西田進一郎

「格子状」の同盟に独自戦略を　西田進一郎・北米総局長

　岸田文雄首相とバイデン米大統領は、日米同盟を世界の課題に対処する「グローバル・パートナーシップ」と規定した。インド太平洋地域を超え、世界の利益のためにあらゆる領域、レベルで協働する同盟を目指すという。　日本の首相が国賓待遇で訪米するのは9年ぶりだ。戦後70年の節目である2015年に訪米した当時の安

特派員の目

岸田首相は「因縁の場」でどう迎えられるのか＝西田進一郎（ワシントン）

　岸田文雄首相が4月11日、米連邦議会の上下両院合同会議で演説する。米大統領の一般教書演説など特別な機会に開かれる場だ。日本の首相では、2015年に当時の安倍晋三首相が初めて演説して以来となる。　かつては日本の首相が合同会議で演説するには高いハードルがあった。ルーズベルト大統領（当時）が1941年1

岐路の米国、民主主義の未来をかけた選択　バイデン氏一般教書演説

　バイデン米大統領が演説した議場は二つの世界に分かれていた。向かって左側に座った民主党議員からは何度も「あと4年！」と再選を求めるかけ声が上がり、右側の共和党議員は無反応かブーイングを飛ばした。トランプ前大統領を何度も持ち出して批判するバイデン氏の演説を、トランプ氏のスローガン「米国を再び偉大に」と

ウクライナ侵攻2年・識者に問う

パネッタ米元国防長官　「プーチン氏を絶対に信用してはいけない」

　オバマ米政権（民主党）で米中央情報局（CIA）長官、国防長官を歴任したレオン・パネッタ氏は、ロシアのプーチン大統領の野望を阻止するため、対ウクライナ支援に全力を尽くすべきだと訴える。11月の米大統領選で当選の可能性も指摘されるトランプ前大統領については、「プーチン氏の操り人形のようなもの」と酷評し

米共和党の候補者TV討論会、中止相次ぐ　「直接対決」なくなる

　米CNNテレビは17日、米大統領選に向けた共和党候補指名争いで、第2戦が行われる東部ニューハンプシャー州で21日に予定していた候補者討論会を中止すると発表した。支持率首位を走るトランプ前大統領に加え、同州で巻き返しを図るヘイリー元国連大使も出席の意向を示さなかったためだ。ABCテレビも18日に予定

完勝にこだわったトランプ氏　福音派に浸透、展開した「地上戦」

　11月の米大統領選に向けた共和党候補指名争いが15日に幕を開け、ドナルド・トランプ前大統領（77）が初戦のアイオワ州党員集会を制した。前評判通りの完勝で、波乱を狙ったライバル候補を圧倒し、党候補レースの「早期決着」に弾みをつけた。　「これは最初の夜だ。私たちが国を取り戻し、米国を再び偉大にする大き

氷点下27度の極寒ものともせず　支持者「トランプは救世主」

　11月の米大統領選に立候補している共和党のドナルド・トランプ前大統領（77）を支持する人たちの熱気は、極寒の中西部アイオワ州でも健在だ。外気はいてつき、幹線道路以外は雪で覆われている。党候補指名争いの初戦となる党員集会を翌日に控えた14日の集会には、多数の支持者が参加し、3時間超の集会でトランプ氏

マイナス27度の極寒ものともせず　支持者「トランプは救世主」

米大統領選後は内戦になるのか　歴史学者が語る民主主義の行方

　2024年11月の米大統領選は、再選を目指すバイデン大統領（民主党）と返り咲きを目指すトランプ前大統領（共和党）の「再戦」になるとの見方が早くも強まっている。ただし、投票日は10カ月以上先だ。米国の政治状況と選挙で問われるものについて、歴史学者であるアメリカン大のアラン・リクトマン教授（76）に聞

「避難は不可能」のシファ病院　イスラエル軍が突入に踏み切った理由

　パレスチナ自治区ガザ地区の戦闘で15日、イスラエル軍は地区最大規模の医療施設「シファ病院」に突入したと発表した。病院の地下にはイスラム組織ハマスの司令部があるとも言われ、イスラエル軍が「本丸」に踏み込んだ形だ。1カ月以上続く混乱は今後どうなるのか。　イスラエル軍は10月27日、ガザ北部から地上侵攻

