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ひょうご・本の探訪

活字離れが進み、インターネット全盛の時代ですが、街では個性的な書店を見かけます。兵庫県内の「本」にまつわる人々を紹介します。

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子どもの反応、大切に どんぐり文庫(西宮市) /兵庫

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天野光子さん(右)と夫の正道さんが自宅で始めた「どんぐり文庫」。今は、この場所で本に親しんだ孫の菜歩さん(左)が一緒に運営している=兵庫県西宮市仁川町2で、稲田佳代撮影
天野光子さん(右)と夫の正道さんが自宅で始めた「どんぐり文庫」。今は、この場所で本に親しんだ孫の菜歩さん(左)が一緒に運営している=兵庫県西宮市仁川町2で、稲田佳代撮影

 阪急今津線仁川駅近くの住宅街の1軒に、「どんぐり文庫」と書かれた看板がかかっている。天野光子さん(78)と正道さん(85)夫妻が1975年に自宅で始めた私設図書館だ。本が好きな正道さんが結婚前から集めていた絵本や児童書を地域に開放した。

 文庫には、光子さんの父親で、67年に東京都で「日本親子読書センター」を設立した故・斉藤尚吾さんが、初孫のために置いていった絵本も多い。教員だった斉藤さんは、戦争の愚かさを見抜ける教育として読書を推進。出版社の枠を越えて子ども向けの良書をコースで販売する当時先進的なサービスで、選定委員も務めていた。

 文庫は最盛期に約6300冊を収蔵。娘たちの幼稚園や学校のつながりから利用が広がり、家庭訪問に来た担任が、若くして亡くなった画家の絵本を借りて授業で読み、児童と遺族の交流につながったこともあった。光子さんは「子どもと一緒に本を読んで楽しいという感覚を大事にしてきた」と振り返る。

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