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セアノサスの育て方|特徴や人気の品種・上手に育てる3つのコツを紹介

最終更新日: 2021年04月22日

セアノサスはクロウメモドキ科ソリチャ属の低木です。4月~6月ごろにかけて、淡い青紫色やピンク色などの花をつける様子は、空間に可憐な印象をもたらしてくれるでしょう。

「セアノサスってどんな花?」「育て方のコツが知りたい!」そんな方のために、この記事では花の特徴や人気の品種、育て方などを徹底紹介。

セアノサスを育てて、鮮やかな花つきを楽しんでみてはいかがでしょうか。

セアノサスの特徴

セアノサス

植物名 セアノサス
学名 Ceanothus
科名 / 属名 クロウメモドキ科 / ソリチャ属
原産地 北アメリカ、中央アメリカ
開花期 4月~6月
花の色 青紫、ピンク、白など
樹高 0.3~1.5m
特性 常緑性~半落葉性

セアノサスはクロウメモドキ科ソリチャ属の低木です。

北アメリカから中央アメリカを原産地とし、約60種類にもおよぶ品種が分布しています。

種類によって常緑性のものから反落葉性のものまであり、乾燥を好むのが特徴です。

セアノサスはソリチャ属の属名

セアノサスは特定の種を示す名称ではなく、ソリチャ属の属名です。

園芸用に多くの品種が作り出されており、それらを総称して「セアノサス」と呼ばれています。

多くの種に共通しているのは、春〜初夏の間に花をつける点です。花の色や大きさはさまざまですが、ピンク、青紫、白などが一般的でしょう。葉の形状も円形から楕円形まで様々です。

株は1mを超える大きさに育つ品種もあれば、50cmほどに小さくまとまって育つ品種もあり、花や葉以外にもセアノサスの多様性がうかがえます。

青紫色の花を咲かせる

セアノサスは4月~6月ごろになると、枝の上部や葉の付け根の部分から青紫色の美しい花を咲かせます。

小さな花をたくさんつけるのが特徴で、多くの花から花序(かじょ)を形成するのです。

セアノサスの花は萼片(がくへん)と花びらが5枚ずついており、ひとつひとつの花びらは、へらのような形をしています。また花の基部には5~8個の雄しべと3個の雌しべをつけます。

花びらが落ちた後も萼片が残るため、鮮やかな青紫色の花を長期間にわたって楽しめるでしょう。

別名は「カリフォルニアライラック」

セアノサスは「カリフォルニアライラック」の別名で呼ばれることもあります。しかしライラックはモクセイ科であり、まったく別の植物なので、セアノサスと直接の関係はありません。

セアノサスはアメリカ原産で、カリフォルニア州沿岸部などで多く見られます。また香水などにも使われる香りが高い花、ライラックに似た香りを持つ性質も。

これらの特徴が「カリフォルニアライラック」という別名の由来になったと言われています。

またセアノサスという学名はトゲのある植物を指すギリシャ語である「Keanothos」が由来となっており、「西洋トゲアザミ」を指し示しています。

花言葉は「初恋の思い出」「温厚」「純朴」

セアノサスの花言葉は「初恋の思い出」「温厚」「純朴」です。

淡い花色と花びらの可憐な様子から、淡い恋心を示すような花言葉がつけられました。

内に秘めたあたたかな気持ちを表現する際に、贈り物としてセアノサスを選んでみてはいかがでしょうか。

セアノサスの主な品種

青い花を咲かせるセアノサス

セアノサスには数々の品種が存在しており、それぞれで花の色や大きさ、葉の特徴なども異なります。数ある中からお気に入りのセアノサスを見つけてみてはいかがでしょうか。

パシフィックブルー

セアノサスの中でも特に有名な品種が「パシフィックブルー」で、名前の通り小さくきれいな青色の花をつけるのが特徴です。

またほかの品種と比べると、葉にひときわ艶があるのも特徴で、花つきのよさと併せて観賞に向いている品種といえるでしょう。ほかの品種よりも多く流通しているため、入手するのもそれほど難しくありません。

