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意外に古い大相撲のビデオ判定 見え隠れする番付社会の厳しさ

1969年大相撲春場所2日目、戸田に押し出しで敗れた大鵬の連勝は45連勝で止まった。大鵬(中央右)の左足は浮き、右かかとは俵にかかっているが、戸田の右足は土俵の外の砂をかいていた=大阪府立体育会館で1969年3月10日
1969年大相撲春場所2日目、戸田に押し出しで敗れた大鵬の連勝は45連勝で止まった。大鵬(中央右)の左足は浮き、右かかとは俵にかかっているが、戸田の右足は土俵の外の砂をかいていた=大阪府立体育会館で1969年3月10日

 全仏オープンでの加藤未唯選手の失格、ジョコビッチ選手が罰金を科せられたウィンブルドンなど騒動が続くテニスは、4大大会では2006年の全米オープンから判定に映像を使っている。スポーツのビデオ判定はラグビーが03年、サッカーも18年のワールドカップ(W杯)から採用し、昨年のW杯で三笘薫選手の折り返しがゴールラインを越えていないと確認され、日本の決勝点につながったのは記憶に新しい。

 野球は米大リーグが14年にチャレンジ制度、日本のプロ野球は18年からリクエスト制度として活用している。監督が映像の検証を要求する仕草はちょっとした流行で、酒席などでそれをまねるポーズは、何かと笑いの材料にもなっている。

 スポーツ界で最初にビデオ判定を採用したのが大相撲。時に古い体質などと言われるだけに、導入した1969年5月の夏場所から半世紀を超す歴史があるのには驚かされる。

 きっかけは1場所前。45連勝中の横綱・大鵬が戸田に押し込まれて土俵際は微妙な体勢になった。軍配は大鵬に上がるも、物言いがつき、行司差し違えで戸田の勝ちとなった。ところが、放映されていたテレビや翌日の新聞では戸田の右足が先に土俵を出ていた。

 大鵬は双葉山の69連勝に挑戦していたこともあって「世紀の大誤審」と大騒ぎになった。しかし大鵬の「あんな相撲を取った自分が悪い」という潔さが審判批判を封じ、この一番が映像を参考にする引き金になったとされている。

 68年12月に元双葉山の時津風理事長が急逝、代わって就任したのが武蔵川理事長(元幕内・出羽ノ花)。後年、相撲博物館長になった時に尋ねると…

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