エッシャーのだまし絵の秘密を解説!代表作も紹介 | Artis

エッシャーのだまし絵の秘密を解説!代表作も紹介

エッシャーのだまし絵の秘密を解説!代表作も紹介
出典:https://www.hpam.jp/museum/

だまし絵の天才として有名なエッシャー。

一度はエッシャーの作品を見たことがあるという方は多いでしょう。

頭の感覚だけでは捉えられないエッシャーのだまし絵は、現在でも多くの人を魅了する作品ばかりです。

今回は、エッシャーについて詳しく解説するとともに、だまし絵の秘密や代表作を紹介します。

1.エッシャーとは

エッシャーは、1898年にオランダで生まれた版画家です。

幼少期より絵を描くことが好きだったエッシャーは、18歳の時に美術の授業で版画に出会います。

その後、建築装飾美術学校の建築学科に入学しました。

しかし、すぐに版画科に移籍し、グラフィックアートの教師メスキータから木版やリトグラフといった様々な版画技法を学びます。

エッシャーはこうした技法を習得するだけでなく、複数の技法を用いて新たな表現をすることもありました。

1924年2月、エッシャー初の展覧会が開かれ高い評価を受けて以降、イタリアやオランダで定期的な展覧会を開催するようになります。

その結果、次第に知名度は上がったものの、画家として家族を養っていくことは困難でした。

実家からの仕送りで生活を保っていたエッシャーですが、1951年にイギリスやアメリカの雑誌が作品を取り上げたことで世界的に高く評価されるようになります。

1972年に亡くなるまで、400点を超える作品を残していますが、その全ては版画作品でした。

このことからも、エッシャーの版画にかける想いが伝わるでしょう。

2.エッシャーのだまし絵の秘密

エッシャーといえば、不思議な「だまし絵」をイメージする方も多いでしょう。

現代においても、エッシャーの作品には多くの人が魅了され続けています。

そんなエッシャーのだまし絵の秘密を紐解いていきましょう。

2-1.目の錯覚を活用

エッシャーは、「視覚の魔術師」ともいわれており、実際だまし絵には目の錯覚が巧みに使われています。

絵画を描く場合「相対比率」を用いて奥行きを表現することが一般的です。

しかし、エッシャーのだまし絵の相対比率は矛盾しています。

この矛盾によって視覚的なパラドックスを生み出している点がエッシャーのだまし絵の大きな特徴です。

3.エッシャーのだまし絵の代表作

エッシャーのだまし絵には様々な作品がありますが、中でも有名な3作品を紹介します。

3-1.滝

エッシャーのだまし絵の代表作

出典:ハウステンボス美術館
https://www.huistenbosch.co.jp/event/escher/

1961年に制作された「滝」という作品です。

エッシャーの代表作として有名であり、この作品でエッシャーを知ったという方も多いでしょう。

二つの塔が描かれており、その間に水路が走っています。

水路を流れる水は滝となって低所へ落ちていきますが、よく見るとその水はまた元の位置に戻り循環しているという作品です。

つまり、この絵には「高低差」が無いことになります。

重力や高低差を無視した作品であり、現実世界ではありえない現象を表現したエッシャーならではの表現といえるでしょう。

3-2.相対性

エッシャーのだまし絵の代表作

出典:M.C.Esher公式サイト
https://mcescher.com/gallery/impossible-constructions/

複数の異なる空間が一つに繋がったように見える不思議な作品「相対性」は、1953年に制作されました。

それぞれの空間に天地上下があり、見れば見るほど不思議な感覚に陥る作品です。

複数の人物が描かれていますが、一つの建物のなかで異なる世界を生きる表現に目眩すら感じる方もいるでしょう。

3つの引力が交わる不可思議な空間は、「視覚の魔術師」エッシャーの真骨頂ともいえます。

3-3.蛇

エッシャーのだまし絵の代表作

出典:エッシャー美術館
https://www.escherinhetpaleis.nl/%E5%90%8D%E4%BD%9C/%e8%9b%87/

エッシャーが最後に描いた作品がこちらの「蛇」です。

エッシャーは、最後の作品のモチーフに蛇を用いることを決めていたといいます。

この作品を描いた1969年から3年経った1972年3月27日、エッシャーは73歳の生涯を閉じました。

4.エッシャーのだまし絵はどこで見られる?

現実世界ではありえない不可思議なエッシャーのだまし絵を実際に見てみたいという方は多いでしょう。

続いては、エッシャーのだまし絵が見られる場所を紹介します。

4-1.エッシャー美術館

エッシャーの作品を数多く所蔵しえている「エッシャー美術館」は、オランダ・ハーグにあります。

18世紀に建てられたランゲ・フォールハウト宮殿の中に位置しており、2002年11月からエッシャーの作品の常設展示を始めました。

ただし、エッシャー美術館にある作品のほとんどはレプリカです。

とはいえ、当時使用された紙と同じものに印刷されており、十分にエッシャーの魅力を楽しめるでしょう。

4-2.イスラエル博物館

世界最大級のエッシャーコレクションを誇るのが、イスラエル博物館です。

2018年には、大阪・あべのハルカス美術館や東京・上野の森美術館などでも、イスラエル博物館が所蔵するエッシャーの作品が展示されました。

エッシャーの代名詞であるだまし絵だけでなく、初期に制作された作品や版画に使用された板なども展示されており、エッシャーファンにはたまらない博物館といえるでしょう。

4-3.三重県立美術館

日本でもエッシャーの作品を楽しみたいという方も多いでしょう。

三重県立美術館では、「メタモルフォーシスⅡ」「秩序とカオス」「物見の塔」の3点を所有しています。

時期によっては、それぞれの作品が常設展で取り上げられることがあるので、事前に確認してから訪れるとよいでしょう。

5.まとめ

今回は、「視覚の魔術師」エッシャーのだまし絵を紹介しました。

エッシャーの不思議な世界は、1972年に亡くなったのちも、世界中の人を魅了し続けています。

エッシャーの作品は、本やポストカード、ポスターなどでも取り上げられているので、手軽に鑑賞しやすいでしょう。

「無限」を感じられる大胆なエッシャーのだまし絵を楽しんでみませんか。

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