破魔矢(はまや)は、矢を模した縁起物で寺社で授与されます。
お正月飾りとして年末や初詣のときに購入する方も多いことでしょう。
また、七五三のときに授与してくれる寺社もあります。
この記事では破魔矢の歴史や起源、ご利益や飾り方などを紹介します。
破魔矢を授与されたが飾り方がわからない、という方はぜひ参考にしてください。
破魔矢(はまや)とは?意味や由来
はじめに破魔矢の意味や由来、ご利益などを紹介します。
破魔矢は神社やお寺などで見たことはあっても、授与してもらったことはない方もいるでしょう。
ここでは飾り方や初穂料・志納料の相場、購入のタイミングまで紹介するので、参考にしてください。
破魔矢(はまや)って?意味やご利益は?
破魔矢は、その名のとおり「魔(不幸・不運)を払う」意味が込められた矢の形をした縁起物です。
また、弓矢は的を射るものなので、幸福を射止める意味もあります。
古来、宮中では毎年正月17日に天皇臨席でおこなう「射礼(じゃらい)」と呼ばれる弓を射る儀式がありました。
これが民間に伝わって豊作を占い弓占いとなり、そのときに使われる的が「ハマ」と呼ばれていたためハマを射る矢を「ハマヤ」と呼ぶようになった説もあります。
破魔矢はさまざまな種類がありますが、基本的にお気に入りのものを選んで大丈夫です。
破魔矢の歴史や由来
昔から日本では「弓を射る」という行為に魔を払う力があると考えられてきました。
弓に張られた弦を弾いて魔除けをしたり、子どもの健やかな成長を願って弓射をおこなったりするのは、そのためです。
江戸時代以降は弓射の行事で使った弓矢は縁起物となり、男児の初正月に「破魔弓」を、女児の初正月に「羽子板」を送る風習へと発展します。
しかし、時代が下るにつれてだんだんと弓射の行事は数が少なくなり、破魔矢だけが縁起物として寺社で授与されるようになっていきました。
なお、弓射の儀式自体は現在もおこなわれており、三十三間堂の通し矢などは特に有名です。
破魔矢はいつ買うもの?価格の相場は?
破魔矢は1年間の幸福と無病息災を願って授与されるものなので、基本的にはお正月に寺社で購入します。
また、七五三でご祈祷をしてもらうと千歳飴などとともに授与してくれる神社もあるでしょう。
このほか、家屋を新築するときに棟上式で鬼門の方角に向けて破魔矢を立てる習慣を持つ地域もあります。
一般的な破魔矢の値段は2,000〜3,000円が相場です。
神社の場合は初穂料、寺院の場合は志納料として納めます。
なお、寺社によっては1年中破魔矢を授与してくれるところもあり、新築祝いなどで送る方もいるでしょう。
新年の破魔矢は干支の絵馬がついていたり鏑矢だったりとより華やかなものが多いです。
初正月の破魔弓(破魔矢)は誰が用意する?
初正月の破魔弓は男児の縁起物です。誰が準備してもかまいません。
地域によっては父方・母方、どちらかの祖父母が用意する風習が残っていることもあるでしょう。
それにしたがってもいいですし、皆で少しずつお金を出し合って購入しても大丈夫です。
祖父母が「購入は自分の役割」と張り切っている可能性もあるので、よく話し合って購入方法を決めましょう。
なお、破魔弓は五月人形を扱っている人形店で購入ができますが、店によっては五月人形を購入すると破魔弓をサービスでつけてくれるところもあります。
破魔矢の正しい飾り方
現在は神棚や仏壇がないお家も珍しくありません。
「破魔矢を授与してもらったが、どこに飾っていいかわからない」と悩む方もいるでしょう。
ここでは、破魔矢の正しい飾り方を解説します。
破魔矢をはじめて授与してもらった方は、参考にしてください。
破魔矢は家のどこに置く?飾る場所は?
