留置施設がない警察署誕生へ 全国でも数例 容疑者はどこへ?

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2028年度に移転する十日町署=新潟県十日町市河内町で2023年8月7日午後3時2分、中津川甫撮影
2028年度に移転する十日町署=新潟県十日町市河内町で2023年8月7日午後3時2分、中津川甫撮影

 新潟県警が、逮捕した容疑者を収容する「留置施設」がない警察署を県内で初めて建設する。十日町署(十日町市河内町)で、2028年度に移転する際に留置施設を設けない。県警は「経費節減策としての新たな取り組み」と強調しており、県財政の悪化が影響を及ぼした形だ。【中津川甫】

 警察本部や警察署内にある留置施設は、拘置所などの刑事施設の代わりに、逮捕した容疑者の逃走や証拠隠滅を防止し身柄を拘束するために設置されている。身柄の拘束は逮捕の有効期限と勾留期間を合わせて原則最長23日間となり、警察官や検察官が取り調べなどを行う。

 他県で留置施設がない警察署は、兵庫県警篠山署(05年12月開署)▽山形県警尾花沢署(15年9月開署)▽青森県警三戸署(22年3月開署)――の3例のみ(新潟県警調べ)。警察庁も「統計がなく全国的にも数例しか聞かない」(広報)という。

 十日町署の移転先は、現在地から西約950メートルの水田跡地。付近に市街地や南北に走る国道があり、地域高規格道路の「上越魚沼地域振興快速道路」が今後整備されるため、各方面へのアクセスが良いと判断。ハザードマップで土砂・浸水災害リスクも低いことから選ばれた。

 新庁舎は鉄筋コンクリート造り3階建て。敷地面積は現在の約2・9倍の約7000平方メートル、延べ床面積は約2・4倍の約2600平方メートル(付属棟を含む)。現在の十日町署は1968年に建設され、老朽化が進んでいた。

 県財政は厳しいが、施設規模は倍以上になる。県警はその理由について「現在は非常に手狭で、必要な設備などを置くためにスペースを確保する必要がある。署を訪れる人の待機場所も狭い」と説明。留置施設を設けない新たな試みで、膨らんだ整備費を圧縮したという。県警装備施設課の担当者は「県内の収容人員や収容率などから支障がないと判断した」と話す。

 県警は23年度から設計に着手し、26年度後半から新庁舎を建設する計画だ。…

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