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元西武・武隈祥太さん 愛され左腕の粋な幕引きと新たな野球人生

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打撃投手を務める武隈祥太さん=埼玉県所沢市のCAR3219(カーミニーク)フィールドで2023年5月11日午前11時59分、川村咲平撮影
打撃投手を務める武隈祥太さん=埼玉県所沢市のCAR3219(カーミニーク)フィールドで2023年5月11日午前11時59分、川村咲平撮影

 引退の時は全てのプロ野球選手に訪れるが、どのような形で迎えるかは人それぞれだ。貴重なリリーフ左腕として西武を長年支えた武隈祥太さん(33)は昨季、周囲を驚かす斬新な引き際を見せ、今季から新しい役割でチームの一翼を担っている。

 「始球式とか、どうですか?」――。

 本人から出た冗談半分の一言から、壮大なプロジェクトが始まった。現役最後のマウンドは2022年10月2日、シーズン最終戦の試合前。事前に一切公表しないサプライズ企画で、当日のシナリオを考え「ロケ」まで行う用意周到ぶりだった。

 当日、試合前の球場で、いきなり大型スクリーンに映し出された武隈さん。驚くファンに向けて「15年の現役生活を終え、引退しようと思います。15年間応援ありがとうございました」と告げると、本人がグラウンドに現れてマウンドに立った。

 打席には高橋光成投手(26)が入り、捕手役は「先輩であり友達のような」増田達至投手(35)。投じた一球は増田投手が捕れないほど高めに浮き、武隈さんは苦笑いだったが「前年は無観客が続いたので、大観衆の中で投げるのが懐かしかったですね」。温かい拍手に包まれながら、万感の思いで球場を後にした。

 「前例はない」と本人が言う「引退始球式」が物語るように、チームとファンに愛される存在だった。

 北海道・旭川工高から高校生ドラフト4巡目で…

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