酒がうまくなると…二宮和也さんが「ラーゲリ」の芝居に込めたのは

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
(c)2022映画「ラーゲリより愛を込めて」製作委員会(c)1989 清水香子
(c)2022映画「ラーゲリより愛を込めて」製作委員会(c)1989 清水香子

 第二次世界大戦後の1945年。シベリアの強制収容所(ラーゲリ)に不当に抑留された日本人と日本で待つ家族を描いた映画「ラーゲリより愛を込めて」(毎日新聞社など製作委員会)が9日、全国公開された。死と隣り合わせの絶望的な状況下で、生きる希望を唱え仲間を励まし続けた実在の人物、山本幡男さんを演じた二宮和也さんと瀬々敬久監督がインタビューに応え、撮影現場の様子や本作への思いを語ってくれた。【鈴木隆】

「縁」感じたシベリア抑留

 瀬々監督は、映画化の意味について「全体的には愛の物語だが、今もそうだが、国と国が利害関係で争って犠牲になるのは国民。その悲劇を伝えたほうがいいと思った。日本が悪いとかソ連が悪いとか言ってはいない。国と国の争いが苦しむ人たちを生んでいる。今の状況もまさにそうだ」と語る。

 二宮さんがオファーを受けて最初に浮かんだのは「縁」という言葉。「祖父がシベリアで抑留生活をしていた。当時のことは話さなかった祖父が、晩年になって何回も話していた。祖父は実際に1949年にシベリアから帰国。出演を断る理由などなかった」。祖父の話は「卑劣な事実に触れた感覚で、よくこんなことができると考えたし、長く続いていたと思うとゾッとする」と口調を強めた。「戦争というより、戦争の後遺症だと思っている」

 山本さんについて、瀬々監督は「聖性、セイント性を持っているように見せたかった。ヒーローという意味ではなく、人のためにセイントとして生きた人。すがすがしさと言ったらおかしいかもしれないが、それに近いものを映画に付与したかった。そこがポイントだった」と話す。「山本さんは立派な人か」と尋ねると、「あまり立派とは思わない。どちらかというと変人」と即座に返ってきた。二宮さんも「みんなに生きようと言っている中で自分も卑しい部分があった。卑しさもどこかで表現できたらと考えていた」。

酒がうまくならない…

この記事は有料記事です。

残り1306文字(全文2099文字)

あわせて読みたい

アクセスランキング

現在
昨日
SNS

スポニチのアクセスランキング

現在
昨日
1カ月