経済プレミア・トピックス フォロー

「投資家の孫正義さんは…」柳井正氏が語った言葉とは

川口雅浩・経済プレミア編集部
ソフトバンクグループの株主総会で笑顔を見せる孫正義会長兼社長=2021年6月23日、同社のオンライン映像から
ソフトバンクグループの株主総会で笑顔を見せる孫正義会長兼社長=2021年6月23日、同社のオンライン映像から

 「19世紀の産業革命はワットのような発明家だけでは成り立たなかった。ロスチャイルドのような資本家が大きなリスクをとって投資したからだ。ソフトバンクグループ(SBG)はAI(人工知能)を使った情報革命に最も大きく資本を提供していると自負している」

 SBGは6月23日、東京都内で株主総会を開き、孫正義会長兼社長が自らの経営戦略を語った。

 孫氏は「投資家としての孫は好きでないと多くの人に言われてきた。投資家と資本家は似た言葉だか、似て非なるものと思っている」と、持論を展開した。自分は投資家ではなく、ロスチャイルド家のような資本家だと言いたいようだった。

 「投資家はお金を増やすのがゴールだが、資本家は未来を創ることに生きがいを感じる」と語る孫氏は、AIを使った起業家と組み、(1)自動運転で事故のない世界(2)AIによる遺伝子解析で病死のない世界(3)遠隔教育で格差のない世界――などを実現したいと夢を語った。

 SBGは世界の有望なベンチャー企業に投資する「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」などを通じて、現在264社に出資している。孫氏は「ほとんどの会社がまだ利益を出していない。大きなリスクを伴うが、資本家として情報革命をけん引したい」と、力を込めた。

ガバナンス問う声あいつぐ

 かつてSBGの株主総会は、株主に孫氏のファンが多いせいか、夢を語る孫氏に同調するような質問が多かった。ところが今回の総会では「SBGの株主還元は他社に比べて低い」「英半導体大手アーム・ホールディングスの株式売却は安すぎたのではないか」など、株価や資本政策に関するものばかり。孫氏が説く「情報革命」について…

この記事は有料記事です。

残り954文字(全文1653文字)

経済プレミア編集部

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部。