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その学生も、箱根駅伝の出場を夢見ていたという。
「おやじもいつかはと、ひそかに体作りをしていたと聞いたことがある。だが、絶対に自分から走りたいとは言わなかった」
おやじとは1936年ベルリン・オリンピック男子マラソン金メダリストの孫基禎(ソンキジョン)。長男の孫正寅(ソンジョンイン)さん(80)は、父子ともに母校である明治大の講演でそう語った。
孫基禎は、日本の植民地下にあった朝鮮北部、中国との国境近い町に生まれた。貧しさと差別の中、走ることが心の支えだった。23歳で当時の世界最高記録を出し、日本人優遇の代表選考も勝ち抜いた。五輪の翌年、明治大に進んだが、競技には戻らなかった。
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