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戦うって何?

ロシアのウクライナ侵攻は、平和にどっぷりつかる私たちに戦争の現実を突きつけた。戦争について一歩踏み込んで考える。

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戦場国家・韓国から見た日本の平和主義 反戦というより「避戦」

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南基正・ソウル大日本研究所教授
南基正・ソウル大日本研究所教授

 日本のお隣、韓国は、1953年の朝鮮戦争休戦以降も現在に至る69年間ずっと「戦時中」です。今でも徴兵制がある「戦場国家」韓国と日本の平和はセットで、日本は平和国家というよりも「基地国家」です。南基正・ソウル大日本研究所教授は「日本人の意識は『反戦』というより『避戦』」と指摘します。【聞き手・鈴木英生】

平和で自由な日本を支える韓国の軍事文化

 戦後の北東アジアには、50年に始まり53年に休戦した朝鮮戦争を経て、「戦場国家」韓国と「基地国家」日本という役割分担が成立しました。戦後日本の平和主義は重要ですが、日本人の意識は反戦というよりも「避戦」になりました。自分たちと戦争、なかでも今も終わらない朝鮮半島の戦争との結びつきを直視しなくなったのです。対照的に、韓国には戦争の負の影響がずっと残ってきました。

 私は80年前後に高校生だった頃、学校で軍事教練を受けました。日本で軍事教練は戦時中までの昔話ですが、韓国では共産主義との戦いを前提に、植民地時代以来の軍事文化が継続していました。多感な時期に「青春がこんなに悲惨なのは、祖国の分断のせいだ」と思いました。根底にある問題を解決したいと、外交・安全保障の研究を志すようになりました。

 90年代初頭に日本へ留学したとき、なんて平和で自由な国なのかと驚きました。羨ましく思いつつ、韓国人として複雑な気持ちにもなりました。日本の平和主義は、韓国の軍事文化が支えているのではないか?と。

米国との同盟で結びつく日韓の安全…

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