◆大相撲の逸ノ城関
名古屋場所で初優勝
来月11日から大相撲の秋場所が始まります。7月の名古屋場所で初優勝した逸ノ城関(29)には、今後の大関昇進に向けて周囲の期待も大きくなっています。
名古屋場所の逸ノ城関は、関取で最も重い体重211キログラムの大きな体を生かした、安定した取組で白星を重ねました。11勝3敗で迎えた千秋楽に宇良関(30)を寄り切りで破り、初優勝を決めました。入門から約8年半という長い道のりでしたが、「いつか優勝できると思っていた」と喜びました。
初土俵は2014年1月の初場所です。幕下と十両をともに2場所で通過。新入幕を果たした14年秋場所には、まげを結う髪の長さが足りず、「ざんばら髪」で優勝争いを演じました。スピード出世で、初優勝への期待も高まりましたが、その後は腰の痛みやケガで思うような結果が残せませんでした。
番付は浮き沈みを繰り返してきました。9月11日に初日を迎える秋場所に向け、逸ノ城関は「大関をめざしていきたい」と語りました。攻めの遅さが課題ですが、「(相手の)まわしを取り、自分の圧力で前に出る相撲をめざしていきたい」と改善に意欲をみせます。初優勝で自信を深めた逸ノ城関の相撲に注目が集まりそうです。
草原で暮らす遊牧民
逸ノ城関はモンゴル出身です。首都ウランバートルから西へ約400キロメートル離れたアルハンガイの草原で、遊牧民として暮らしていました。大きな体と素直で真面目な性格が気に入られ、2010年に高校相撲の名門・鳥取城北高校に相撲留学。高校卒業直後は相撲界に入れず、鳥取県体育協会の体育指導員として就職しました。鳥取市内の陸上競技場で設備の管理、利用者への案内などをしながら母校で練習を続けたあと、湊部屋にスカウトされました。