古田新太さんと早乙女太一さん、理想のチャンバラ 「粘る」刀とは

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劇団☆新感線の新作で共演する古田新太さん(右)と早乙女太一さん=大阪市福島区で2023年7月29日午前10時49分、関雄輔撮影
劇団☆新感線の新作で共演する古田新太さん(右)と早乙女太一さん=大阪市福島区で2023年7月29日午前10時49分、関雄輔撮影

 「粘り」がカギだという。

 チャンバラ好きの「師弟」がこの秋、舞台で刀を交える。チャンバラオタクが高じて俳優となった古田新太さんと、古田さんの舞台に魅了され、背中を追いかけてきた早乙女太一さん。2人に理想とするチャンバラと、舞台にかける思いを聞いた。

「素人」同士の戦いは……

 古田さんの所属する劇団☆新感線が9月から11月にかけ、東京と大阪で上演する舞台「天號星(てんごうせい)」。座付き作家・中島かずきさんの作。演出を手掛ける劇団主宰のいのうえひでのりさんが「いろいろな趣向のチャンバラを盛り込み、久しぶりにスカッとする芝居にしたい」と意気込む新作だ。

 物語の舞台は、元禄時代の江戸。古田さん演じる口入れ屋(職業あっせん業)の主人・半兵衛は、悪党を始末する「引導屋」の元締という裏の顔を持っている。そんな半兵衛の命を、早乙女さん演じる殺し屋・宵闇銀次が狙う。

 「(酒豪の)古田さんになりきれるように、毎日飲んだくれています。そのまま本番に臨みたい」と早乙女さんが冗談めかして語るように、本作の最大の見どころが、2人の体が入れ替わる設定だ。「古田さんの力の抜き加減の色っぽさは、まねしようとしてできることではありませんが、少しでも近づければ」

 一方の古田さんは、演じる半兵衛について「殺し屋の元締だけど、元は大工。サムライでもなんでもなくて戦えない」と説明する。「(すご腕の)太一は俺と入れ替わって、弱い大工の体になってしまう。俺は太一の体を手に入れたところで、中身は大工のおじさんで戦えない。どちらも弱くなるんです」。その上で「達人」同士の方が立ち回りは楽だと語り、「素人」の戦いを演じる今回は「無駄が多くて疲れます」とぼやく。

「間」のかっこよさと色気

 古田さんが劇団☆新感線に加わったのは、1984年。80年に大阪で旗揚げした新感線は、ちょうどその頃からオリジナル作品中心の活動に移行し、「いのうえ歌舞伎」と銘打ったケレン味あふれる舞台で全国区の人気となった。

 大衆演劇の一座で育った早乙女さんは、幼い頃から舞台には立ってきたが、新感線に憧れて殺陣を本格的に学び始めた。弟の友貴さんとともに10代の頃から客演を重ね、今や新感線の「準劇団員」とも呼べる存在だ。

 「華やかなだけでなく、立ち回りにストーリーや会話が見える」と新感線の殺陣の魅力を表現する。「最近は手数の多さで見せる舞台が増えていますが、新感線には昔の時代劇のような間(ま)のかっこよさを感じます」。その上で古田さんの殺陣を「最後の一手や、斬った後の動きが美しい」とたたえる。

 そんな早乙女さんに「太一も最近は『粘る』よね」と、古田さんは言う。粘るとは、…

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