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無国籍なスキーリゾートのアンドラは欧州の未来か

藻谷浩介・地域エコノミスト
アンドラ・ラ・ベリャの中心部に建つスパリゾート施設カルデア(写真は筆者撮影)
アンドラ・ラ・ベリャの中心部に建つスパリゾート施設カルデア(写真は筆者撮影)

アンドラ公国(2)

 ピレネー山脈の奥深く、急峻(きゅうしゅん)な地でスペインとフランスに挟まれて生きるアンドラ公国。公用語はカタルーニャ語。何を糧に生きていこうとしているのか。歴史を知り、街中を見れば、その考えを読み取ることができる。人口8万人弱の小国のリポート第2回。

観光で地元らしさを前面に出す欧州で勝てるのか

 南フランスのトゥールーズからバスで3時間弱。雪のピレネー山脈を越えて着いたアンドラは、「国中がスキーリゾート&免税品店街」のような状況だった。人口2万人の首都アンドラ・ラ・ベリャが、小さなコンクリートジャングルと化していることに悲しみを覚えつつ、短い乗り換え時間の間に本来のアンドラの姿を探す。

 2015年3月2日の昼。標高1000メートルを超えるアンドラ・ラ・ベリャは薄曇りだったが、この年は暖冬で、街角の温度計はセ氏21度を表示していた。そのせいでもあるまいが、月曜日だからだろうか、町を歩く観光客は少なめだ。

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地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。