注意すべきは寒さにはあまり強くない品種であるという点です。育てる際には温度管理に気を配る必要があるでしょう。

マリーサイモン

「マリーサイモン」もセアノサスの中では人気が高い品種で、ピンク色の花をつけるのが特徴です。葉の形状は幅が広く、冬になるとその葉が落ちていきます。

自然樹形で株立ち状に育つため、美しいシルエットを保ってくれるでしょう。パシフィックブルーとは異なり、寒さにもある程度は耐性がある点も特徴です。

マリーサイモンは花つきがよいのも魅力といえます。ただし湿度にはあまり強くない品種のため、湿気には気を配ってあげましょう。

スノーフリューリー

「スノーフリューリー」は白い花をつけるのが特徴のセアノサスです。葉には艶がありサイズは小さめです。

湿気が多いと枯れてしまう危険性があるため、湿度管理に気をつけて育てる必要があります。

その名の通り雪のように美しい白い花を見せてくれるスノーフリューリーですが、希少価値が高く、頻繁に見かけるのは難しいかもしれません。もし白いセアノサスを育てたいという人は、根気強く探してみる必要があるでしょう。

クールブルー

「クールブルー」は白斑入りの葉が特徴的なセアノサスの品種です。

5月ごろになると淡い青紫色の花を咲かせ、斑入りの葉とのコントラストが美しい印象を与えます。

樹高は30~40cmほどで、コンパクトな樹形にまとまります。セアノサスを鉢植えで栽培したい方にもおすすめの品種です。

ヘンリーデスフォッセ

「ヘンリーデスフォッセ」は濃い紫色の花姿が印象的なセアノサスの品種です。

ハッキリとした花色のため、他の品種や植物と寄植えにして楽しむのもよいでしょう。

鉢植えで育てることもできますが、1~2mほどの大きさに育つため、大きく育てたい場合は庭植えでの栽培がおすすめです。

ベルサイユ

「ベルサイユ」は淡い青紫色の花を咲かせるセアノサスです。

ベルサイユの花は他の品種と比べてこんもりしないのが特徴で、円錐形の花序を形成します。

またベルサイユの葉は他とくらべてやや大きく、7~8cmほどになるものも。光沢があり、花だけではなく葉の姿も楽しめるでしょう。

エルドラド

「エルドラド」は黃斑入りの葉をつけるセアノサスの品種です。

黃斑の入った葉は少し光沢があり、花のついていない季節でもその姿を堪能することができるでしょう。

5月~6月ごろになると淡い青紫色の花をつけ、斑入りの葉との美しいバランスを発揮します。

セアノサスの育て方

セアノサス

セアノサスの育て方を解説します。

セアノサスは乾燥を好む植物のため、栽培環境や水やりには十分な注意が必要です。

育て方のポイントを意識して、美しいセアノサスの花を咲かせましょう。

栽培環境

セアノサスは日当たりのよい場所でよく育つため、日陰より日向の方が適しています。

鉢植えの場合も、屋内の日が当たらない場所よりは屋外に出してあげた方が育ちやすくなるでしょう。

ただし真夏の時期は日差しが強すぎるため、株が弱ってしまう恐れがあります。

鉢植えの場合は午前中だけ日向に置き、午後からは日陰に置くといった対処法が有効です。

地植えの場合には午前と午後で日当たりが変わる場所にあらかじめ植えるか、あるいは日光を防ぐネットなどを用いるようにしましょう。

水やり

セアノサスは乾燥を好む植物のため、庭植えの場合は基本的に水やり不要です。雨が降らない日が何日も続くという状況にならない限り、自然の雨だけで水やりは充分です。

鉢植えの場合は土の表面が乾いたタイミングでたっぷりと水を与えましょう。

セアノサスは多湿な環境を好むため、過度な頻度での水やりは避けてくださいね。

肥料

セアノサスの肥料は、花が咲いた後のタイミングで与えます。9月ごろに緩効性肥料を根本部分に施しましょう。

多くの肥料を必要としない性質を持つため、過度な肥料は根の部分が腐ってしまう原因になってしまいます。

花つきがよいようであれば、無理に肥料を与えなくてもよいでしょう。

植え付け

セアノサスの植え付けは3~4月が適期です。時期を逃してしまった場合は9月~10月の植え付けも可能です。

関東より西の暖かい地域や東北より北の寒い地域では、外気温に応じて設置場所を変えることが求められます。そのため庭植えよりも鉢植えでの栽培がおすすめです。

またセアノサスの植え付けの際にはその場所の土の状態が重要です。

セアノサスは弱アルカリ性か中性の土壌でよく育ちます。酸性の土壌に植えるのは避けるべきでしょう。酸性の土しかなかった場合、苦土石灰を使用することで土を中和することができます。

植え替え

セアノサスの植え替えは植え付けと同じく、3月~4月または9月~10月が適期です。鉢植えで育てている場合は根詰まりを防ぐためにも、植え替えを定期的に実施しましょう。

