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インド最大都市「ムンバイ」豪華ホテルを選んだワケ

藻谷浩介・地域エコノミスト
ムンバイのインド門。タージマハルホテルの正面に建つ(写真は筆者撮影)
ムンバイのインド門。タージマハルホテルの正面に建つ(写真は筆者撮影)

インド・ムンバイとゴア編(1)

 新型コロナウイルス感染症の陽性判明者数が、世界最大なのは米国だ。米国最大の都市ニューヨークでは、11月初旬現在、中国全土の10倍の4万5000人もの死者が出ている。そして世界でもう一つだけ、同じく4万5000人もの死者を出している大都市圏が、インドのムンバイだ。そんなコロナ禍勃発の直前に目に焼き付けた、この混沌(こんとん)の大都会の姿とは。

相性の良くないインドへの旅

 筆者とインドは、どうも相性が良くない。2016年12月には、スリランカのコロンボを訪れたついでに、インドのチェンナイに寄ろうとしたが、サイクロンに直撃されて飛行機が飛ばなかった(「藻谷流ネット駆使の効率的旅行スケジュールの組み方」参照)。筆者がシンガポール在住だった09年には、週末にニューデリーを見物してこようとして、空港で搭乗を断られた。恥ずかしながらインド入国にビザが必要なのを知らず、事前に取得していなかったのである。

 そのときは、航空会社が航空券をオープン券に変えてくれたので、2カ月後に再トライすることとし、シンガポールのインド大使館へビザ取得に行った。すると「指定の旅行代理店経由でないと受け付けない」という。しかもその代理店で手続きした後に、結局大使館に再度行かねばならなかったということで、こちらの手間ばかりが増えたのだった。

 そうやってようように訪れたニューデリーでは、オールドデリーの迷路状の旧市街地や、世界遺産クトゥブ・ミナールの「さびない鉄柱」に感銘したが、あまりにひどい渋滞と大気汚染には、ほとほと参った。

 またシンガポールでは、両替商と警備員にはインド系が圧倒…

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地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。