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対中国、フィリピンが深める海上外交 米以外にも「同志」求める

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フィリピンのマルコス大統領のそばでサインをする岸田文雄首相=マニラで2023年11月3日、AP
フィリピンのマルコス大統領のそばでサインをする岸田文雄首相=マニラで2023年11月3日、AP

 3日行われた岸田文雄首相とフィリピンのマルコス大統領との会談では、日本政府による装備品提供などの新たな枠組み「政府安全保障能力強化支援(OSA)」や、自衛隊とフィリピン軍の相互往来をスムーズにする「円滑化協定(RAA)」など安全保障分野での連携が中心テーマとなった。東・南シナ海での活動を活発化させる中国を念頭に、両国の関係強化は今後も続きそうだ。

   ◇

 南シナ海の領有権を巡るフィリピンと中国の対立が高まる中、フィリピンは、長年の同盟国である米国以外の「同志」との軍事連携を急速に広げている。南シナ海周辺では、中国も他国と合同軍事演習をするなど、海での国家間協力を深め、連携を誇示する「海上外交」が活発化しており、フィリピンは地理的に近い日本とより強い連携を望んできた。

 10月にフィリピンのルソン島南部で実施された比米海軍の定例の合同軍事演習は、日英豪やカナダ、フランスが加わったほか、ニュージーランドとインドネシアがオブザーバー参加し、過去最大規模となった。比海軍のアダチ中将は開幕式で「演習は、広範にわたる安全保障の課題への対応力を高めるものだ」と強調。地元メディアはタガログ語で「サマサマ(共に)」と呼ばれる同演習について、「南シナ海問題で中国に対抗する『同志』の結束を示した」などと報じた。

 世界の貿易のおよそ3分の1が行き来するとされる南シナ海は、世界的にも重要な貿易ルートの一つだ。緊張の高まりと比例して、フィリピンと他国の軍事連携は急速に広がっている。

 カナダとは10月、同国の衛星システムを利用し、南シナ海沿岸を監視する協定を締結した。このシステムを使うことで、位置伝達装置の電源を切った状態の船も探知することができる。違法漁業をする中国船の位置を把握しようというのが比側の狙いだ。

 日本とは…

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