学校の記号なぜ「文」？

文字（もじ）を習（なら）う場所（ばしょ）だから

　Ｑ　学校（がっこう）の記号（きごう）なぜ「文」？（神奈川県横浜市（かながわけんよこはまし）、小（しょう）６女子（じょし））

　Ａ　地図（ちず）を作（つく）っている国土地理院（こくどちりいん）（茨城県（いばらきけん）つくば市（し））の広報広聴室（こうほうこうちょうしつ）の担当者（たんとうしゃ）に聞（き）きました。結論（けつろん）から言（い）うと、残念（ざんねん）ながらはっきりとした理由（りゆう）はわからないそうです。由来（ゆらい）を記（しる）した資料（しりょう）が残（のこ）っていないからです。国土地理院（こくどちりいん）や「地図（ちず）と測量（そくりょう）の科学館（かがくかん）」では、「文字（もじ）を習（なら）う場所（ばしょ）だから」と推測（すいそく）して説明（せつめい）しているそうです。

　ちなみに学校（がっこう）の地図記号（ちずきごう）が生（う）まれたのは１８８５年（ねん）。今（いま）とは全然違（ぜんぜんちが）う、巻物（まきもの）に似（に）た形（かたち）の記号（きごう）でした。６年後（ねんご）、現在（げんざい）の「文」の記号（きごう）となり、現在（げんざい）に至（いた）ります。１９６５年（ねん）、高校（こうこう）は「文」を○で囲（かこ）んだ記号（きごう）で表（あらわ）して、小中学校（しょうちゅうがっこう）と区別（くべつ）するようになりました。

　地図記号（ちずきごう）の中（なか）にはほかにも、文字（もじ）が基（もと）になっているものがあります。郵便局（ゆうびんきょく）は、カタカナの「テ」を○で囲（かこ）んだ記号（きごう）で表（あらわ）します。これは昔（むかし）、郵便（ゆうびん）などを扱（あつか）う役所（やくしょ）が「逓信省（ていしんしょう）」という名前（なまえ）だったため、頭文字（かしらもじ）の「テ」を記号（きごう）にしました。封筒（ふうとう）の形（かたち）を表（あらわ）した違（ちが）う記号（きごう）だった時期（じき）もありましたが、１９０９年（ねん）から現在（げんざい）の記号（きごう）に近（ちか）い「テ」の形（かたち）になりました。また、官公署（かんこうしょ）（国（くに）や地方（ちほう）の役所（やくしょ））の記号（きごう）は、漢字（かんじ）の「公」を基（もと）にしたデザインになっています。石油（せきゆ）や天然（てんねん）ガスなどを掘（ほ）り出（だ）す油井（ゆせい）・ガス井（せい）の記号（きごう）は、漢字（かんじ）の「井」の字（じ）と同（おな）じ形（かたち）です。

　字（じ）の形以外（かたちいがい）では、関係（かんけい）する物（もの）の形（かたち）などを基（もと）にしたデザインが地図記号（ちずきごう）には多（おお）いようです。裁判所（さいばんしょ）の記号（きごう）は、立（た）て札（ふだ）をかたどっています。昔（むかし）、裁判所（さいばんしょ）が裁判（さいばん）の内容（ないよう）などを立（た）て札（ふだ）で知（し）らせていたことにちなんでいます。税務署（ぜいむしょ）はお金（かね）の計算（けいさん）をするので、そろばんの玉（たま）の形（かたち）が記号（きごう）になりました。消防署（しょうぼうしょ）は、昔（むかし）、火事（かじ）を消（け）すときに使（つか）っていた「さすまた」という道具（どうぐ）の形（かたち）を記号（きごう）にしました。警察（けいさつ）や交番（こうばん）の記号（きごう）に見（み）られる「×」の印（しるし）は、警察官（けいさつかん）が持（も）っている警棒（けいぼう）を交差（こうさ）させた形（かたち）を表（あらわ）しているそうです。

　丸暗記（まるあんき）しようとすると覚（おぼ）えにくい地図記号（ちずきごう）も、由来（ゆらい）を考（かんが）えてみると少（すこ）し覚（おぼ）えやすくなるかもしれません。【竹花周（たけはなしゅう）】

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