口も気持ちもはじける
「パチパチパニック!」は、お口の中ではじけるキャンディー。刺激や食感が楽しいけど、何でこんなにパチパチするのでしょう? もしかして危険な何かが……。ドキドキしながら、製造・販売する明治産業に聞いてみました。
明治産業は、大手食品メーカー・明治(東京都中央区)の子会社で、1945年9月に設立されました。現在は「ヨーグレット」など、明治の商品を製造するかたわら、自分の会社の商品も製造・販売しています。
独自の技術で不思議食感
「パチパチパニック!」は5ミリメートル程度の大きさで、見た目はくだけたアメのかけらにしか見えません。でも、口の中に入れると、はじけるような刺激とパチパチという音が出てきます。なんとも不思議な食感です。
明治産業は99年に「シュワシュワパンチ」という商品を発売しました。2007年から「パチパチパニック!」という名前になります。思っていたより歴史は短いんですね。記者が「子どものころにも食べていた気がするんですが」と聞くと、開発部の長谷部章さんは「製造自体は1979年からしていますし、他社で販売しているところもありました」と教えてくれました。製造自体は79年?
パチパチのキャンディーは、長い間、明治のお菓子に使われてきたといいます。代表的なものは、綿あめにキャンディーが練り込まれた「わたパチ」(2016年に販売終了)です。明治産業は1980年代後半から、自分の会社の商品の販売に乗り出します。何かパチパチキャンディーを使った商品も作れないかと考え、キャンディーをそのまま小袋に入れて、子ども向けに販売することになったのです。現在はグレープ味とコーラ味、ソーダ味があります。
パチパチの秘密
緊張もほぐれたところで、さりげなく聞いてみました。ところで、何でパチパチするんですか?
「アメの中に、高圧の炭酸ガスを封入しているんです」。ガス……。袋の裏に「勢いよくはじけることがあります」とか、丁寧な注意書きがありますよね。危険はないんですか?
「子どもさん向けなので、不意にはじけた時のために注意を喚起しています。食べて、何か起きるということではないですよ」
丁寧に原理を教えてくれました。「アメの中に小さな炭酸ガスを練り込んでいます。なめてアメが薄くなると、中のガスの圧力に負けて、アメが破れるんです。この時に、衝撃と共に音がするんです。風船がわれると音が出るのと同じ感じでしょうか」と長谷部さん。なるほど。
パチパチキャンディーは、くだいたアメを圧力の高いガスの中で溶かし、固め直して作ります。圧力をかけながら加熱するため、特殊な設備が必要。日本で製造しているのは明治産業だけです。
近年、「パチパチパニック!」の売り上げは急に伸びて、2021年度は15年度の4倍以上になったそうです。「長年販売している商品では珍しいんです」と、長谷部さんも少し不思議そうです。SNS(ネット交流サービス)や、明治の「わたパチ」販売終了の影響もあるかもしれないといいますが、「これ」という理由は分かっていません。
長谷部さんは「可能性のあるキャンディーなので、『パチパチパニック!』以外にも展開し、みなさんに楽しく食べてもらえたら」と話します。【水津聡子】
次回は2月26日(一部地域は27日)です。