皇室へのバッシング なぜたたかれるのか 眞子さんの恋愛

森暢平・成城大文芸学部教授
結婚の記者会見が終わり、あいさつする小室圭さんと眞子さん=東京都内のホテルで2021年10月26日(代表撮影)
結婚の記者会見が終わり、あいさつする小室圭さんと眞子さん=東京都内のホテルで2021年10月26日(代表撮影)

 皇室のメンバーへの激しいバッシングが起きることがあります。成城大文芸学部教授の森暢平さんに聞きました。【聞き手・須藤孝】

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建前が崩れている

 ――なぜ批判されるのでしょう。

 ◆昭和40年代には皇太子だった前の天皇陛下、今の上皇さまが批判されました。平成になると、やはり皇太子だった今の天皇陛下や雅子さまが批判されました。天皇自身や制度を批判するのではなく、比較的弱いところに向かいます。

 今は、それだけでは説明できないところがあります。

 20世紀型の福祉国家が1990年代後半ごろから崩れてきます。従来の福祉の対象にならない新たな弱者が増えています。典型的には非正規労働者や、結婚制度から外れる人たちです。

 皇室は、社会を統合し再配分する、20世紀型の慈恵主義の象徴でした。福祉の対象にならない人たちの不満が大きくなると、社会全体を統合する皇室の建前が崩れます。

 そのために、皇室そのものが批判される構造になっています。皇室が国民全員に慈恵を施すと思わせることができなくなっています。

 ――批判されやすくなっているのですね。

 ◆従来の価値観に不満が向けられ、陰謀論が生まれやすくなっています。陰謀論は…

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成城大文芸学部教授

 博士(文学)。毎日新聞で皇室などを担当。CNN日本語サイト編集長、琉球新報米国駐在を経て、2017年から現職。著書に「天皇家の財布」(新潮新書)、「天皇家の恋愛」(中公新書)、「近代皇室の社会史――側室・育児・恋愛」(吉川弘文館)など。