破魔矢は主に神棚に飾ります。神棚がない場合は、床の間に飾りましょう。
床の間もない場合は、家の中のできるだけ高い場所に飾ってください。
基本的に人の目線より上に飾れるならどこでも大丈夫です。
破魔矢は家の中に魔が入ってくるのを防ぐ縁起物でもあるので、玄関に飾るケースも多いでしょう。
ただし、物の多い場所におざなりに飾るのは避け、できるだけ周囲を清らかに保つように心がけてください。
キャビネットの一角を片付けて、そこに飾るなど工夫しましょう。
破魔矢の飾る向き
破魔矢は寝かせて飾るか、羽根が付いているほうを上にして飾ります。
羽根がついていないほうを上にして飾ると、天の神様に矢を射ることになってしまいます。壁に立てかけておいてもかまいません。
壁にフックをかけ、そこに寝かせて飾れば壁飾りのようにもできるでしょう。
破魔矢を見栄えよく飾りたい場合は、破魔矢立てを使う方法もあります。
破魔矢立てはホームセンターなどで1,000~1,500円前後の値段で販売されています。
矢じりの方角はどうする?
矢じりは鬼門、もしくは裏鬼門の方向に向けるとより効果的といわれていますが、家の間取りや飾る場所によっては不可能なこともあるので、無理をしなくてもかまいません。
干支の方位と反対側に矢じりを向けて飾っても良いでしょう。
その年の干支の方位は「吉方位」、反対側は「凶方位」に当たります。
凶方位に矢じりを向けることで、魔の侵入を阻みます。
なお、棟上式のときだけは矢じりを必ず鬼門と裏鬼門に向けます。
これもまた地域によってやり方が異なるので、詳しくは工務店と相談してください。
破魔矢はいつまで飾る?
破魔矢は基本的に1年中飾っておいても問題ありません。
しまう場合は、その年の小正月(1月15日)を目安にしてください。
なお、飾っておく場合はホコリがたまらないように定期的に掃除しましょう。
やわらかい布で拭くか、ティッシュなどで拭ってもかまいません。
破魔矢の交換と処分方法
最後に、破魔矢の交換時期や処分方法を解説します。
破魔矢は縁起物ですから、一般的なゴミとして処分するのには抵抗がある方もいるでしょう。
また、破魔弓の処分方法も紹介します。
交換は1年が目安
神社や寺院で授与してもらう破魔矢は、1年を目安に交換しましょう。
初詣に購入した場合は、年末~翌年の小正月を目安に処分します。
しかし、初詣の授与品など思い出の品の場合は、ずっと取っておいてもかまいません。
ホコリをかぶらないように定期的にお手入れをして、高いところに飾っておきましょう。
破魔矢の処分方法
神社や寺院では古いお札やお守り、破魔矢を回収しています。
古い縁起物やお守りは神社ならばお焚き上げ、寺院ならば焼納をおこなって処分してくれるので、初詣のついでに納めてもいいでしょう。
基本的に寺社ではいつでも古いお札や破魔矢を回収してくれるので、小正月までに破魔矢を返すことができなくても大丈夫です。
地域によっては冬の行事としてお正月飾りや縁起物を炊き上げる「どんど焼き」をおこなうので、そこで炊き上げてもらっても良いでしょう。
破魔弓の処分方法
破魔弓は、男児の健やかな成長を願って贈られるものです。
したがって、昔の元服年齢であった15歳を一つの区切りとして処分する方もいます。
しかし、ずっと飾っていてもかまいません。
ご家庭によっては子どもが現在の成人年齢である18~20歳になったら処分するケースもあるでしょう。
破魔弓の処分は、五月人形と一緒に人形供養に出すのがおすすめです。
インターネットで「人形供養」で検索すると、さまざまな寺社が見つかります。
宅配便で供養して欲しい品を送れるところもあるので、利用してみてもいいでしょう。
また、菩提寺や氏子となっている神社がある場合、供養を依頼できるかどうか尋ねてみてもいいですね。
まとめ:破魔矢を飾ろう
破魔矢の縁起や由来、飾り方や処分方法を紹介しました。
破魔矢は縁起物であると同時に新しい年の訪れを告げる季節の品です。
機会があったらぜひ子どもと一緒に破魔矢を飾ってみましょう。
子どもの健やかな成長を願うとともに、日本の伝統を親から子へ伝えていけます。