした。

 80年には「別所子ども会」、82年に「中央(北園)子ども会」が相次いで発足する中、85年には高槻市教育委員会として取り組む在日韓国・朝鮮人教育事業に移管された。これは日本では初めてのことで、画期的な取り組みとして子ども会活動は行政の責任のもとに行われるようになった。その後、外国人問題を解決していくための「高槻市外国人市民ネットワーク」を立ち上げ、また保護者の集いも生まれた。

 そうした中、2001年に同教育事業名称を「多文化共生・国際理解教育事業」に改め、多文化子ども会として「柱本子ども会」「牧田子ども会」がスタートし、多文化講座や日本語教室、補充学習会を開くなど、子どもたちの出会いが広がりを見せはじめている。

 こうした子ども会に集まる小中学生が、高校生から青年へと成長していくにつれ発足したのが「高校生部会」(81年)と「青年部」(87年)である。高校生部会では、外登法改正運動への粘り強い取り組みをはじめ、在日にとって重要な本名についても積極的に働きかけてきた。

 青年部は、民族差別問題に対する取り組みとして、入居差別問題や職業安定所での差別的扱いなどについて、さまざまな学習会を開いてきた。また、地域の各種行事への参加や、他団体との交流を通して、仲間集めを積極的に行っている。

 親の生き様や生活背景を知ることで自身を見つめようとスタートさせた1世からの聞き取りと同時にスタートさせた1世たちに日本語を教える活動も発展的に広がりを見せている。第一歩として始まった成合日本語識字教室に次いで、81年には中央日本語識字教室(アジメ学校)も始まった。週2回(月・木)の勉強会の他、花見や旅行、よみかき交流会など平均80歳のアジメたちはさまざまな年中行事に元気よく参加し、生き生きとした表情をのぞかせている。

 むくげの会は、発足当初から在日集落の環境整備問題や年金問題など、人権に関わるさまざまな問題に携わっており、今後も未来の多民族・多文化社会の創造に向けて活動を活発化させたいとしている。

 1日に開かれた記念式典では、学校教員や労働組合、教育委員会関係者ら300余人が祝賀に駆けつけた。あいさつに立った同会の李会長は「みんなの支えがあってこそ30周年を迎えることができた。更なる成果をつみあげ多文化・多民族の新しい共生社会のあり方を、次の40周年に向けての課題としてこれからも全力で取り組んでいく」と決意を新たにした。

(2002.09.11 民団新聞)



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