街の文化漂う 秘蔵の宿 フォロー

海を一望する安藤忠雄建築 TOTOシーウィンド淡路

稲葉なおと・紀行作家、一級建築士

7020円(税込み)~

 南北に約55キロ。淡路島の大きさは出発前に地図を見て把握しているつもりだったが、神戸から明石海峡大橋を渡り、レンタカーで走ると、あらためてその大きさを実感する。一度島に入ってしまうと左右も前後も陸地続きで、自分が島にいることをまったく実感できないのだ。

 バスでこの宿を訪れる人もおそらく同じ感想を抱くだろう。大阪駅、神戸・三宮駅、新神戸駅、神戸空港、徳島駅からもバスでのアクセスが可能。島中東部の津名港バスターミナル下車、タクシーで15分ほどだ。

 だからこそお目当ての宿に着くと、そこに待ちかまえていた淡路島ならではのロケーションに魅せられた。壁そのものが開くというような、驚くほど幅の広いエントランスドアを抜ける。そしてフロント越しに吹き抜けの下り階段を望むと、その先の壁面ガラスに、島の東側にひかえる大阪湾がまさしくどかんと姿を現した。

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紀行作家、一級建築士

1959年、東京都生まれ。東京工業大学建築学科卒。400軒以上の名建築の宿を宿泊・取材。旅行記、小説、児童文学、写真集を発表している。現在も長編小説を雑誌「ダンスビュウ」に連載中。第10回JTB紀行文学大賞奨励賞受賞。主な著書に「匠たちの名旅館」など。近著に「モデルルームをじっくり見る人ほど『欠陥マンション』をつかみやすい」(小学館)。公式サイトでお勧めホテル、名建築の写真を多数公開中 http://www.naotoinaba.com (顔写真の撮影は寺崎誠三さん)