決まりを守らない人だけでなく、クラスやチーム全体が責任を負う「連帯責任」という仕組みがあります。このようなルールがある学校の読者から、見直してほしいという声が寄せられました。「連帯責任」に問題はないのか、専門家に聞きました。【田嶋夏希】
大分県の中1の男子生徒が通う学校には、連帯責任のルールがあるといいます。
部活動が終わって午後6時までに校門を出ないと、部活全体が1週間の活動停止になります。活動停止になった部活の人は「何で決まりを守っている俺らがそうなるの」と言っていたそうです。男子生徒は「午後6時を過ぎたからといって部活を停止するのは、破った子だけでも厳しいルールだと思うのに、全員ができなくなるのは、どうなのか」と疑問を投げかけます。
チームの減点も
さらに、運動会の練習で忘れ物をすると、運動会当日のチームの点数が引かれるというルールもあるそうです。今のところクラスで忘れ物した人はいないそうですが、男子生徒はこのルールが友達を責めることにつながるのではないかと心配しています。「『忘れたからといってその人を非難しないこと』などと初めにみんなに言っておくべきではないか」と話します。
この生徒の保護者は、中学生になって校則が厳しくなったと感じているそうです。戦前や戦中にあった、お互いに監視しあう「隣組」の例を出し「忘れ物は周りの子にはどうしようもないことなのに、このようなルールで生徒を管理するのは基本的にやってはいけないこと。大人の世界でダメなことは、子どもの世界でもダメだと思う」と疑問を投げかけます。
ある小6の男子が通う学校では、グループ活動で誰か一人が失敗したら全員がマイナス評価になるというルールがあるそうです。「自分がいくらがんばったとしても、誰かが失敗したら全員が責任を取るというのは見直してほしい」との意見です。
法的には意味違う
このような連帯責任が問われる場面について、子ども向けに法律を解説する記事「どうなってるんだろう? 子どもの法律」をウェブ上に書いている弁護士の山下敏雅さんに聞きました。法律の言葉で言う連帯責任は、誰かに複数の人で損害を与えてしまった場合、一緒に責任を負うことです。たとえば、相手に300万円の損害を3人で与えてしまった場合、平等に100万円ずつ払うか、割合を変えるかは3人で決めるとして、「3人でやったことだから3人みんなで被害者に300万円を払う」のが連帯責任です。学校で行われるような1人がやったことで全員が同じ罰を受けることとは違うと、山下さんは指摘します。=2面につづく
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