またセアノサスの植え替えで避けるべき季節は冬です。根付くことなく枯れてしまう危険性があるので、遅くとも秋までには終わらせてくださいね。

植え替えのポイントは、樹木に対して少し大きめの鉢を用意してあげることです。

土は赤玉土と腐葉土を混ぜたものを用い、根の部分をほぐしながら植えるようにします。このとき根に腐っている箇所があれば丁寧に取り除きましょう。

剪定

セアノサスを剪定するタイミングは、花が咲き終えた後すぐがベストです。

時間を空けてしまうと、次の年の開花に影響を及ぼしてしまいます。剪定に対して特に繊細でもないため、害虫対策のためにもしっかり剪定しましょう。

また寒い時期の剪定は控えた方がベターです。芽の部分まで切ってしまう可能性があるため、もし行うとしても軽めの剪定に留めましょう。枯れている枝を切る程度で構いません。

開花後の剪定は外側に伸びている芽の数cm先を切るようなイメージで行うと、失敗しにくいです。くれぐれも芽が生えている部分は切らないように注意してくださいね。

セアノサスを上手に育てる3つのコツ

セアノサスの花

セアノサスを上手に育てるための3つのコツを紹介します。

  • 温度管理に気をつける
  • 水はけのよい土を用意する
  • 剪定をしっかりと行う

セアノサスは乾燥を好み、湿気を嫌う植物です。「セアノサスが枯れてしまった・・・」なんてことにならないよう、育て方のポイントを押さえて、健康的な生長を促しましょう。

温度管理に気をつける

セアノサスは高温多湿に弱いため、温度管理に気をつけることが大切です。

庭植えの場合は直射日光が当たる場所への植え付けは避けて、遮光するなどの工夫を施しましょう。

また鉢植えで育てている場合には半日陰の場所に置くなどして、配置場所を考えるようにしてください。

また多湿を防ぐためにも、日中の水やりは避けましょう。土中での湿度が向上し、枯れてしまう原因となります。

耐寒性について

セアノサスはある程度の耐寒性がありますが、霜がつくような環境下では冬越しの対策が必要です。

関東以南の地域では基本的に冬越しは不要ですが、気になる場合は冬の間は鉢を室内に移しておくとよいでしょう。

水はけのよい土を用意する

セアノサスは水はけのよい場所を好みます。つまり、ある程度乾燥している土壌の方が育ちやすいということです。多少であれば砂まじりの状態の土壌でも、生育が可能です。

反対に水はけが悪い粘土質の土壌では、生育が阻害されてしまいます。市販の土を使って植える場合には、あらかじめ配合された培養土が好ましいです。

もし自分で土を用意したいのであれば、川砂を混ぜた赤玉土と腐葉土を7対3に配合したものを使うのがおすすめです。

剪定をしっかりと行う

セアノサスは剪定を行わないでいると、翌年の花数が減ってしまいます。

刈り込みに強く、剪定には萌芽(ほうが)を促す作用も期待できるため、思い切って剪定するのがおすすめです。

萌芽で新たな芽が出ることで、さらにボリュームアップした花つきを楽しむことにもつながります。

花芽のついた枝を切ってしまわないように、剪定は花後すぐに行うのも大切なポイントですよ。

セアノサスの増やし方

セアノサス カリフォルニアライラック

「挿し木」を用いたセアノサスの増やし方を紹介します。

花を楽しんでいて「もっとたくさんのセアノサスに囲まれたい・・・」と思った方はぜひ検討してみてくださいね。

挿し木で増やせる

セアノサスは「挿し木」で増やせます。

挿し木とは植物の一部を切り、土に挿して増やす方法のこと。剪定時に出た枝を活用すると、効率よく挿し木ができます。

挿し木の手順は次のとおりです。

  1. 枝を先端から2節ほどの位置で切り取って「挿し穂」にする
  2. 枝の先端部以外の葉を取り除く
  3. 挿し穂を1~2時間程度、水につける
  4. 水はけのよい土に挿す
  5. たっぷりと水やりをする
  6. 風通しのよい場所で1ヶ月ほど管理する

挿し木の季節は夏頃が適しています。

セアノサスは湿気に弱いため、夏の前の梅雨時は控えるようにしましょう。

セアノサスを育ててみよう

セアノサス カリフォルニアライラック 花言葉は「初恋の思い出」

水やりや剪定のポイントさえ押さえておけば、セアノサスを育てるのはそこまで難しくありません。

多くの種類があるため育てる楽しさに加えて、選ぶ楽しさも味わえるのが魅力のひとつでもあります。

中にはスノーフリューリーのような希少種もあるため、ほしいものが必ず手に入るとは限りませんが、ぜひ好みのセアノサスを探して、育ててみてはいかがでしょうか。