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トランプ氏と相性最悪ティラーソン氏「辞任説」を追う

会川 晴之・毎日新聞北米総局特派員
ティラーソン米国務長官=2017年3月16日、小川昌宏撮影
ティラーソン米国務長官=2017年3月16日、小川昌宏撮影

 ティラーソン米国務長官の交代観測が再び浮上している。米メディアは12月に入り、年内にも退任すると相次いで伝えた。10月にNBC放送が「7月に辞任の意思を固めたものの、ペンス副大統領などの説得で翻意した」と伝えたのとは違い、今度は、間違いなしとの観測が強まっている。

 「史上最低の国務長官」など、米国ではティラーソン氏の評判はすこぶる悪い。就任から10カ月間あまり。これといった成果を上げていないことに加え、国務省予算の3割削減を受け入れた。日本やロシア、英国大使こそ着任したものの、フランス、ドイツ、サウジアラビアなど主要国の大使はいまだに決まらない。トランプ政権にとって最重要問題である北朝鮮の核・ミサイル問題の実務を指揮する東アジア担当の次官補もいない。韓国大使も不在だ。だが、これらは国務長官の責任ではなく、候補を指名しない大統領や、承認手続きを進めない議会の問題だ。

 「一部側近だけを集めて政策を決めている」「外遊の際に恒例だった専用機での記者懇談に応じない」などの批判も根強い。国務省の古き良き「伝統」を破壊し、社交を重んじるワシントンの文化を理解しない「田舎者」という個人批判だ。

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毎日新聞北米総局特派員

1959年東京都生まれ、北海道大学法学部卒、87年毎日新聞入社。東京本社経済部、政治部、ウィーン支局、欧州総局長(ロンドン)、北米総局長(ワシントン)などを経て、2018年12月から現職。日米政府が進めたモンゴルへの核廃棄計画の特報で、11年度のボーン・上田記念国際記者賞を受賞。日本発の核拡散を描いた毎日新聞連載の「核回廊を歩く 日本編」で、16年の科学ジャーナリスト賞を受賞。著書に「核に魅入られた国家 知られざる拡散の実態」(毎日新聞出版)。