【目黒区】東京大学駒場キャンパスを初訪問!歴史ある建物やトリビアにびっくり。「駒場博物館」ではアインシュタイン来日100周年記念の展示会も開催中

東京大学駒場キャンパス

東京大学駒場キャンパス

東京大学の駒場キャンパスは京王井の頭線「駒場東大前駅」のすぐ目の前、目黒区駒場にあります。今回、一般社団法人めぐろ観光まちづくり協会が会員向けに催行した「目黒観光講座」に参加。

東大駒場キャンパス内の建物探訪とキャンパスの歴史、ボランティアガイドによる三田用水の痕跡をたどるまち歩き、会員の皆さんとのランチを楽しんできました。

普段はなかなか聞けない貴重なお話をうかがうことができましたので、ぜひ皆さんにも知ってもらえればと思います。

前編では東大駒場キャンパスについて。後編ではまち歩きと東大駒場キャンパス内でのランチについてご紹介します!

【目黒区】「目黒観光講座」後編!目黒川につながる人工の水路、三田用水跡を訪ねて

キャンパス内は東京大学大学院総合文化研究科 駒場博物館助教 折茂克哉先生がガイド

東京大学大学院総合文化研究科 駒場博物館

東京大学大学院総合文化研究科・教養学部「 駒場博物館」

「目黒観光講座」、まず最初は東京大学大学院総合文化研究科 駒場博物館(以下、駒場博物館)助教である折茂克哉先生がご案内くださいました。東京大学の歴史、駒場キャンパスの成り立ちなど、非常に興味深いお話ばかりです。

東京大学は東京開成学校と東京医学校が合併し、法学、理学、文学の3学部と医学部、予備門(第一高等学校の前身)で構成される学校として1877年(明治10年)に誕生。

加賀藩の江戸屋敷跡にある本郷キャンパスは、赤門(正式名称:旧加賀屋敷御守殿門)や三四郎池(正式名称:育徳園心字池)があることで知られていますね。

駒場農学校が開かれた駒場野

駒場農学校が開かれた駒場野

駒場キャンパスがあった場所は将軍家の御狩場として使われてきた駒場野と呼ばれていました。1882年(明治15年)に東京大学農学部などの前身である駒場農学校が開校。のちに東京帝国大学農学部と改称されます。

第一高等学校が駒場へ移転

1935年(昭和10年)に本郷キャンパスの隣にあった第一高等学校と、東京帝国大学とで敷地交換されて移転。戦後に第一高等学校が東京大学に継承され、駒場キャンパスとなり、教養学部などが設置されたそうです。

駒場農学碑

駒場農学碑

キャンパス内には駒場が農学発祥の地であることを伝えるために、1936年(昭和11年)に建てられた記念碑があります。この記念碑、一時はたくさんの笹に覆われて完全に埋もれてしまっていたそうです。

駒場キャンパスの歴史を後世に残していきたいと働きかけ、現在は記念碑がしっかりと見えるように手入れされるように。東大の歴史を見守ってきた生き証人がたくさんの人の目に留まるようになって良かったと、折茂先生はお話されていました。

正門や1号館(旧一高本館)などにあしらわれている校章や意匠の意味

東京大学駒場キャンパスの正門、大扉には柏とオリーブをモチーフにした「第一高等学校(以下、一高)」の校章があしらわれています。現在の正門は2008年に再制作されたもので、金具を樹脂製にして耐久性と軽さを出しているとのこと。

一高の校章があしらわれた正門

一高の校章があしらわれた正門

この「柏の葉」はギリシャ・ローマ神話に登場する武神マルスの象徴といわれています。一方の「オリーブ」は学問・平和・道徳の女神であるミネルヴァ(アテネ)を象徴するもの。

つまり「文武両道」を意味するシンボルとなっていました。第一高等学校は将来国を背負って立つエリート養成学校であり、優れた人材を育成するという意味を込めてこの校章がつくられたというわけですね。

正門から見える赤茶色の1号館は文化庁の登録有形文化財で、教養学部旧一高当時の本館(時計台)。1933年に完成し、教室以外にも職員室や校長室が置かれていました。

設計したのは内田祥三さん。本郷にある安田講堂をデザインした方です。確かに雰囲気が良く似ています。

1号館の周りには一高のシンボルである西洋柏やオリーブの木も植えられていました。

そして1号館正面に向かって左手にある教会風の建物が900番教室です。一高時代に倫理講堂として建設されたもの。

900番教室(旧一高倫理講堂)

900番教室(旧一高倫理講堂)

建物正面上部にある装飾は、中心部に十字形の紋様が施され、4枚の柏葉の意匠となっています。

こちらの建物は現在の「駒場博物館(旧一高図書館)」の意匠であるオリーブ葉4枚で構成される十字形と対になっているそうです。

「ファカルティハウス」は旧一高同窓会館洋館、フレンチレストランが入っています

ファカルティハウス(旧一高同窓会館洋館)

ファカルティハウス(旧一高同窓会館洋館)

続いて紹介するのは「ファカルティハウス」です。1938年(昭和13年)に建てられた旧一高の同窓会館。

2004年(平成16年)に洋館部分だけが保存され、1階はブラッスリー「ルヴェソンヴェール駒場」に改装されています。和館部分は取り壊されて跡地に駒場ファルカルティハウス(国際学術交流会館)を新築。

庭園奥には一高時代に教員であったアリベーさんとプッチールさんの銅像が建てられています。

「ルヴェソンヴェール駒場」はテラス席もあり、リーズナブルにいただけるランチが大人気。平日でもオープン前から並んでいる方を見かけました。

同じ建物2階には「橄欖 (かんらん)」というレストランもあり、こちらはお値段が少しお高め。ちなみに橄欖 (かんらん)とはオリーブのことですよ。

留学生用の特設高等科校舎として使われていた「101号館」

東京大学駒場キャンパス101号館

101号館

現在101号館として使われている建物は、一高時代に留学生を受け入れてきた特設高等科として建設されたものです。1899年(明治32年)に初めて清国(中国)から留学生を受け入れた日本。