イスラエル支援、割れるアメリカ世論　異例の大統領演説が持つ意味

　バイデン米大統領が19日、国民に向けて演説した。「オーバルオフィス」と呼ばれる大統領執務室からの演説は、戦争や重大な事件、主要政策の説明など限られた機会に行われ、重要な意味を持つ。今回の演説の背景にも、イスラエルへの支援や、ロシアの侵攻を受けるウクライナへの支援継続を巡って国内世論が割れているとい

米下院委、バイデン氏の弾劾審査で公聴会　次男巡る疑惑、証拠示さず

　米共和党が多数を握る連邦議会下院の監視・説明責任委員会は28日、民主党のバイデン大統領に対する弾劾訴追に向けた審査で初の公聴会を開いた。共和党は、バイデン氏が次男ハンター氏の不透明な海外事業に関与していたか、利益を得ていたかなどについて追及する構えを示した。公聴会は6時間超に及んだが、疑惑を裏付け

共和党指名争い独走のトランプ氏、討論会を無視　候補者ら非難合戦

　共和党の大統領候補指名争いは、トランプ氏が世論調査で独走状態にある。27日、西部カリフォルニア州では党の2回目のテレビ討論会が開かれた。だが、トランプ氏は「時間の無駄だ」と無視して、本選に向けたバイデン大統領との対決に注力。1回目に続いて討論会を欠席した。主役不在の中、浮上のきっかけをつかみたい候

特派員の目

敬意と節度を失った政治＝西田進一郎（ワシントン）

　いまや分断の印象だけが強い米国。15年前のある動画を見ると、同じ国かと疑う。　2008年の大統領選は、共和党のマケイン上院議員（当時）と民主党のオバマ上院議員（同）が争った。動画はマケイン氏が開いた対話型集会だ。オバマ氏が大統領になることを「恐れている」と発言する支持者を、マケイン氏は「オバマ氏は

米中は不一致点に向き合う時　CIA出身の元国家情報官

　バイデン米政権の高官による中国訪問が相次いでいる。ブリンケン国務長官やイエレン財務長官に続き、ケリー大統領特使（気候変動問題担当）も近く訪中する。対立する米中は今後、関係改善に向かうのか。米中央情報局（CIA）出身でブッシュ（子）政権、オバマ政権で東アジア担当の国家情報官だったポール・ヒア氏（シカ

アメリカ最高裁、同性婚サイトの制作拒否を支持「言論の自由」

　米連邦最高裁は6月30日、宗教的信条を理由に同性婚カップル向けのウェブサイト制作を拒否するという西部コロラド州のウェブデザイナーの主張を支持する判断を示した。同州には性的指向に基づく差別を禁じる州法があるが、言論や信仰の自由を定めた憲法修正第1条によってデザイナーは望まないサイトの制作から保護され

太平洋戦争を研究する中国　台湾を巡る軍事バランスと戦略は

　中国による台湾侵攻に関する議論が米国で熱を帯びている。台湾を巡る軍事的なバランスはどうなっているのか。中国軍の関心はどこにあるのか。「戦略予算評価センター（CSBA）」（米国）の上級研究員で中国軍研究者のトシ・ヨシハラ氏に聞いた。【聞き手・ワシントン西田進一郎】　――中国が2027年までに台湾に侵

トランプ氏起訴、担当判事に脅迫相次ぐ　共和下院は元検事に証言要求

　米東部ニューヨーク（NY）州の大陪審に起訴された共和党のトランプ前大統領（76）がNY市内の裁判所に出廷してから11日で1週間となる。事件を担当するマーチャン判事らに対しては脅迫や嫌がらせが相次いでいる。一方、下院司法委員会のジョーダン委員長（共和党）はNY州検察の元検事に宣誓証言を求める召喚状を

トランプ氏、徹底抗戦　大統領経験者で初の起訴「選挙妨害」

　米東部ニューヨーク（NY）州の大陪審に起訴されたトランプ前大統領（76）は4日（日本時間5日）、NY市内の裁判所に出廷した。閉廷後に公表された起訴状などによると、トランプ氏は2016年の大統領選前に、自身に不利な情報を隠すために不倫の口止め料を支払ったことなどをめぐり、業務記録を改ざんしたとされる

“被害者”強調するトランプ氏　「前大統領の起訴」を政治利用

　米大統領経験者で初めて刑事事件の被告となったトランプ前大統領の起訴内容が4日、明らかになった。2016年の大統領選を有利に進めるためにスキャンダルのもみ消しを図ったと見立てる検察側と、支持者を巻き込み事件を政治利用しようとするトランプ氏。歴史的な司法闘争が本格的に始まった。　◇「犯罪隠し」検察側、