“美人セレブ妻”と“殺し屋” 韓国の人気女優イ・ジア 二面性ある役を鮮やかに演じる<パンドラ>
誰もが羨む恵まれた人生を送っていたセレブ妻が、その人生は誰かの計画により作られたものだった、と知り、自分の人生を操っていた勢力に反撃していく韓国ドラマ「パンドラ 偽りの楽園」。主人公・テラ役のイ・ジアは、美しく気品のあるセレブな雰囲気と過去の殺人マシーンとしての顔という二面性を鮮やかに演じ分け、作品に厚みを持たせている。そんな彼女をクローズアップ。
イ・ジア演じる“テラ”は、元・殺人マシーンのセレブ妻
「パンドラ」は、「愛の不時着」などの大ヒット作品を次々に送り出しているスタジオドラゴンが制作し、「皇后の品格」「ペントハウス」などの脚本家・キム・スノクがクリエイターとして参加している復讐スリラー。毎週土曜・日曜に、ディズニープラスで配信され、全16話編成となる。(以下、ネタバレを含みます)
イ・ジアが演じるホン・テラは、裕福な生い立ちで現在はIT企業の会長夫人。15年前に事故に遭い、それ以前の記憶が無い以外は何不自由ない幸せな人生を送っていた。だがある日、本当の自分は「50」と呼ばれる殺人マシーンだった事を思い出す。事故死した“ホン・テラ”という女性の人生を与えられていたのだった…。
彼女に偽りの人生を与えたのは、何と夫であるジェヒョン(イ・サンユン)だった。優しい夫の真の顔を知れば知るほど、テラの心は不信感と憎しみでいっぱいになっていく。
役作りで6kg減量
イ・ジアは、台本を読んだ瞬間、テラのキャラクターに魅了されて出演を決めた。撮影に入る前には、テラのキャラクターを研究し、テラの成長していく過程まで綿密にプランを立てて臨んだのだとか。「失った記憶を次第に取り戻しながら感じる裏切られた気持ちや、高まっていく感情を上手く表現したいと思い、集中して演じた」そうだ。「完璧なセレブ妻と敏腕な殺し屋、どちらが演じやすかったか」と製作発表できかれた彼女は「殺し屋」と答え、「復讐は完全にやり遂げなければ。全員殴り殺さなくちゃ」と笑わせていた。
また、元・殺人マシーンという設定の為、アクションシーンも多いが、彼女はこれまでにも「ATHENA-アテナ-」や「ペントハウス」などで、華麗なアクションを披露している。「アクションが大好き」と言うほどで、今回も楽しんで撮影した様子。「シャンデリアへ私が走るシーンがあって、代役の方がいたんですが、私がそのまま走っちゃって…。皆さんを驚かせてしまいました。私自身もその時、何を考えてそうしたのかわからないんです」と、役柄に没頭するあまりのハプニングもあったようだ。
そして、役作りとしてシャープな体を作るために、約9カ月ほど大好物のホルモンを断ってピラティスと理学療法でダイエットを。毎日リンゴを食べるのにハマり、ただでさえスリムなのに約6kg落としたとの事。腹筋も鍛えたのに披露するシーンが無く、残念そうだった。
32回のオーディションで大役ゲット
イ・ジアは、2007年にペ・ヨンジュン主演の大型時代劇「太王四神記」でヒロイン・スジニに大抜擢されてデビューしたが、それ以前には演技経験が無かった。1993年にアメリカに留学し、その後もアメリカで暮らしていた時に、韓国の女優(誰なのかは明らかにされていない)と知り合い、その人物の紹介で、2004年に韓国の大手通信会社のCMに出演。その時に共演したペ・ヨンジュンの事務所の社長が、このドラマのオーディションの話を持ってきたんだそう。
ジアはスジニ役に選ばれるまでに32回もオーディションを受けたんだとか。審査員に「スジニではなく他の役でも出演するか?」ときかれ、「スジニ役でなければ出演しない。私はスジニ役を演じるために来た」と答え、「視聴率が低ければ、すべての非難があなたに来るよ?」と脅されても「そんなことはないでしょう」と返したんだそう。「理由は分からないが、自信がありました」と当時を振り返っていた。
無名の新人が大役に大抜擢され、ジアは一気に注目の的に。そして、演技未経験とは思えない演技力と存在感で、「2007 MBC演技大賞」で新人女優賞を獲得した。続いて出演した「ベートーベン・ウイルス」でもドラマ人気も相まって、女優としての評価を上げた。
ジアにとって、キム・スノク作品は3作目
2011年秋には「私も花!」で初の主演を果たした。そして、彼女にとって初のキム・スノク作品となる「3度結婚する女」でも主演し、「ペントハウス」3部作で再びキム・スノク作品の主演を務めた。この作品でも難しい役を見事に演じ、「2020 SBS演技大賞」の“中・長編ドラマ部門 女性最優秀演技賞”を受賞し、幅広い演技力が認められた。
そして、ジアにとってキム・スノク作品3作目となるこの「パンドラ」でも多様な顔を見せている。一見か弱そうだが実は強いテラが、いよいよ直接反撃に出始めた。愛する人々を守る為、“自分の人生”を守る為、後半はさらにパワーアップしていくはず。「演技の緩急にも気をつけた」と言う彼女の細やかな表現にも注目して、最後まで楽しみたい。
◆文=鳥居美保/構成=ザテレビジョン編集部
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