ソフトバンクグループ経営の実態(41)
ソフトバンクグループの後藤芳光・最高財務責任者(CFO)が昨年、保有する自社株を大量に売却したことが明らかになった。業績悪化に伴い2期連続の巨額赤字を出した同社だが、孫正義会長兼社長に次ぐ事実上のナンバー2の後藤氏が、なぜ保有株式を売却したのか。
「80万株減少」招集通知に記載
ソフトバンクグループが公表した6月の定時株主総会の招集通知で、後藤氏の保有株が大幅に減少したことが記載された。保有する自社の株式数は27万8600株。1年前の2022年6月総会の招集通知には107万8600株と記されており、80万株減少した。
後藤氏は20年6月の株主総会で取締役に選任され、その時の招集通知で107万8600株の自社株保有が記載された。22年の招集通知まで同数の記載が続いていた。
後藤氏は保有株をなぜ減少させたのか。同社の有価証券報告書や四半期報告書といった公表資料に経緯の一端が記載されている。
インセンティブプランを活用
同社は18年、役員に対して自社株の購入を目的に会社が資金を貸し付ける「インセンティブプラン」を導入した。
後藤氏はこの制度を用いて55億5400万円を会社から借りて株式を購入した。後藤氏の会社からの借り入れは21年3月期の有価証券報告書に記載されている。
借り入れの金利は年1.45%。23年5月末を期限にする満期一括返済で、33年5月末までの借り入れ期間延長や、借り入れ側の選択で期限前に返済できるようになっていた。返済期限に資金不足があれば孫氏がその分を会社に支払う保証が付けられた。
その後22年10~12月期の四半期報告書に、後藤氏が…
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