◆フランス料理店「ロオジエ」(東京都中央区) 井黒卓さん(36)
ワインでお客さんを幸せに
ソムリエの井黒さんが働くのは高級フランス料理店です。ワインはフランス料理に欠かせない存在です。お店で提供する料理や、お客さんの求めているものにぴったりと合うワインを提案し、お客さんに良い時間を過ごしてもらうのが仕事です。
ワインは星の数ほどあり、産地が同じでも畑が違えば、生産者が同じでも年が違えば別の味になるほど奥が深い世界です。原料になるブドウの品種や粒の大きさ、畑の場所や土の状態、気候や歴史などの幅広い知識を常に勉強し続けることが求められます。良いワインや最新の情報を仕入れるため、海外の生産地へ行くこともあります。
お客さんから相談された時に答えられるよう、仕入れたワインは、テイスティング(試飲)をします。色や香り、味わいや、飲みごろかどうかを確認します。お客さんが飲みたいと思うワインでも、熟成が進んでいないと判断すれば、もう少し待つことをすすめる時もあるそうです。ワインの特徴に合わせたグラス選びも大切です。グラスの形によって、香りの広がり方が変わるためです。ワインを最高の状態で提供するために、注ぐ技術も必要です。長く熟成されたワインは、さまざまな成分が固まって、おりとなってびんの底にたまります。コルクももろくなっているため、細心の注意を払って栓を抜き、おりをグラスに入れないように注ぎます。
井黒さんはソムリエについて「ワインを懸け橋にして、お客さんをハッピーにする仕事」と表現します。料理を食べ終えたお客さんが「今日は楽しかった」と言って感謝を伝えてくれる時、やりがいや喜びを感じると言います。【田嶋夏希】
この仕事につくには
民間団体の「日本ソムリエ協会」などが認定試験を行っています。合格しなくてもソムリエとして働くことはできますが、認定は知識や技術の証明になります。認定試験を受けるには、飲食店での勤務経験などの条件があります。
ある一日
10:00 出勤。掃除やワインの補充、ワインの品質チェック
11:30 開店。お客さんの対応
15:00 昼の営業が終了。仕入れたワインをワインセラーにしまう。フルーツカクテルのフルーツの仕込み、予約しているお客さんの確認、ワインの準備
17:30 ディナーの時間のお客さんの対応
21:00 帰宅