1907年(明治40年)に清国政府からの要請で、毎年数十名の留学生を第一高等学校に入学させ、卒業後は帝国大学に進学させることと文部省が定めたそうです。

一高の予備教育を行う「特設予科」として1932年(昭和7年)に廃止されるまで延べ800名の留学生がここで学び各大学へと進学していきました(参照元:東京大学東アジア藝文書院ホームページより)。

101号館は1935年(昭和10年)に一高が駒場へ移転する際、特設高等科の留学生たちの学舎となった建物です。

一高の校旗「護国旗」が掲げられている1号館北壁へ

東京大学駒場キャンパスを東西に結ぶイチョウ並木

東京大学駒場キャンパスを東西に結ぶイチョウ並木

続いてファカルティハウスから900番教室北側の道を進み、1号館西側の道を北に向かうと有名なイチョウ並木が現れます。この道は駒場農学校時代からキャンパスを東西に結ぶ幹線道路だったそうです。

かつては一高生もこの道を通ったであろう由緒ある通り。春は新緑、秋は黄金色に染まり、学生はもちろん地元の方も楽しみな散歩道となっています。

イチョウ並木を西へ進むと右手に現れるのが1号館の真裏。中庭入口アーチ上部に銅製の紋章があります。

1号館北壁「護国旗」紋章

1号館北壁「護国旗」紋章

これは一高の校旗である「護国旗」中心部に刺繍されていた紋章と同じモチーフです。中心にある「國」の字の周りに柏、オリーブがあしらわれています。

護国旗の由来について

こちらのモチーフは「文武両道をもって国を護る」という一高教育の神髄を表すものだそうです。

銀杏並木東端「農学部計量器」跡や一高中寮柱跡、地下道入口施設など遺構を巡る

キャンパス巡りをしているとついつい建物の方ばかりに目が行きがちですが、足元も注意深く見て欲しいと折茂先生。下写真は1号館裏にある「第一髙等學校」と書かれた暗渠のふたです。

「第一髙等學校」と書かれた電気と暗渠の蓋

「第一髙等學校」と書かれたふた

キャンパスの建て替えや整備などで少しずつ、農学校や一高時代の遺構がなくなりつつあります。とても地味な遺構ですが時代を感じさせる大切なシンボル。

銀杏並木とコミュニケーションプラザとの境になる道の交差点の南西角には「農学部計量器」跡が地面に残されています。現在は計量器などはなく、ふたとなる部分のみが保存されていますのでそちらもぜひ見つけてみてください。

「農学部計量器」跡

「農学部計量器」跡

そして現在、コミュニケーションプラザが建てられている場所は一高時代の寮がありました。

コミュニケーションプラザ中庭には一高中寮の柱跡を示す埋設照明が設置されています。さらに、寮から各教室のある建物へ移動するための地下道が設けられていたそうで、地下道の排気設備がキャンパス内の随所にあります。

地下道の排気口として設けられた遺構が随所にある

地下道の排気口として設けられた遺構が随所にある

地下道の入口上部の外壁一部、コミュニケーションプラザ中庭に移築されており、オブジェとして見ることができます。

地下道入口壁(一部移築)

地下道入口壁(一部移築)

地下道はいまもキャンパスの下で眠っているそうで、かつての一高生たちが行き来した遺構として貴重な名残りをとどめています(見学はできません)。

東京大学大学院総合文化研究科 駒場博物館で、アインシュタイン来日100周年記念展を開催中

駒場博物館

駒場博物館は、美術博物館と自然科学博物館で構成されている施設。建物は教養学部の前身である旧制第一高等学校の図書館として建てられたものです。

2003年に改修され、別々の場所で独自の活動を行ってきた二つの博物館が同じ建物内で活動することになりました。今回の東大駒場キャンパス内をガイドしてくださった折茂先生が駒場博物館の助教を務めています。

駒場博物館は平日の10時~17時に開館。特別展開催時には火曜のみが休館となり、土日祝日も開館されます。2023年3月22日(水)から4月28日(金)までの会期で現在「来日100周年記念 -アインシュタインの日本講演旅行- 駒場篇」を開催中。

1922年に来日したアインシュタイン夫妻。日本に滞在中に巻き起こった人々の興奮や当時の世相、文化観などを感じ取れる貴重な展示会となっています。

コロナ禍は一般の方のキャンパス内立ち寄りが制限されてきましたが、現在は自由に散策できます。緑がたくさん残されていますのでぜひお散歩がてら訪れてみませんか。

「目黒観光講座」は一般社団法人めぐろ観光まちづくり協会の会員になると参加できます。会員特典として目黒区内にある施設「日本民藝館」や「日本近代文学館」、「郷さくら美術館」「ホテル雅叙園東京」などの施設利用が割引になるなどお得な特典もたくさん。

今回私も会員になって、このような貴重な機会を得ることができました。皆さんもぜひ、入会を検討してみては?

次回後編で三田上水の痕跡をたどるまち歩きと、会員の皆さんといただいた「ape cucina naturale(アーぺ クッチーナ ナチュラーレ)」でのランチについてレポートします。

■取材協力

東京大学大学院総合文化研究科・教養学部 駒場博物館

一般社団法人めぐろ観光まちづくり協会

↓「東京大学 駒場キャンパス」の場所はこちらになります。

2023/04/13 08:11 2023/04/15 06:31
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