「母を守るのは僕の役目」福山哲郎さんが語るDV被害
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ぽつりぽつりと子ども時代を振り返る姿は、鋭い舌鋒(ぜっぽう)で政権批判を繰り広げる政治家のイメージとはかけ離れていた。ひっくり返ったちゃぶ台に割れた茶わん。最も幼いころの記憶は、暴力を振るおうとする父親を止めようと、大きな膝にしがみついた自身の姿だ。開会中の通常国会で、政府はドメスティックバイオレンス(DV)防止法改正案を提出する。自らの経験を重ねた法案への思いとは――。【菅野蘭】
DV防止法は2001年4月に成立した。それまで、家庭内で起きるDV行為は「夫婦げんか」として扱われることが多く、警察の介入が難しかった。4度目となる今回の改正案では、被害者への接近などを禁じる裁判所の「保護命令」の対象を、身体的DVだけでなく「精神的DV」にも拡大する。
DV法改正について、被害者らの思いを3回にわたりお届けします。ラインアップは次の通りです。
第1回 被害者が今思う、精神的DVとは
第2回 DV家庭に育った福山哲郎議員の経験から
第3回 日本のDV施策 専門家「一人負け状態」
「夫婦げんか」の時代に、DV家庭で育ったのは、立憲民主党参院議員の福山哲郎さん(61)だ。還暦を過ぎた現在も、当時の記憶は鮮明に残る。
「何も悪いことをしていないのに、家から母親と逃げる時のあのなんとも言えない情けない気持ち。先の見通しがなくて……」
ゆっくりと当時の心境を思い出しては言葉を詰まらせた。
何度も逃げようとしたが……
父親は、東京都内で鉄鋼関係の会社を経営していた。母親は家業を手伝った。幼少のころの記憶が、今も残る。父親は酒を飲むと、性格がひょう変した。気に障ることがあると、夕飯を囲んでいたちゃぶ台をめちゃくちゃにする。
そして時には、母親に殴りかかる。福山さんは、父親の片方の膝に必死にしがみつき、泣いていた。
「『お母さんを守るのは僕しかいない』。そう思って、殴ろうとする父親を止めようと必死だったんだと思います。そんな力はないのですが……」
酔いが回り父親が寝てしまった後、母親は床に落ちた食事や割れた食器を泣きながら片付…
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